★快速! 親指シフトはプロの作家御用達

 ワープロやパソコンで文章を書く時、多くの人が「ローマ字入力」という方式を使っていることだと思いますが、私の知り合いの編集者や作家さんの間では、「親指シフト入力」という方式が、多数を占めています。
 親指シフトというのは、富士通がオアシスというワープロ用に開発した入力方式で、アルファベットの配列は普通のキーボードと同じなのですが、かなの配列が独自仕様になっており、両手の親指で左右2つのシフトキーを、残りの8本の指でかなキーを、組み合わせて同時に押す、という独特の入力方式になっています。
 たとえば、アルファベットの「H」のキーには「は・ば・み」の3つのかなが割り当てられており、普通に押すと「は」、左親指シフトと同時に押すと「ば」、右親指シフトと同時に押すと「み」という文字が出るようになっています。
 普通のキーボードのシフトキーは、シフトキーを押しながら別なキーを押すという感じですが、親指シフト入力では、シフトキーとかなキーを完全に同時に押します。
 そのため、通常のかなの他にも、濁音・半濁音・拗音・促音・音引き・句読点・括弧記号などなど、日本語を仮名書きする際のすべての文字が1打鍵で入力できるようになっています。

 親指シフトというと「入力が速いから」優れているというイメージが一部にあるようですが、これは間違いです。正しくは「入力が楽だから」優れているのです。

 ワープロに向かい、文章を考えながらキーボードを打つ時、ローマ字入力では、日本語の文章を一度、母音と子音に分解して入力するという作業が必要になります。慣れればこの作業は無意識に行えるようになるのですが、脳の中にローマ字変換回路が常駐するため、文章の作成に使える脳のメモリが減ってしまうんです。本人は自覚していなくても、これは確実に文章を考える作業の負担になっています。
 それに対して親指シフト入力では、考えた文章をそのままかなとして打つため、脳のメモリを最大限に使って文章を考える作業に集中することができます。

 実は、私は、英文タイプの経験があったため、初めてオアシスというワープロを手にした時、親指シフトキーボードを親指シフト入力ではなくローマ字入力で使っていました。1年くらい、何の不自由も感じず、快適にローマ字入力をしていました。でも、周囲の同業者の多くが親指シフト入力をしているため、ある日、ふと、試しに親指シフト入力に切り換えてみたんです。
 もう、目からウロコでした。なんて簡単なんだ! なんて楽なんだ! 今まで自分は一体何をやっていたんだろう……。もう愕然としました。こんなことなら最初から親指シフト入力にしていれば良かったと、本当に後悔しました。


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