本局は、全着手桂の長手数記録作品です。
これまでの記録は猫田いわしさんの27手。
最下段から桂を打って行き、最上段まで追いかけて詰める四桂詰で、これを超えることは不可能かと思われましたが、本局は2手更新することに成功しました。
究極の四桂詰といわれた猫田作品から、いったいどうして2手更新に成功したのか、その秘密は玉の軌跡にあります。
四桂詰といえば、玉は一段で2マスずつ動きながら桂の王手で順に移動するのが普通です。
ところが本局は 7段目では3マス、6段目では1マス、5段目ではまた3マスと、左図のような軌跡を描いて移動して行きます。
そのため、猫田作品では桂の王手が2×7=14回で27手だったのが、本局では3+1+3+1+3+1+3=15回の王手になり、29手に記録更新できたわけです。
通常の四桂詰でも、この「3+1」の追い方は初めてと思われ、まさにコロンブスの卵。
初形の配置はやや粗削りですが、「3+1」のアイデアを純四桂詰に図化した作者の手腕は見事ですね。
- 作者:
- 全着手桂は27手が理論上最長みたいに思われていたのが創作のきっかけです。
趣向の性質上、玉の軌跡は2通りに限られます。
本作の77-67-57-56-65-以下繰り返しと、77-67-57-66-65-以下繰り返しです。
最初は後者で作ろうとして失敗しました。
詰将棋を作るのはほとんど初体験なので手順を成立させるだけで精一杯。
記録にはなっていても、お粗末な図になってしまいました。
手順を成立させるために妥協をしまくったのですから
せめて3手目を79桂にすれば「くるくる」らしさが出たのにと後悔しています。
・全着手桂の理論上の最長手数
猫田いわし氏作27手詰は9段目に2枚、8段目に2枚、桂を打っています。
本作では9段目3枚、8段目1枚にして29手詰を実現しました。
9段目に4枚の桂を打てれば31手詰めにできますが、9段目に桂を打って王手しているのでその後の玉は6〜8段目にいます。
7段目に桂を跳ねて王手できません。
9段目の桂の移動で6〜8段目の玉に開き王手することも不可能です。
では29手詰めが理論上の最長かと言うとそうではありません。
桂の移動による開き王手で桂合をさせ、それを取るという手順を織り込めば29手を超える可能性は残っています。
到底実現できるとは思えない難条件ですが、どなたか挑戦してみませんか。
89桂、67玉、59桂、57玉、69桂、56玉、68桂、65玉、
77桂左、55玉、67桂、45玉、57桂、44玉、56桂、53玉、
65桂左、43玉、55桂、33玉、45桂、32玉、44桂、41玉、
53桂左不成、31玉、43桂不成、21玉、33桂不成 まで29手
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 中澤照夫さん:
- 攻め方着手はすべて桂、玉方着手はすべて玉となっている。すごい。
- Aさん:
- 桂の王手連続14回とは!これ以上は無いですネ。
24手目うっかり21玉と逃げて27手解。 惜しい。
- 隅の老人Bさん:
- 新記録だそうで、おめでとう。
「とんで、とんで、とんで」と続く歌があったが、どちらが多いかな。
- 長谷繁蔵さん:
- 手数表示助かる 桂跳び11回 序盤で4桂が3桂になるかと余桂な心配 やはり死刑詰だった 攻方指手すべて桂
- 井上順一さん:
- 生の桂馬による15回連続の王手。16回は不可能なのでこれが最大値。なんとも虫のいい手順が続くもの。
- いのてつさん:
- 全手順桂の記録作でしょうか。変化処理が実に見事。
- 真・Tさん:
- 桂、桂、桂。記録じゃなくても面白いです。
- 涼秋さん:
- 4桂あれば詰まぬことなし。くるくると思いましたが記録ですね。4桂追いの記録でしょうか。
- スラゴさん:
- まさかこの記録が更新されるとは思わなかった。
- 小五郎さん:
- 最長の逃げ方が難しく手数表示がなければ間違えそう。
見事な四桂のくるくるですが記録展なんですね。
四桂での連続王手最長記録?・・でしょうか。
- あっちゃんさん:
- 楽しく桂馬乱舞。よくぞ創ったという印象ですね。
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