本作と次作は金少桂さんが創始した角香問題。 最初の作品が登場したのは2015年11月(ドキドキ展示室No.50)と、利波型飛問題より更に新しい。 おもちゃ箱2016年6月の展示室はこの角香問題の特集でしたが、詰将棋パラダイス誌でも2017年2月の臨時大道棋教室で角香問題の特集が組まれるなど、今最も注目を集めている旬の類型です。
本作はこれまでの問題と似た構図ですが、よく見るといろいろ変わったところがあります。
- 54が角でなく馬
- 91香(歩)がない
- 74への受方の利きがない
- 5筋の駒が53でなく52
これで何が変わるか、金少桂さん自身が詰パラ2017年2月号の「ちえのわ雑文集」で解説しているので、お持ちの方はごらんください。
要約すると、
1) 84香から63角は、83銀合、71玉とされて72とができない。
2) 84香から41龍は、83銀合、71桂合とされて92角、同玉、83香成を同桂と取られる。
3) 63角から84香は、72銀合、83銀合と連続銀合が強防。
本作は3)の筋で63角から始まります。
63角、72銀合、84香、83銀合、
なぜ連続銀合か、変化を確認しておきましょう。
初手 63角に
1) 同馬なら、83香、71玉、41龍、61合、82香成まで
2) 72歩合なら、41龍、92玉、74角成、93玉、83馬まで
3) 83に利かせて72金合なら、同と、92玉、74角成以下
3手目84香に
1) 92玉なら、74角成、93玉、83香成、94玉、74馬まで
2) 83歩合なら、41龍、92玉(71合は同龍、同玉、72とまで)、83香成、同銀、81龍、93玉、83龍まで
連続銀合のあともいろいろありそう。
本作は2枚とも取ってしまう思い切った攻め筋です。
72角成、同馬、同と、同玉、83香成、同玉、
広い玉で不安になりますが、ここで92角が急所の一着。 これに対して
1) 同玉なら、94龍、82玉、84龍、83金合、73銀以下
2) 93玉なら、82銀、同玉、84龍、72玉、83角成、62玉、73龍、51玉、61馬以下右に追って29手
3) 72玉なら・・・これが正解で31手
72玉に74龍と迫りたいところですが、62玉、63銀、51玉、52銀成、同玉、54龍と迫っても53金(飛)合でわずかに逃れ。
なんと、81銀、71玉、72銀打と重く迫るのが正解です。
92角、72玉、81銀、71玉、72銀打、62玉、63銀成、同玉、
63銀成に51玉は、52成銀、同玉、54香以下。
63同玉に74角成が実現して、ようやく詰み形が見えてきました。
74角成、62玉、54桂、71玉、41龍、61角合、
62桂成、同玉、52龍があるので、52に利かせて61角合。
同龍、同玉、83馬、51玉、33角、41玉、42角(桂)成 まで31手
作者 「54馬型の角香問題です。
54角を馬にした以外の主な変更点として、91地点を空け、74への玉方の利きを除き、53の代わりに52に玉方駒を置きます。
すると、初手63角に72銀合を出すことができ、さらに92-74ラインで角を使うことができる分紛れも増えます。
本作は一番素直な銀・銀合から清算する筋です。
一番直感で指しやすい順だと思うので、その後入手した角銀の使い方をひねってみました。」
連続銀合は初見では十分なインパクト。
清算までは指せても、そのあと直感をはずす手が続き、実戦で詰められる人はそうそういないのではないでしょうか。
それではみなさんの感想を。解答到着順です。
- 山下誠さん:
- この形、連続銀合が成立するのが凄い。後半は9二角からの攻めが見えにくい。24手目は角合を選んだ。
24手目歩合でも同手数駒余りなので、大道棋としては正解ですが、みなさん角合をしてくれました。
- 占魚亭さん:
- 「ちえのわ」で予習したおかげで序をクリア。跳ねた桂の利きを活かす収束がいいですね。
- 小山邦明さん:
- ばらばらにして、11手目と13手目がやりにくい手順。
92角の筋が有力になるかどうかの見極めは難しかった。
- S.Kimuraさん:
- 9手目までに玉の周辺の駒が清算された時点で自力で解くのはお手上げだと思いました.
- 隅の老人Bさん:
- この類型はパラ2月号の大道棋教室でさんざん勉強。
簡単と思ったら、3手目から違っている。
ああ驚いたの85香打、83銀合、でした。
- 池田俊哉さん:
- 63角-84香で銀合を強要し、一気にばらしてしまうのは面白い。
その後も頭から押さえたいところ92角から81銀は意表を突く攻め
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