6.下読みシステムのちょっとした裏知識

 最終日の消印は激戦区

 応募原稿には編集部に届いた順に通し番号が付けられ、以後、この番号で管理されます。たとえば全部で500本の応募原稿があった場合には、届いた順に1番から500番までの通し番号が付けられます。10人の下読みさんがいたとすると、Aさんは1番から50番まで、Bさんは51番から100番まで、というように50本ずつ受け持つ形になります。
 そして、多くの賞では、だいたい1割程度、50本受け持ったならば5本程度を、一次選考通過作品として残すことになります。

 ところが、多くの応募者が締め切りギリギリまで推敲を重ねてから応募してくるため、一般に最後のほうに届いた原稿ほど、偏差値が高くなるという傾向があります。つまり、1番から50番までの50本の平均点よりも、451番から500番までの50本の平均点のほうが、明らかに高い、という傾向があるんです。
 これが何を意味するかというと、一次選考通過のボーダーライン上にあるような作品(B評価の上位の作品)の場合、締め切りギリギリで応募すると一次選考で落選になるが、早い時期に応募していると一次選考を通過してしまう、という事態が発生する可能性があるということなんです。

 本当にA評価の作品の場合には、いつ応募しても関係なく、ちゃんと一次選考を通過します。5本残せという指示のところに10本のA評価作品があったならば、指示を無視して、ちゃんと10本全部を残します。本当にA評価の作品ならば、いつ誰が下読みをしても、その評価は変わりません。だから気にしないで締め切りギリギリまで推敲をして応募して大丈夫です。

 でも、ボーダーライン上にあるような作品の場合、A評価が5本あるグループに入ってしまえば落選になるが、A評価が2本しかないグループに入れば頭数合わせで一次選考を通過できる可能性があるわけです。もちろん、そんなふうにして一次選考を通過しても二次選考では確実に落ちますから、実際には無意味なのですが、ただ応募者にとっては、一次選考落選と一次選考通過とでは精神的に大きな違いがあるだろうと思います。

 そんなわけで、自分の作品が確実に一次選考通過のボーダーライン上だという自己評価がある人は、少し早めに応募してみてください。一次選考を通過できる可能性が少しだけ高くなります。


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