★下読みの鉄人列伝1 2000/12/17
ついにプロの下読みさんからアドバイスのメールが届きました!
全文を紹介しますので、作家志望者のみなさんは心して読んでください。
●ハンドルネーム「頓田力三」さん からのメール
HP拝見いたしました。初めてメールを差し上げます。
私も同業者です。大手や中堅出版社の下読みを10年ちかくやっています。
ミステリ、童話、時代小説、ファンタジーなど、ジャンルはいろいろです。
貴HPを拝見して、我が意を得たりと思うところが多く、共感しました。
また、改めて考えさせられることもあり、勉強になりました。
そこで、僭越ですが、私の気がついたことをいくつか申し上げます。
1.減点されそうなテーマ
一つは「ご当地もの(郷土史もの)」です。年配の方の手堅い作品が多いのですが、将来性の点から考えて、どうしても点が辛くなってしまいます。
つまり、「この作家は自分の地元のこと以外、書けないんじゃないか」ということです。
もう一つは「時事もの」です。例えば1995〜96年にかけての応募作品には、「地震」と「新興宗教」のテーマが異常に多かった覚えがあります。
ひどいのは「新興宗教の教祖が悪の限りを尽しているところに地震が起こって全員死んでしまう」という作品すらありました。そして、今年は「総理大臣が急死する」という作品を読みました。
プロになってからならば、こういうキワモノが書けるということは一つの武器になる場合もありますが、新人賞の場合、どうも感心できません。
ただし、これらの作品の中にも秀作が隠れていることがあるかもしれないので、なるべく色眼鏡で見ないようにしています。
2.イラストについて
イラストは禁止が前提ですが、ミステリでは建物の見取図や地図などが使用されることがあります。これが意外に見にくく、正確でないことが多いので、注意を促してはいかがでしょうか。
3.規定外の作品について
投稿規定に完全に違反したものは没扱いになるということですが、私が担当した賞は、とりあえずすべて読むことになっています。版元の担当者に聞いたところ、やはりどんな傑作が隠れているかがわからないので、一応チェックするとのこと。このあたりは、出版社によって大きく違うみたいですね。かといって、それに甘えることのないよう、もっと強く念を押しておくのはいかがでしょうか。
ここのところ、あまりにひどいのがあります。ライバル社の社名入り封筒で応募してきたのを見たときには、正直あきれました。
4.下読みへの振り分けについて
下読みの振り分けが到着順ということをお書きになっておられますが、私がやっている賞では、到着順ではなく、締切後にぜんぶをシャッフルして振り分けているので、締切前の(高品質な)原稿あるいは受付初期の(比較的低品質な)原稿が、ある特定の下読みさんに集中するということはないと考えられます。
こういう方法をとっている版元もあることを注記したほうがいいのではないでしょうか。
以上、いろいろ勝手なことを申し上げましたが、お許し下さい。
本状を公開される場合は、匿名でお願いいたします。
問題はないはずなのですが、
やはり、守秘義務に引っ掛かるとやっかいなので。
頓田力三
(和田曜介からの返信は次のページです)