最近発行の石川啄木関係単行本などの案内>
2003年1月〜2012年1月 発行の書籍

  

 各書のコメントは、主宰の偏見に満ちた読後感なのでご注意下さい。なお、最近の単行本で、表紙写真の掲載の無いものは、啄木愛好者の主宰がお薦めする図書の紹介「推 薦 文 献」や「啄木随想」コーナーに紹介(偏見に満ちておりますが)してありますので、どうぞご覧下さい。佐藤勝 (2011.04.04)

 <単行本案内>
 記載文献は湘南啄木文庫が2003年12月〜2012年1月までに収集した文献の一部です。詳細な目録をご希望の方は「湘南啄木文庫収集目録」第24号(2012・1月発行)を含めて、メールにてお申し込み下さい。各号、送料とも800円で東京支部会報の原稿規定サイズdoc.doc へのリンク頒布致しております。(残部僅少)

近藤典彦編『復原 啄木新化集』(文庫判)316頁 1000円+税 12・01 桜出版

 
本書の編者元国際啄木学会会長の近藤典彦氏で、
この『復元 啄木新歌集 一握の砂以後(明治四十三年十一月末より)仕事の後』
(文庫判・桜出版 H24・1)編者の近藤氏には前著(朝日文庫『一握の砂』)があり、
こちらも貴重な復元版として、初版当時の姿を醸しだしている。

 今回の本は『悲しき玩具』の原型をみごとに再現するもので、朝日文庫と合わせて
読むと楽しみは倍増する。
 また、巻末の「解説」は解説の常識を超えた一篇の『悲しき玩具』論」で、
これだけでも一冊の価値は充分にある。


 ※ なお、筆者が本書と合わせて読むことをおすすめしたいのは大室精一氏(佐野情報短期大学教授)の「『悲しき玩具』歌稿ノートの配列意識(1)〜(5)」
(「佐野短期大学研究紀要」17〜22号・H18・3〜H23・3)と

「『悲しき玩具』歌稿ノートの中点」(同H21・3)の六篇の論考である。
これによって私たちは『悲しき玩具』をさらに身近なものに出来る筈だから。
 
※編者自身のコメントが出版社のHPで読めますので※桜出版をクリックしてみて下さい。
(2012年1月28日 佐藤 勝)

 
 
田中 礼著『啄木とその周辺―近代短歌史の一側面―』四六判 252頁 2400円(細目:T.啄木論(これからの啄木像/啄木・口語・詩論/啄木と俳句/ほか6篇)/U.啄木の周辺――近代短歌の創始者(鉄幹と啄木/晶子と啄木/子規と啄木〜茂吉の批評を軸として/ほか)/V.啄木の流れファシズム下の歌人たち(「ゆるされぬまこと」の歌――大塚金之助短歌の魅力/赤石茂と「山宣詠」)/C.書評集(碓田のぼる『「明星」における進歩の思想』/『播州平野にて・内海茂文学評論集』〜石井勉次郎『私伝石川啄木 終章・歌集『悲しき玩具』論』/清水卯之助『編年石川啄木全歌集』/近藤典彦『国家を撃つ者 石川啄木』/上田博・中島国彦編『石川啄木と北原白秋―思想と詩語』/『短歌』1995年4月号大特集「石川啄木―現代の叙情の源流を求めて―」/『短歌』1997年5月号大特集「啄木と牧水」/碓田のぼる『石川啄木の新世界』/上田博『石川啄木全歌集鑑賞』/太田登著『日本近代短歌史の構築』)/X.その他(川並秀雄先生を想う/ほか1篇) 洋々社 H2310

 木股知史著『石川啄木・一九〇九年』【増補新訂版】四六判 325頁 3000円+税(元版→S5912富岡書房/細目:あえがき/T.「ローマ字日記」の世界/U.瘋癲院の裏――へなぶり短歌の意味/V.国家・都市・郷土/W.詩心と詩語――「食ふべき詩」及び「心の姿の研究」/X.小論三編(立志と詩のアメリカ/柳田国男によって石川啄木の郷土を幻視する/〈一握の砂〉とはなにか)Y.増補二編(惑乱するイメージ――「事ありげな春の夕暮」をめぐって/啄木の何が新しいのか)/石川啄木年譜/あつがき/初出一覧) 沖積舎 H23・7

 石川啄木著『悲しき玩具』
〈ハルキ文庫〉280円 ※収録作品「一握の砂」より「我を愛する歌」/悲しき玩具/エッセイー:桝野浩一・石川くんは私P100106 角川春樹事務所 H23・4
 
 日本現代詩歌文学館編『『一握の砂』から100年――啄木の現在』〈開館20周年記念シンポジウム@〉新書変判 56頁 500円(頒価)(細目:パネリスト=高橋睦郎/小池光/三枝昂之/宮坂静生/司会=篠 弘P143/〈エッセイー・私の啄木観〉高橋睦郎・無題P4647/小池光・啄木は居場所が無いP4849/三枝昂之・啄木とは三度出会ったP5051/宮坂静生・人間的なあまりに人間的な――啄木歌との距離P5254/篠 弘・啄木の都市型感性P5556 日本詩歌文学館振興会(北上市)H23・3

 池田 功著『啄木日記を読む』四六判 190頁 1900円+税(細目:1.絶望の中で自らを鼓舞/2.社会主義への目覚めと模索/3.啄木日記の魅力とは/4.日記作品化への努力/5.国際性を持つ日記の意義/ほか)新日本出版社 11・2
池田功著『啄木日記を読む』は特選の書

※☆アマゾンにも書き込みが掲載されました。

鳥居省三著/北畠立朴補注『増補・石川啄木―その釧路時代―』〈釧路新書〉214頁 735円(細目:北海道での啄木(釧路まで)P116/釧路と啄木P17100/釧路を離れてからの啄木P101110/釧路での啄木研究余禄P111160/釧路の啄木案内P161184/改訂版にあたって・補注185210)※元本は1980年9月の発行  釧路市教育委員会 11・1
2冊の〈新書判〉釧路新書&盛岡暮らし読本

