落選した作品を再応募すると
落選になった作品を別な賞に再応募する人をよく見かけるのですが、ほとんどの場合、これは無駄なことです。
なぜならば、落選する作品には、落選するだけの理由がちゃんと存在しているからです。その理由がクリアされない限り、何度どこに応募しても、きっとまた同じ理由で落選するはずです。
では、少し書き直してパワーアップしたものを再応募するというのは、どうでしょうか?
実は、これもあまりおすすめできません。なぜかというと、下読みさんは同じような傾向の複数の賞を掛け持ちしていることが多いため、運が悪いと別な賞に応募したのに同じ下読みさんに読まれてしまう、ということがあるからです。
最悪、「あ、これは去年○○賞で俺が落としたやつじゃないか。性懲りもなくまた送ってきやがって」などと言って、読まずに捨てられる可能性すらあるからです。
もう誰が見ても別物というくらいに改稿されているならば再応募してみてもいいかもしれませんが、少しくらいの書き直しならば、たとえ別な下読みさんに当たったとしても、無駄である可能性が高いです。
また、書き直しをしたならば、別な賞ではなく、「去年の落選作品を全面改稿して再挑戦します」と明記して、同じ賞に再応募したほうが、たとえまた同じ下読みさんに当たったとしても、好意的に読んでもらえるように思います。
ただ、どっちにしろ、プロの作家として活躍するためには、常に新作を発表し続けなければならないわけですから、「自分にはこれ一作しかない」というような人は、プロの作家にはなれません。本当に落選作品に自信があるのならば、むしろ、将来プロになった時のストック用にしておいて、新人賞にはまた別な新しい作品を書いて応募する、というほうが、現実的な選択です。