次ヘ
次ヘ
 記録に挑戦! 第1回
詰将棋四百年記録大賞
加 藤  徹 
詰将棋パラダイス2002年11月号より
表紙に戻る
表紙に戻る

1.なぜ山に登るのか

 そこに山があるからだ、というのはよく聞くことばですが、詰将棋作家にとっての「記録」も「山」に劣らず魅力的な存在です。

 詰将棋四百年の歴史を振り返ると、看寿の「寿」に対する「新扇詰」「メタ新世界」「ミクロコスモス」の挑戦をはじめ、最少駒数の七種合、最短手数の煙詰など、詰将棋作家はさまざまな記録に挑戦してきました。

 それによって、たくさんの記録作が創作され、詰将棋はより洗練され、より魅力的になってきたのです。

 ホームページ「おもちゃ箱」の「記録に挑戦!」のコーナーでは、これらの全記録作品を展示しています。

「おもちゃ箱」 http://www.ne.jp/asahi/tetsu/toybox/

 昨年、このコーナーを設置してから新しい記録作が新進気鋭の作家たちによって続々と創作され、これまでの記録が次々塗り替えられています。

 そこで、この連載では、詰将棋四百年間の記録作品を紹介すると共に、最近創作された記録作品を紹介していきたいと思います。

 ずぼらな筆者のことなので、不定期連載となる可能性大ですが、よろしくお付き合いください。

2.詰将棋四百年記録大賞

 今年は詰将棋四百年ということで、7月20日に行われた第18回詰将棋全国大会で、参加者の投票で詰将棋四百年間の最も優れた記録作品を選び、表彰しよう、という記録大賞の投票が行われました。

 記録大賞は、以下の観点から三つの賞を設けました。

 名作賞 すばらしい、傑作だ。優れた作品に
 好作賞 いいな、好きだな。気に入った作品に
 妙作賞 おもしろい、びっくり。ユニークな作品に

 各賞の受賞作品を紹介します。

名作賞 橋本孝治「ミクロコスモス」
 詰将棋探検隊(原図詰パラ1986年6月)
 最長手数記録 1525手
ミクロコスモス
鑑賞する
古今の詰将棋の最長手数1525手。千手超えは未だに本局のみ。看寿賞受賞。

作者−若い頃に情熱を注いだ作品なので、記録大賞に選んでいただいてとてもうれしいです。

宮浦忍−詰将棋四百年の進化の集大成。

阿部健治−最も価値のある記録がこれ。内容が与える感動も随一。

越智信義−発表されたときの、感激と興奮は忘れられない。

山田剛−史上最長手数というだけでなく、江戸時代に創始され昭和に花開いた詰棋史の集大成としてもっとも洗練された作。
好作賞 伊藤正「月蝕」
 近代将棋1981年6月
 小駒煙詰の初形面積最小記録 36
月蝕
鑑賞する
小駒全駒密集型から煙ってしまう奇跡のような作品。看寿賞、塚田賞受賞

作者−最近は詰将棋はほとんど作って いませんが「まだ覚えててくれる人もいるんだな」と久しぶりに「心あったかエネルギー」をいただきましたので、これを機に投票していただいたみなさんにご恩返しができるよう、少しは時間を割いて脳細胞をマッサージしてみたいと思います。

岡村孝雄−この密集形が詰将棋になっているのが奇跡。煙詰なのがさらに奇跡。「煙ること」の究極の表現。

阿部健治−ヴィジュアル面ではこれ。駒捌きの快感も極限値。
妙作賞 玉野忠捨
 
詰パラ1981年6月
 一本道詰将棋最長手数記録 43手
一本道詰将棋
鑑賞する
変化も紛れも全くなし。誰でも解ける43手。

玉野さんの連絡先をご存知の方、編集部までご一報ください。

藤沢英樹−初心者に解かせてあげたい。

杉山宗弘
−これで詰将棋をする人が増えてほしいです。 作者名もGood!
 手順は「詰将棋四百年」HPの記録大賞のコーナーでごらんください。
 http://isumin.hp.infoseek.co.jp/400/

LINE

JavaScriptで動く棋譜再生盤、Kifu for JS を使わせていただいています
JavaScriptが利用できる環境でご覧ください