菱川善夫著『反逆と凝視 近代歌人論』四六判 3500円+税(細目:短歌と近代――反逆と異端のエネルギーP7〜31(→「労働文化」126H6510)/滅亡と言う短歌の再生論P3747(→「水甕」1000H9・8・1)/日本のハイネ・石川啄木P5172(→札幌市原別図書館での講演記録H8・11・2)/よみがえる啄木――啄木の現代性P7591(→「北方文芸 別冊8」通358H1511・1)/啄木の魅力――危険な心の殺し方P95133(→「労働文化」187H16・9・6)/地上の遊星・石川啄木P137144(→「石川啄木生誕120年記念 図録」函館市文学館H18・4・29) 田中綾・解題P334344)沖積舎 1012

「短歌」12月号〈大特集 はじめての石川啄木〉(細目:三枝昂之・日本人の幸福〈食うべき歌〉をめぐってP5459/太田登・短歌史を創る『一握の砂』の意義P6063/木股知史・へなぶりの思想P6467/短歌往来の格調を破れりP6871/今野寿美・口語発想の文語体―加えて語法の規制緩和―7275P/山田富士郎・論稿『一握の砂』の世界 ふるさとの創造P7679/【啄木観察・実況】藤岡武雄・「ある日の観潮楼歌会」疳高い啄木声P8081/「ある日の新聞社員・啄木」啄木と北海道P8283/「啄木が見た大逆事件」後世の人々に真相を伝える志P8485/谷岡亜紀・「借金と放蕩」寒い旅P8687/佐伯裕子・「啄木と節子」一体となった二人P8889/【わが青春の『一握の砂』】尾崎左永子・変貌P9091/伊藤一彦・二畳半の『一握の砂』P9293/小池光・オトナの歌P9495/春日真木子・候文の恋文P9899P9697/秋葉四郎・鴎外と啄木、茂吉P9899/【啄木を詠む――若い世代の啄木発見】松村正直・P1000/笹公人・憎みきれないろくでなし1010P/小島なお・砂のなかからP1020/山田航・自意識過剰パワーが切り開く未来P1030/里見佳保・ひらかれた耳P1040/佐藤弓生・「!」の謎P1050/【コラム】河野有時・新郎欠席の結婚式の真実 仙台なう@啄木P1060/田中綾・啄木一族の墓は何故函館の市営墓地にある?妻・節子最期の地にP1060/山本玲子・青年たちが建てた北上川岸辺の歌碑 無名青年の徒これを建つP1070/啄木の父・一禎の晩年 一禎と高知P1070/佐藤勝・石川啄木年譜P108109B5判 910円  角川学芸出版 10・12
「短歌」 12月号が〈大特集 石川啄木〉号を発行

遊座昭吾編『啄木と郁雨 なみだは重たきものにしあるかな』新書判 228頁 952円(細目:遊座昭吾・「啄木と郁雨」P1019宮崎郁雨「歌集『一握の砂』を読む」P23180石川啄木「郁雨に與ふ」P183204近藤典彦・解説 P206214桜井健治・解題:函館日日新聞と斉藤大硯P215220/あとがき:山田武秋P222227)桜出版 1012
100年前の啄木研究宮崎郁雨『一握の砂』評

内田弘著『啄木と秋瑾 啄木歌誕生の真実』B53793700円+税(細目:第一部・啄木と秋瑾/第二部・秋瑾詩を詠い次ぐ啄木/第三部・啄木の同時代像と文学)社会評論社 10・11

山下多恵子著『啄木と郁雨 友の恋歌 矢ぐるまの花』四六判 285頁 2500円+税(第1部・啄木と郁雨(→H20・5〜「新潟日報」連載)/第2部・啄木と雨情(→H11・6「北方文学」)あとがき)未知谷 10・9
待望の図書「宮崎郁雨」評伝山下多恵子著『啄木と郁雨』刊行

美研インターナショナル発行『望郷』<石川啄木『一握の砂』出版100周年記念作品集> 四六判158頁 1300円+税(対談:堀部知子・山本玲子P148155/他に36名の短歌作品に対して山本玲子評付/啄木がこよなく愛した故郷/ほか) 星雲社(発売)10・7

荒川 紘著『教師・啄木と賢治』―近代日本における「もうひとつの教育史」― 四六判 406頁 3800円+税(細目:第一章・教育の明治維新―「学制」から「学校令」へ―/第二章・自由民権運動の教育/第三章・大日本帝国憲法と教育勅語/第四章・日清・日露戦争の時代/第五章・教師・石川啄木/第六章・大正デモクラシーの時代/第七章・教師・宮沢賢治/第八章・満州事変/第九章・太平洋戦争/第十章・戦後の「新教育」―教師・啄木と賢治への回帰―/)新曜社 10・6 荒川紘著『啄木と賢治』

佐々木信恵著『啄木を愛した女たち――釧路時代の石川啄木』文庫判 124頁 500 北海道メデア研究 H10・6

河合卓司編『一握の砂』文庫判 1200円+税 303頁(河合卓司:石川啄木と『一握の砂』/古絵葉書についてP294299)自由国民社 10・5

大沢 博著石川啄木『一握の砂』の秘密』四六判 1812100円(細目:第1章・啄木の生涯/2章・「東海の木島の磯…」の歌の意味/第3章・恐怖におののく啄木/第4章・手にこだわる啄木/第5章・中学時代からの「煩悶」/第6章・短歌の連作の過程――創造的変換を推理する/第7章・歌集『一握の砂』に秘めた鎮魂)※編注:旧著作に加筆補訂 論創社 10・3

