2004-09-19

 

 

‡ 六 秘密は螺旋を描く―――2.‡





  気配は三つ。

 一つは脅えている。ただ一つの事を恐れている。

 もう一つは救いたいと願っていた。

 恐れおののくその魂を救いたいと努力していただけなのに、何時からだろうか、何かが大きく歪んでしまった事に気が付いてはいたけれど、それでも良かった。それでその魂を救えるのなら、何だって良かったのだ。
  そして最後の一つは、ただ、黙ってそれを眺めていた。
 何もしない。何もしていなくても事は進んで行く。それだけで望みは果たされるであろうから。それぞれの思いが複雑に絡み合って、その願いが共鳴を呼び起こす。
 共通する願いはただ、一つ。
 どうか、誰も邪魔をしないで、と……

 

 

 

 

 

 

 

 

箪笥、長持 どの子が欲しい?

あの子が欲しい

あの子じゃ、わからん

この子が欲しい

この子じゃ、わからん

相談しましょ?

―――そう、しましょう

 

 

 


6章から後編(実質中編だけどね)です。
今回は序文入れたぞ(笑)


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