詰将棋の記録には、長手数の記録、駒数の記録、繰り返し回数の記録などいろいろなジャンルがあります。
それらの記録を一覧にまとめているのが「記録に挑戦!」で、まさに詰将棋のギネスブックといえるでしょう。
記録作は各項目の条件の中で頂点を極めた作品ですから、更新は容易ではないことが多いのですが、中にはまだまだ更新できそうな項目もいくつもあります。
記録作の作者として名を残したい方は、是非挑戦してみてください。
本作は左図(七種合、使用駒10枚)の改良図で、七種合の使用駒最少記録を10枚から9枚に更新しました。
また、盤面駒数も7枚になったため、七種合・盤面駒数最少記録においても現在の小沢正広 「賎ヶ岳」7枚に並ぶタイ記録となります。
わずか9枚で七種の合駒を出現させる究極の作品だけに、変化紛れが半端ではなく、とてもすべて解説することはできません。
変化・紛れが気になる方は、棋譜ファイルで主な変化・紛れを示してありますので、これを見ながら柿木将棋などでじっくりご研究ください。
また、作者のブログ やっくん|note で、今回の改良(記録更新)について、
作者自身が詳しく解説していますので、こちらをごらんください。
10枚を9枚にするこの改良が、いかに大変なことであったのか、よくおわかりになると思います。
ここでは、鑑賞する立場から、手順を見ていきましょう。
25金、33玉、35龍、34歩合、24金、同馬、
11角、43玉、44角成、32玉、22馬、同玉、
原図とは序が大幅に変わっています。 25金に13玉とか、35龍に歩合以外の変化とか、かなりボリュームがあって大変ですが、そこはとばして・・・
馬を24に呼んで、角で22に玉を呼び24龍と角を入手します。
24龍、23銀合、44角、33香合、同角成、同金、
原図では25龍で24香合を発生させていましたが、44角で発生するように変更。
ここからは原図とほぼ同じ手順になります。
31飛成、同玉、33龍、32角合、42金、21玉、
32金、同銀、24香、23桂合、同香不成、同銀、
同龍、22飛合、43角、31玉、33龍、32桂合、
23桂、21玉、32角成、同飛、11桂成、同玉、
12銀、同玉、32龍、22金合、14飛、13桂合、
24桂、11玉、13飛成、同金、23桂、同金、
12桂成(龍) まで55手
桂合だけは3回出現しますが、後は全部1回だけ出現し、見事に七種合の完成です。
この簡素な配置からコンスタントに次々いろいろな合駒が発生するのは感心するしかありませんね。
全くの新作なら看寿賞も夢ではない大記録。
ぜひ並べてご鑑賞ください。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 山下誠さん:
- 初形は盤面わずか7枚から効率的な合駒の登場には言葉も出ない。
素晴らしい出来映えの七種合。
- 占魚亭さん:
- 7種合使用駒数最小記録を更新。
さすがにこれを越えるのは無理ですかね。
- 小山邦明さん:
- 「七種合使用駒数最少記録」の更新はすばらしいですね。
全部で9回の合駒が出てくるとは驚きです。
単純な合駒選びではなく、手順の方も41手目11桂成から12銀捨てと後半も緩みない手順でした。
4手目の桂合や香合の変化にはかなり悩まされ、28手目の角合の変化も難しかったです。
- おかもとさん:
- 元の図が発表されたとき、「もっとよくなる筈」という辛口の評がありましたが、見事それに答えたということですか。
拍手。
- 池田俊哉さん:
- 七種合使用駒9枚の新記録!上部に駒がなくすっきりとした形になった。
手順としては44角として香合を稼げるあたりがポイントか。
全体的に完成品という雰囲気が漂っている。
- S.Kimuraさん:
- 4手目の合駒が完全に読み切れていません.
合駒の回数だけでなく,変化手順も複雑でしたが,自宅待機での良い頭の体操となりました.
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