山本玲子著「啄木うた散歩」〈皐月〉A5判 31頁 300円 盛岡出版コミュニティー 10・3

山本玲子著「啄木うた散歩」〈水無月〉A531頁 300円 盛岡出版コミュニティー 10・3

山本玲子著「啄木うた散歩」〈文月〉A5判 30頁 300円 盛岡出版コミュニティー 10・3

山本玲子著「啄木うた散歩」〈葉月〉A5判 31頁 300円 盛岡出版コミュニティー 10・3

山本玲子著「啄木うた散歩」〈長月〉A5判 30頁 300円 盛岡出版コミュニティー 10・3

山本玲子著「啄木うた散歩」〈神無月〉A5判 30300円 盛岡出版コミュニティー 10・3

山本玲子著「啄木うた散歩」〈霜月〉A5判 29頁 300円 盛岡出版コミュニティー 10・3


山本玲子著「啄木うた散歩」〈師走〉A5判 29頁 300円 盛岡出版コミュニティー 10・3

山本玲子著「啄木うた散歩」〈睦月〉A5判 29頁 300円 盛岡出版コミュニティー 10・2

山本玲子著「啄木うた散歩」〈如月〉A5判 30頁 300円 盛岡出版コミュニティー 10・2

山本玲子著「啄木うた散歩」〈弥生〉A5判 31頁 300円 盛岡出版コミュニティー 10・2

山本玲子著「啄木うた散歩」〈卯月〉A5判 30頁 300円 盛岡出版コミュニティー 10・2

 ※上記の冊子購入については、電話:019−681−1451 までお問い合わせ下さい。
 12冊のセット申込者は素敵なセットバックに入った本も購入出来ますから、直接、出版元へ問い合わせて下さい。
※「啄木うた散歩」の購入については「ユニークな2点の新刊」のコーナーで紹介しております。

美研インターナショナル発行『風紋』<石川啄木『一握の砂』出版100周年記念作品集> 四六判 219頁 1300円+税(対談:新井満・山本玲子P8〜23/43名の短歌作品を掲載し、各作者の作品に、山本玲子、昆明男が短いコメントを対談で語っている) 星雲社(発売)10・2

三枝昂之著『作歌へのいざない』四六判 255頁 1400円+税(※啄木短歌15首も含めて近現代の歌人の作品を引用解釈しながら作歌の上達方法が学べる本。特に「東海歌」についてのコメントは斬新かつ明解。)NHK出版 10・1

野口雨情
著・野口存弥編『野口雨情 郷愁の詩とわが生涯の真実』〈人間の記録172〉四六判288(雨情の記した啄木に関する文献「石川啄木と小奴」「啄木の『悲しき思ひ出』について」「札幌時代の石川啄木」を収録)1800円+税 日本と書センター 10・1

ウニタサチダンナ・望月善次 共著『石川啄木の短歌 巻TSWASNNHIYA スワサニッデイア(翻訳)「我を愛する歌」[『一握の砂』]のヒンデイー語訳』A5判 115頁(インド)H20・─・─
ウニタサチダンナ・望月善次 共著(書道:後藤加寿恵)『石川啄木の短歌:インドの色』(翻訳)117頁(インド)09・─

ウニタサチダンナ・望月善次 共著『石川啄木の短歌 巻2 DHOOAN デヴァン(翻訳)「煙・1・2」[『一握の砂』]のヒンデイー語訳』A5判 91頁(インド)09・─

荒又重雄著『啄木を英文で詠む』A4判 65頁 頒価無記載 【※既刊の英訳短歌冊子の集成本】(細目:第1章・砂山に伏せって/第2章・追われて遠い故郷/第3章・秋風のこころよさに/第4章・忘れがたき人々/第5章・東京の空の下で)北海道労働文化協会 09・1

松田十刻著『26年2か月 啄木の生涯』文庫判 315頁 695円+税(第一章・「白百合の君」と結ばれるまで/第2章・別離と流浪のはざまで/第3章・志を果たせぬままに/ほか)盛岡出版コミュニティー 0911

長浜 功著『啄木という生き方〜二十六歳と二ヶ月の生涯〜』B5判(二段組)305頁 2700円+税(細目:序・夭折の章/T.山河の章/U.青雲の章/V.流浪の章/W.懊悩の章/X.閉塞の章/Y.蓋閉の章)社会評論社 09・10

大間啄木会『大海にむかひて一人』〈大間啄木歌碑建立十周年記念誌〉四六判 全84頁 ※(啄木歌碑除幕式の写真と祝辞などを収載・非売品) 大間啄木会発行 0910

藤田幸右『小説 鍬ヶ崎の石川啄木』四六判 20頁(小冊子型) 著者刊 1010

三枝昂之
著『啄木 ふるさとの空遠みかも』四六判 383頁 2940円+税(細目:第一章・小説家啄木/散文詩/歌漬けの日々(1)〜(3)/「石破集」をめぐる問題/へなぶり歌/歌の別れ/ほか/第二章・生活者啄木/食うべき詩/『仕事の後』/思想家啄木──大逆事件と啄木短歌/『一握の砂』へ/『一握の砂』の世界(1)〜(3)/三行書きの意義を考える/ほか/第三章・啄木の明治四十四年/『悲しき玩具』の世界/近代短歌のめざしたもの─短歌史の中の啄木(1)〜(3)─/ほか)本阿弥書店 09・9

平岡敏夫著『蒼空』〈詩集 少年飛行兵の夏〉A5判 2400円+税 100頁 思潮社 09・8

逸見久美著『新版 評伝与謝野寛 晶子・大正篇』B5判 八木書店 09・8

碓田のぼる著『遙かなる信濃』〈エッセイ集〉四六判 301頁 2200円+税 かもがわ出版 09・7

石川啄木著:山本令子・訳:鷲見春佳・
『サルと人と森』 原作の寓話 A5変 39頁 1000円+税 NPO法人森びとプロジェクト委員会 09・03



石川啄木著『石川啄木』〈ちくま日本文学〉文庫判 476
解説:関川夏央・彼はむかしの彼なら
ず「天才」から「生活者」へP458468
※ 92・4 刊行の重版。  筑摩書房 09・03

中村文雄著『大逆事件と知識人・無罪の構図』A5判 3800円+税 (細目:第2章が「大逆事件と啄木、鴎外、漱石」P94178) 論創社 09・4

北沢文武
『谷静湖と石川啄木』四六判 105頁 600円+税(細目:「啄木日記」の中の谷静湖/地下出版の「青年に訴ふ」/中断された学生時代/静湖をめぐる二つの謎/刊行されなかった新雑誌/おとなしい青年たち/静湖二十六歳の死)塩ブックス(川口市赤井1−4−9)09・

