世界で初めての煙詰といえば、伊藤看寿の将棋図巧99番「煙詰」。
2番目の煙詰(黒川一郎「落花」)が出現するまで、約200年間唯一の煙詰だったこともあり、
現在でももっとも有名な煙詰です。
ネット上だけでも10以上のサイトで紹介されていて、英語での動画紹介まで
(ネットで見る煙詰参照)。
その看寿の煙詰のハイライトが、左図の54手の局面から銀や金を捨てながら龍で斜めにぐいぐい追いつめる手順。 看寿の煙詰は難しすぎて、大半の人は駒がどんどん消えて詰上り3枚になることにびっくりするだけで、
手順を鑑賞することまでできないのが現状です。
そこで、この趣向手順を鑑賞してもらうために、くるくるNo.86や
くるくるNo.87でくるくる化して紹介してきましたが、
今回はちょっと本格的に飛角金銀煙としてアレンジしてみました。
飛角金銀煙は本作が初めてなので、長手数記録でもあり短手数記録でもありますが、
とりあえず飛角金銀煙の長手数記録(29手)として登録します。
本作はもう一つ、煙詰での詰上り面積最大(9×9)という珍記録も。
強力な駒ばかりなのに無防備図式なので、思わず解きたくなりますね。
初手は龍の活用を狙って69馬。
48玉では88龍で簡単なので49玉。
困ったように見えますが、58馬が龍の活用を狙った妙手。
これに対し逃げる手がちょっと難しい。
1)39玉は89龍、28玉、55角以下 2)38玉は47馬以下
なので、58同玉の一手。
これで88龍と活用できて、図巧99番と同様にくるくるの始まりです。
69馬、49玉、58馬、同玉、88龍、67玉、
最初は銀と金をペアで捨てて斜めに誘導。
76銀、同玉、66金、同玉、77龍、56玉、
65銀、同玉、55金、同玉、66龍、44玉、
55龍、34玉(43玉)、
ここからは銀成捨てで、右上隅まで追い込みます。
33銀成、同玉、44龍、32玉、
22銀成、同玉、33龍、11玉、
22龍 まで29手
煙詰で感激するのは、やはり自力で解いた時。
まだ煙詰を知らない方に、本作を紹介して煙詰の楽しみを教えてあげてください。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 長谷繁蔵さん:
- 竜の斜面昇り
- しろねこさん:
- 煙詰めとは最後3枚が残るのか、駒が盤上から消えていく様子がよくわかります。
- 中澤照夫さん:
- 私が初めて挑戦した煙詰が看寿の作品でした。
約2週間考えましたが、1歩合駒かせぎが分からず断念した思い出があります。
このようなチャーミングなアレンジがあるとは驚きました。
看寿の煙詰は初めて解く煙詰としては難しすぎますね。
- 嵐田保夫さん:
- 凧金戦法ならぬ凧龍戦法。
- ごぶりんさん:
- 看寿の龍角での斜め追い。
機構がシンプルで楽しく、しかも破綻なくまとめていることに驚かされます。
うぐいす図式はよく見ますが歩香桂なし図式は珍しい?
しかも無防備となると、それじたい前例もかなり珍しいのでは。
(歩香桂がないとかえって攻め駒自身でのブロックがしづらそうで)
データベースで検索してみると、歩香桂なし(飛角金銀)図式は7作。
うち無防備図式は1作だけありました。
- 凡骨生さん:
- 龍の斜め上がりが楽しい非ウグイス煙図式。
- 広瀬稔さん:
- すらすら気持ちよく解けました。
- 魚熊さん:
- 馬を取らない変化がなかなか読みきれなくて「ほんとにくるくる級?」
と疑問を持っていましたが、それが解決してしまえば本当にくるくる級でした。
20手目は非限定とおもっていいのでしょうか?
はい。34玉でも43玉でも33銀成で同じことになります。
- 隅の老人Bさん:
- 凧、凧上がれ、天まで上がれ。
秋空、一点の雲もなし、気分爽快。
- たくぼんさん:
- 気持ちよく捨てるので気分が良くなります
- onakaponさん:
- 序盤が難しく看寿さんの作をみて何とか解けました。
この趣向手順はほんと面白いですね。
- S.Kimuraさん:
- 序盤は変化が多くて自力では無理でした.
玉を11まで追い詰めて綺麗ですね.
- taka-oさん:
- 看寿の趣向を銀捨て・金捨てにアレンジ。
せっかくタッチダウンしたのに隅に押し戻される玉も、何ともユーモラス。
看寿の煙詰も銀捨てが1回だけ入っていますが、これを徹底したのが駒場さんの「淡雪」
(くるくるNo.87参照)。
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