4.落とされる応募原稿の作り方/非常識原稿

 よけいな文章を書くと自滅する

 応募規定に指示がない限り「まえがき」や「あとがき」などを付けていはいけません。「献辞」や「謝辞」なども同様です。
 これらはプロが自分の本を出す時に書くべきものであって、素人が新人賞の応募原稿に書くようなものではありません。
 まえがきが付いていたから自動的に落選にされるというわけではないのですが、審査を行なう上でのマイナスの判断材料に使われる可能性が高いということは知っておいてください。
 特に、こんなことが書かれていると確実に不利、というパターンを3つ紹介します。

●自分で解説を書いている
 自分の作品がいかに素晴らしいものであるかを延々と解説した文章を自分で付けているというものです。
 こういうケースでは、この作者は自分の作品を冷静かつ客観的に評価する能力がない人間だと判断されることが多いです。
●選考委員への私信
 事前に名前が発表されている選考委員の作家に対する個人宛の文章が書かれている応募原稿もよく見かけるのですが、ゲストの選考委員の先生が読むのは最終選考に残った作品だけです。
 仮に最終選考に残れたとしても、選考委員に対して作品の感想やお世辞を書き並べておけば選考が有利になる、などということは絶対にありえません。
●選考委員に対して失礼にあたる文章
 近年、作者の職業的な専門知識を披露するタイプの小説が増えているのですが、この時に「私が持っている専門知識を何も知らない選考委員に教えてあげましょう」というようなニュアンスの文章が付いているものです。
 無名の素人にすぎない一応募者の原稿が、恐れ多くもプロの作家である選考委員の先生に読んでいただけるのだ、という謙虚な姿勢で書かれていないものは問題外です。
 こういう非常識なことが書かれた応募原稿は、たとえ入選候補級の作品であったとしても、下読みの段階で確実に排除するようにしています。


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