※上記の図書はアマゾンで購入できます。
『谷静湖と石川啄木』をクリック

浦田敬三・藤井茂『岩手人名辞典』A53383000円+税(編注・岩手の人名、人物辞典の類似書で最も最新で啄木研究、愛好者にもお薦めです) 財団法人 新渡戸基金 09・6

小野寺永幸『秘録・金子定一の生涯』文庫判 1000円(白羊会と啄木/ほかに盛岡中学時代の啄木に関する記述数頁あり)東北史学研究所・奥州出版 10・5・9

※ 上記の2点は啄木図書では有りません。が、啄木と同時代に岩手に関わって生きた多くの人物が紹介されております。(金子定一は盛岡中学時代前後に啄木と関わった人物)
また、『岩手人名辞典』著者の一人である浦田敬三氏は岩手の近代文学を研究する第一人者であり、啄木研究者でもあります。 本書の購入は「財団法人 新渡戸基金」をクリックして下さい。メールで申し込めます。



遊座昭吾著『北天の詩想 啄木と賢治 それ以前・それ以後』 
四六判 224頁 952円+税 桜出版(東京・新宿区)

※上記の『北天の詩想』は、新刊書店にて取り寄せできます。(地方小出版流通センター扱い)

関 厚夫著『詩物語 啄木と賢治』四六判 423頁 1785円(税込)   扶桑社 08・09


井上信興著『野口雨情 そして啄木』四六判 221頁 1800円+税(啄木関係文の細目:「野口雨情」断章/啄木と野口雨情/童謡「青い目の人形」と「赤い靴」/啄木と函館/小説「漂泊」の原風景は「住吉海岸」と「新川河口」のどちらが正解か/我が愛唱歌集『一握の砂』より/書評:三枝昂之氏の「東海歌」について/「東海歌」に関する「三枝説」と「李説」/西脇巽著『石川啄木 東海歌二重格論』) 渓水社 08・07



森義真・佐藤静子・北田まゆみ編『啄木の母方の血脈─新資料「工藤家由緒系譜」に拠る─』A5判 (細目:序・遊座昭吾/工藤家由緒系譜/【参考資料】平姓熊谷氏系図 写/工藤家・家系図/解説/写真図版)全98頁 発行者:遊座昭吾/連絡先:盛岡市中堤町32―48森方 08・05


山本 卓著『啄木の妻 節子星霜 ひとり芝居・二幕』四六判 108頁 1500円+税(別役 実・『節子星霜』によせてP3〜4)                     同時代社 08・06


池田 功著『石川啄木 その散文と思想』A5判 298頁 5800円+税  世界思想社 08・03
内容目次:第一章・散文の世界(1)小説・1.音の物語「雲は天才である」論/2.「札幌」に描かれた狂──文明への批評と救済/3.「赤痢」「鳥影」における赤痢の情報を読む/4.賞金稼ぎの道──啄木と懸賞小説/(2)ローマ字日記・作品化への方法意識/「ローマ字日記」と江戸時代艶本(3)書簡/文体・署名・人称について、及び重要書簡/書簡体文学への意識
第二章・思想の世界・1.社会進化論の影響(1)高山樗牛を通して/2.社会進化論の影響(2)「相互競争」から「相互扶助」へ/3.石川啄木と短歌「滅亡」論/4.思想を育んだ北海道/古典芸能の享受


平野英雄著『啄木と朝日歌壇の周辺』A5変型・117頁・1050円 平原社 08・2
内容目次:朝日歌壇と投稿者たち/白面郎は啄木ではなかった/資料 啄木選朝日歌壇

※湘南啄木文庫では上記の図書を著者のご協力にて限定販売をしております。
詳しくは「★新刊コーナー」をご覧下さい。



オダイマ・ムハンド/武田朝子翻訳『一握の砂』<アラビア語・日本語対訳版>B5変判 170頁 ダール・タクウイーン社(シリア共和国) 07・─
 内容:─目次─p165
   はじめに P5
   我を愛する歌 P13
   煙 P67
   忘れがたき人人 P103
   『悲しき玩具』より P151

※本書は昨年シリアで発行されましたが、諸事情により国内での頒布は本年4月以降になる予定です。頒布価格や開始日がきまりましたなら、湘南啄木文庫のHPでも紹介致します。
 本書については啄木ニュースの「アラビア語版『啄木歌集』」にて詳しく紹介しております。

門屋光昭著『啄木への目線─鴎外・道造・修司・周平』 四六判 252頁 2520円 洋々社 07・12


山本玲子著『新編 拝啓 啄木さま』文庫 297頁762円+税(1999年7月出版の改訂版)
内容:「広報たまやま」に連載した「拝啓 啄木さま」(1996年4月〜2001年4月)61篇、「啄木のことば」(2001年5月〜2004年3月)30篇などが収録
  熊谷印刷出版部 07・11


水口 忠著『小樽啄木余話』(豆本10×10mm) 96頁 余市豆本の会 09・10
内容:1・小樽 啄木周辺=妹 ミツの受洗/桜庭チカ先生/なぞの女性は/「赤い靴」と啄木/一握の砂と「坂西志保」/2・新聞記者 啄木=啄木日記を読む/啄木評価の変遷─歌碑建立から─/「小樽日報」記者 啄木/榎本武揚と啄木/羽織と袴/3・小樽啄木余話=啄木通り/二階の床柱は/鬼頭病と「江戸屋」/石川家の家計 小樽編/後志の啄木歌碑は・倶知安駅前・旭ヶ丘公園中央広場/余市水産博物館前
※本書の画像及び内容については◎↑「よろず啄木文献案内のコーナーにて紹介しております。


第三書館編『ザ・啄木』<大活字版・詩・歌 小説全一冊>(1985/05並版と同じ作品を収録)A5判 618頁 2段組 07・9

※↑本書の画像は「随想と新着ニュース」のコーナーにて紹介しております。

井上信興著『続・終章 石川啄木』
46判 243頁 2000円+税 渓水社 07・8
 内容:「東海歌」の定説をめぐって/「東海歌」に関する諸説/「終章 石川啄木」の書評/啄木の文学関係者達とその雅号/啄木とその家族/書評・新井満著「石川啄木 ふるさとの山にむかひて」、西脇巽著「石川啄木 東海歌二重歌格論」、内田ミサホ「東海歌の原風景」(再考)、小林芳弘
石川啄木・梅川操・佐藤衣川をめぐりて」/随想・本に関する私の四か条、戦時下の函館病院と阿部先生(編注:阿部たつを)/資料:石川啄木の人物評/三浦光子「兄啄木のことども」(九州日日新聞連載記事)/あとがき

※井上信興著『続・終章 石川啄木』については「よろず啄木案内」のコーナーにて紹介しております。


鬼山親芳著『評伝 小国露堂─啄木に記者道を説いた男─』1600円+税 熊谷印刷出版部 07・6
内容(特に啄木に関する部分):序章 啄木に記者魂を説く/第二章・北辺の記者(2)啄木との交友/ほか


原 哲夫著
遙かなる啄木』1200円+税 近代文芸社 07・7
※本書は啄木文献ではありません。表題の随想を含む、ある教職退職者の5篇の小説的随想集です。

松本健一著『増補・新版 石川啄木 望郷伝説』<伝説シリーズ3>46判 290頁 2415円+税 辺境社(発行所) 勁草書房(発売所) 07・6
内容:1.石川啄木─敗北の自己を愛惜する─/2.石川啄木─望郷伝説─/3.啄木日記─故郷喪失の世紀─

※本書は旧著『石川啄木』(筑摩書房 1982年)の増補版であるが、旧著の「近代日本詩人選」以後に書かれた著者の啄木論も収録されている。
辺境社の連絡先:〒302−0025茨城県取手市西2−2−Gー804 電話:0297−73−7893
勁草書房の連絡先:〒112-0005 東京都文京区水道2−1−1 電話:03−3814−6861

新井 満著『ふるさとの山に向かひて』B5判 109頁 CD付き 1800円+税 CDなし 1000円+税 NHK出版 07・4
内容:短歌/楽譜と歌詞/楽曲の解説/石川啄木・年譜/啄木をめぐる十の断章/盛岡・啄木ガイドマップ/玉山周辺・啄木ガイドマップ

※上記の本については「よろず啄木文献案内」のコーナーでも紹介しております

小田島本有著『釧路から〜国語教師のメッセージ〜』<釧路新書28> 700円 釧路市地域資料室 07・3
内容:石川啄木と釧路/高専生との啄木ツアー/ほか


陽羅義光著『ぼく啄木』文庫判 147頁 952円+税  かりばね書房 07.3

※上記の本については「よろず啄木文献案内」のコーナーでも紹介しております


枡野浩一著『石川くん』
文庫判 238頁 460円 集英社 07・4
※本書は2001年11月、朝日出版から発行された本の文庫判。


岩城之徳著『声で読む石川啄木』A5判 247頁 1785円+税 学燈社 07・2
※本書は旧著『石川啄木』(学燈文庫)の再版本(新版のことわりは無い)です。文庫判の旧著を所持されている方には文字が大きくなっただけ、と言う内容になります。(佐藤)


西脇巽著『石川啄木 東海歌二重歌格論 B5判 269頁 1600円+税 同時代社 07・1
※本書についての紹介は
推薦図書コーナーにあります。



田中和雄編『啄木のうた』(文庫判 157頁 田中和雄・石川啄木の生涯 p136〜153/啄木歌集から30首を収録) 童話屋 07・1


高松鉄嗣郎著『啄木の父 一禎と野辺地町』(B5判 215頁 2100円+税)青森県文芸協会発行. 発行者=高松俊子(青森県上北郡野辺地町野辺地241−1)  06.9.29.
 
 内容:第1章・宝徳寺罷免/第2章・一禎の生い立ち/第3章・啄木の放浪生活/第4章・一禎と野辺地町/第5章・一禎とその時代

発行所連絡先=青森県文芸協会出版部
住所=青森県五所川原市唐笠柳藤巻467
電話:0173−35−5323
FAX:0173−35−8414
振替:02370−6−371

山下多恵子著『忘れな草 啄木の女性たち』四六判 253頁 2400円+税 未知谷 06・9・5

内容
第一部・啄木の女性たち(1)〜(43) P9〜162
第二部の「節子に聞く」 P163〜242

※上記の本の紹介は
よろず文献案内」のコーナ─に詳しく載せてあります。

本書の詳しい紹介記事が2006年9月10日の「盛岡タイムス」に載っております。


門屋光昭・山本玲子著『啄木と明治の盛岡』
B5判 325頁 2000円 川島印刷株式会社 06・8・24


内容
電話の鈴の鳴りて─盛岡の文明開化─/内丸大路の桜の葉─盛岡の風景─/ある年の盆の祭に─暮らしと伝説・芸能─/年賀の文を書く人と─正月そして絵葉書─/よく叱る師ありき─啄木をめぐって─

2006年10月23日の盛岡タイムスに本書の紹介記事が載っております。

※本書は一般書店では注文できませんので、発行所の川島印刷(株)へ直接連絡してみて下さい。
住所: 029−4194 岩手県西磐井郡平泉町平泉字佐野原21
電話 :0191−46−4161  FAX:0191−46−4165


井上信興著『終章 石川啄木』 渓水社

2006年6月26日発行 四六判 209頁 1800円+税
(上記本の詳しい内容の紹介は「新着ニュース」のコーナーに、内容目次は「
渓水社のHP文献案内にあります)
また、大室精一氏の「しんぶん赤旗」に掲載された書評はここをクリック
「書評.紹介欄」すればご覧になれます。

世界の名詩鑑賞会編『石川啄木選書』(ミニブックシリーズ・掌握判)77頁 525円 リベラル社 06・5


碓田のぼる著『石川啄木と石上露子』─その同時代性─ A5判 2381円 238頁 光陽出版社 06・4
(本の表紙をクリックすると大きくなります。)


(内容)もくじから
T.啄木歌「朝鮮国にくろぐろと」考─「国」を奪われた民族への鎮魂─/啄木の歌と教科書─『あかるい社会』をめぐって─/『悲しき玩具』の表記に関する一考察─あらたな表現世界─/石川啄木と1911年─死の前年をめぐる一考察─/啄木受容の一断面─1930年代後半における─/ほかU.石川啄木と山口孤剣─その同時代性と位相─/石上露子と啄木─1980年、そこまで と そこから─/宮本百合子と啄木/ほかV.石上露子と『婦女新聞』/ほか

渡邉順三著「石川啄木の生涯」
【生誕120年記念復刻】 B5判 32頁 300円 新日本歌人協会 06・4
※本書は昭和27年4月1日発行の雑誌本ですが、復刻版も雑誌形です。

池田 功著『石川啄木 国際性への視座』A5判 346頁 6800円 おうふう 06・4
(本の表紙をクリックすると大きくなります。)
(内容) もくじから 序章・尹東柱/ 第一章・東洋への視座/啄木における朝鮮/喩としての亡国─石川啄木・朝鮮国の墨塗りの歌をめぐって/尹東柱と石川啄木/韓国おける啄木の受容/啄木の中国認識/ほか/第二章・西欧への視座/啄木の国家認識─アメリカとロシアを通して/アメリカとロシアへの接近と相違/石川啄木のドイツ認識─ビスマルク評価の変化を中心に/啄木とトルストイ/啄木とハイネ/明治期におけるキリスト徒教の貌/─小説「病院の窓」を通して/西欧における啄木の受容─ドイツ語圏を中心に/ほか/


鹿野秀俊著『啄木は かく生きた そして歌った』 A4判 291頁 著者発行 06・3
 詳しい内容は著者のホームページ「啄木私観」をご覧になって下さい。
 ※発行日、定価の記載はありませんが、著者の啄木への熱い思いが伝わって来る一書です。特に啄木愛好者におすすめします。


立命館大学人文学会編『上田博教授退職記念論集』 A3判(大型版)
(以下は収録の論文より啄木関係のみ記載)

  池田 功 石川啄木の国家認識─アメリカとロシアを通して─ P28〜35

  若林 敦 『我等の一団と彼』の「私」─その人物造形について─ P36〜44

  河野有時 さばかりの事─『一握の砂』三十一番歌をめぐって─ P45〜52

  田口道昭 啄木・樗牛・自然主義─啄木の樗牛受容と自然主義─ P97〜107

  加茂奈保子 石川啄木『一握の砂』の一断面─自然主義・ふるさと・共生─P214〜222

        立命館大学人文学会発行 06・3

荒波 力著 『啄木』 ーよみがえる20世紀を代表する歌人の生涯ー A4判 定価2冊組2000円
<第一部 天才詩人・啄木の犯罪154頁> (細目・寺の子・渋民村/年少の旅立ち・盛岡/文学と恋愛と/青雲の志を抱いて・東京T/天才詩人啄木の誕生・渋民村/詩集『あこがれ』・東京U/凱旋将軍・盛岡/新たなる挑戦・渋民村)
 <第二部 啄木短歌誕生の真相 184頁>(細目・脱皮・北海道漂泊/再び挑戦・東京V/歌集『一握の砂』/東京に抱かれて死す)  南アルプス書房(428−0104静岡県榛原郡川根町家山778−1荒波方) 06・3


安元隆子著『石川啄木とロシア』A5判 386頁4800円+税  翰林書房 06・2
 (細目/T・啄木と日露戦争P9〜112/U・啄木と社会主義女性論P113〜184/V・啄木詩歌の思想P185〜314/W・ロシアに於ける啄木P315〜354(編注・本書は横書)

瀬尾明男(写真)著 『啄木キネマ』A5判 160頁 2520円 清流出版 06・2
(一般読者向け)
 北国の歌人、石川啄木の歌の風景を、現代のカメラマンが捉えたもの。啄木の歌を目で楽しむ本。
 しかし、個性的なカメラアングルは、啄木の歌の悲しみを画面いっぱいに伝えてくる・・・・・・。
 DVDやビデオでは感じられない、書籍独特の味わいが心に残った。

中島 嵩 編 『
みちのく啄木抒情-歌と詩と原風景- 』A5判  125頁 1260円(編注:啄木の歌と風景写真)  新風舎 06・2
(一般読者向け)
 編著者が長年撮りためてきた啄木の風景と啄木短歌を合わせた写真と短歌集


久保田正文編 『新編啄木歌集』<ワイド版岩波文庫 266> 440頁 1470円+税  岩波書店 06・2
(一般読者向け)

西脇巽著『石川啄木の友人 京助、雨情、郁雨四六判 215頁 1600円 同時代社 06・2・10
(一般、研究者向け)
 本書については「よろず文献案内」のコーナーで詳しく紹介しておりますので、ご覧下さい。)

永岡健右著
与謝野鉄幹研究 明治の覇気のゆくえA5判 436頁 15.000円   おうふう 06・1・25

(一般、研究者向け)
 本書は啄木図書では無い。しかし、啄木文学にもっとも深く関係する人、与謝野鉄幹の後半生を詳細に調べ上げた希有の書で、著者には『与謝野鉄幹伝ー東京新詩社成立までー』(桜楓社・昭和59年)というすぐれた鉄幹研究の前著がある。
 本書はその続編になるものだが、実に20年の歳月をかけた調査研究の結晶で、本書によってこれまで不透明な箇所の多かった「啄木と鉄幹、晶子」の関係も明らかになった。
 本書は究者はもとよりだが、愛好者である私たちには伝記本として読むと、また別な面白さがあって充分に楽しめる書でもある。
 苦言になることを言えば値段の高さであるが、内容からは充分に納得できる値段でもある。
 なお、著者の永岡健右氏は、啄木研究の名著『石川啄木伝』の著者、故・岩城之徳氏の高弟の一人でもある。
 本書の啄木関係の細目は以下のと通りである。
 第三章 『明星』廃刊前後の寛・第二節 啄木の東京新詩社観―「再会」読後とその周辺― P249〜259/第三節 門下の動向―金星会の行く末と白秋、杢太郎等の「東京新詩社」脱会― P260〜276/第四章 明治の覇気の終焉・第一節 寛の大逆事件受容 P301〜326/ほか
 
永田龍太郎著
われ泣きぬれて 石川啄木の生涯 四六判 282頁 1600円 永田書房 05・11
(一般読者向け)
 先ず本書は、伝記としても大変誤りの記述の多く目立つことを指摘して置きたい。(かつて、ある直木賞作家の小説『啄木の妻』という本にもこのような事があったが、本書は小説ではないから困る)
 著者の啄木伝記の知識は昭和初年の資料を踏襲した程度のもの?かと思えるほど拙いことにも驚くが、この本の救いは歌人としての啄木の評価である。何も知らない読者であっても、著者の語るままの啄木を受け入れるとは思わないが、誤記は毒になる事もあるから、後日詳しく指摘したいと思う。

*市立小樽文学館編 『啄木文集』四六変判 140頁 頒価掲載無し 小樽文学館発行 05・9
(市立文学館の「製本講座」受講生向けに発行)
*収録作品・一利己主義者と友人の対話/札幌/初めて見たる小樽/ほか4篇を収録

*井上信興著
薄命の歌人 石川啄木小論集46判 1500円 213頁 渓水社 05・4
(一般読者・研究者向け)
*著者の井上氏は『実録・石川啄木の生涯』(2001年・文芸書房)をはじめ、『啄木私記』(1987年・渓水社)『続 啄木私記』(1990年・そうぶん社)『新編啄木私記』(1992年・そうぶん社)『啄木断章』(1996年・渓水社)など、多数の啄木図書の研究者として広く知られている、広島県在住の医師である。
 著者が啄木に惹かれた理由のひとつに、岩手県で医学を学び、勤務医師として函館市に長く住んでおられた、ということにも所以していると思うが、氏はかつて「東海歌」の詠まれた原風景は何処か、という問題について「函館」という岩城之徳説を支持し、それを補強するすぐれた論文を発表した(『新編啄木私記』などに収録)が、氏の研究の特徴のひとつは、科学的に考察する怜悧な視点である、と言えるでしょう。
 それは今回の著書に収められた小論文の処々にも見られるが、「東海歌」の問題ひとつにしても、科学的に論証することで、決めつけでは無いが説得力を発揮する、というのが氏の手法であって、それが私のような読者には小気味良いのです。☆4は小論集の宿命とは知りながらも、もうちょっと書き足して欲しい、という気持が残るから。

*倉田 稔著石川啄木と小樽(A5判冊子型)全53頁 315円 成文社 05・3
(一般読者・研究者向け)
 *本書は小樽で発行されてる月刊雑誌「ラブおたる」に毎号1頁づつ25回連載されたものに加筆して冊子にまとめたものである。
 地方の発行誌や同人雑誌、大学の紀要など掲載の論稿が、このような廉価で一般に購入できるシステムの刊行は本当に有り難い。啄木論執筆者のほかの方々にも是非取り入れて頂きたいものと思う。

*西脇 巽『啄木と郁雨 友情は不滅』B5判 1200円 全303頁 青森文学会 05・3
(一般読者・研究者向け)
*この本は雑誌「国文学 解釈と鑑賞」(2004年2月号)誌上で、国際啄木学会長の近藤典彦氏や作家で日本ペンクラブ会長の井上ひさし氏などが、啄木の妻節子と啄木の友人宮崎郁雨とのあいだに、不貞操なことがあった、とも受け取れるような発言した内容に対し、おおいに義憤を感じた著者が独自の視点から、啄木と郁雨の不名誉を挽回せんとして書かれた論文「石川啄木、宮崎郁雨 義絶の真相」(「青森文学71号」2004年7月)が、もとになっており、著者とっては5冊目の啄木図書である。
 ★印なら5つとしたい。その事由は専門の研究家やプロの作家に向かって、正面から論争を挑んだその情熱に、深く感動するから。
 著者は精神科の医師で、啄木と出会っての時間もまだ浅い。が、啄木に傾けた熱い思いがこの本に辿りついたのだと思う。また、雑誌発表時の論文に見られた、興奮気味な荒荒しい息遣いは消えたが、それだけに説得力のある文章になっているところなども、雑誌の文章と読み比べると面白い。(本書は湘南啄木文庫でも頒布してます。詳しくは「余剰本コーナー」の最終欄をご覧下さい。)

<特別紹介・一般向け>
*碓田のぼる著坂道のアルト 』四六判 311頁 1905円+税 光陽出版 05・2
 著者がおりにふれて新聞や雑誌などに書いてきた、石川啄木をはじめ、万葉集の山上憶良から現代小説家で歌人でもあった三浦綾子まで、その人と歌を綴ったエッセイをまとめたもので,特に多くの歌人たちが、その生活の中で感じた歓びや嘆きの歌を語る著者の文章は秀逸。

*藤原隆男・松田十刻共著
啄木と賢治の酒四六判 1800円 全311頁    熊谷印刷出版部(盛岡市) 04・11
(一般読者・研究者向け)
 *「あこがれ」を果たせぬままに―出生から代用教員時代―/*忘れがたき人々・北海道の漂泊時代@A/*啄木の「酒」に関するあれこれ/これは目次の一部で、岩手大学の藤原教授(農学博士)が同大学の公開講座「石川啄木の世界」で話した研究論文を、著述家である松田十刻が「読みやすく、わかりやすい表現でまとめ」たという本である。
 啄木が本書で語られている程の酒好き人間であったか、については、私個人は懐疑心を抱いているが、啄木が酒を飲んだ時、として詠んだ歌を理解するのには参考になる一書かも知れないが、二人がかりの本にしては、誤字、誤植の多いのが気になった。

*碓田のぼる著『石川啄木ーその社会主義への道ー』 四六判 2200円 かもがわ出版社 04・9
(研究者、一般読者向け)
 本書は昭和48年と同52年の2回、東邦出版社より刊行された本の重版である。一般読者には社会主義者啄木、という側面の強調が気になる。旧版に、引用した資料の文献に誤記があって、著者はずっと気になっていた、とのことだが、著者の名著『ふたりの啄木』(労働旬報社)という自叙伝的な啄木論を読んだ人には、この著者の言葉と人柄が一致して嬉しくなる事と思う。兎に角お薦めの一冊である。
(碓田のぼる氏の著書『石川啄木』については主宰が「短歌新聞」に執筆した書評を「啄木推薦図書」に転載しております)

<特別紹介・一般向け>
菊池清麿著 『評伝・古賀政男 青春よ永遠に』四六判 318頁 2520円(注・作曲家古賀政男と石川啄木の同質性について論じた一項がり、啄木、萩原朔太郎、古賀の関連が解り易く論じており、啄木短歌から発した民衆の、心の変遷のようなものが読み取れる)
  アテネ書房 04・7

*伊五沢富雄著 『啄木を育んだ 宝徳寺物語』B5判 1500円 熊谷印刷出版部 04・6
(一般読者・研究者向け)
 内容・宝徳寺の歴史/渋民村の教育の始まり/新玉山村の発足/ほか。地元に生れ育った著者ならではの内容。著者にとって3冊目の啄木本。著者の曾祖父である、伊五沢丑松は北海道の啄木から長い手紙を貰った人。その手紙は著者が大事に保管してる、とのことだ。
 なお、研究者には森義真氏の「国際啄木学会研究年報」第8号の新刊紹介文と併読されることをお薦めしたい。。

*中山和子『差異の近代 透谷・啄木・プロレタリア文学』四六判 5000円 翰林書房 H16・6
(一般読者・研究者向け)
 本書には紀要などに発表した7篇の啄木関係論文が収録されており、書き下し論ではないが、「啄木――「家」制度・女・自然主義」や「啄木・女性・言葉――節子という「鏡」」などの論文は女性研究者ならではの、指摘もある貴重な啄木論と思う。

<特別紹介・一般向け>
*入江春行著『晶子百歌・解釈と鑑賞』 四六判 1800円+税・奈良新聞社 04・4
 本書は啄木図書では無い。与謝野晶子の百首の歌を鑑賞解釈したものだが、数万首ともいわれる晶子の歌の百首の中に啄木との関わりある歌が6首も選ばれている、と言えば著者が如何に晶子と啄木の関係を重視してるかは想像できる。
 晶子研究の第一人者である著者が、その歌を通して触れた啄木と晶子の関係には、従来言われてきた以上の新しい二人の精神的関係の深さを示唆するものがある。一読を薦めたい。

*第20回 岩手日報文学賞「啄木賞」は、下記の木股知史氏の <和歌文学大系>『一握の砂ほか』(共著)に決まりました!

*木股知史・藤澤 全・山田吉郎共著<和歌文学大系>『一握の砂/黄昏に/収穫』A5判  7500円・明治書院・04・4
(一般読者・研究者向け)
 木股氏が担当する啄木歌集「一握の砂」全歌の脚注や補注は懇切丁寧である。特に「東海歌」を新しい感覚で捉えた解釈から始まる脚注は、研究者ばかりでなく、啄木ファンも必見。また、藤澤氏の「黄昏に」や山田氏の「収穫」も、啄木と浅からぬ縁の歌人たちの集であり、それらも合わせて読める事は有り難い。啄木単独集でないのは残念だが、余禄の楽しみもある。付録の月報に載った歌人の尾崎左永子氏の文章もお薦めです。

*国際啄木学会編
論集 石川啄木 2A5判 5040円・おうふう・04・4
(一般読者・研究者向け)
 学会気鋭の研究者27名の論文とエッセイ、さらに啄木研究第一人者12人三組になる座談会は圧巻。特に3篇のエッセイが、編者名の堅苦しさを払拭してくれたのが、意外な発見であった。また、歌人の今野寿美氏が云う「啄木の殺し文句」とは意外にも・・・に思わずウフッ、となってしまった!

*望月氏の下記の著書が、第19回・岩手日報文学賞第19回「啄木賞」を受賞!
2004年7月7日の岩手日報(朝刊)にて発表されました。啄木研究にとって貴重な一冊である、と認められたことを著者と共に喜びたい。


*望月善次著
啄木短歌の読み方 歌集外短歌評釈一千首とともに 』3800円(愛蔵版・6800円)信山社・ 04・3
(研究者向け)
 前著に続く労大作。本書には著者のホ-ムベ-ス岩手大学で、学生のための授業や社会人対象の公開講座で実践された授業が、解り易く記述されている。教育の実践と研究に熱い著者の思いが伝わってくるようで、不思議な温かい研究書だ。また、前著の続篇となる歌集外短歌評釈は、啄木文学の礎を捉えた貴重なもの。

<特別紹介・一般向け>
小泉修一著
輝く晩年 作家・山川亮の歌と足跡四六判 1238円+税・光陽出版社・04・2
 本書は啄木関係の準資料図書として紹介する。山川亮は啄木と「明星」で、ある時期一緒だった悲劇の歌人として知られる山川登美子の実弟で、プロレタリア作家。後の啄木研究雑誌「呼子と口笛」社を通じて、啄木の遺児京子との交流を持つ、歌人としての亮を知る面からも、啄木文学受容史からも貴重な一書である。(この本は一定の期間のみ紹介します)

西垣 勤文学の風景有島・漱石・啄木など』四六判 全377頁 2940円 文績堂 04・5
(一般読者向け)
 既発表の啄木論稿3篇(220P〜262P)が収録されている。中でも「石川啄木におけるゴーリキー」(→S60・4「新日本歌人」)は、貴重な論稿。また、著者の啄木小説論は、上田博氏の『鳥影』論や『我らの一団と彼』論などに異論を称える論稿であるだけに、補訂されないままの旧稿での刊行は残念。

*遊座昭吾著 『啄木と賢治四六判 2625円・おうふう・04・5
(一般読者・研究者向け)
 啄木と同じ渋民村の宝徳寺に生まれ育った著者には『啄木と渋民』、『啄木秀歌』など多数の啄木関係の名著がある。4年前に病魔によって半身の自由を奪われた著者が、自らの身体の自由と啄木、賢治研究の自由を奪還し得た事を証明する、復帰第1冊目の書である。著者の人柄を知る評者は感動し、涙して読んだ。啄木研究にも貴重な論稿集である。

*近藤典彦著
『一握の砂』の研究 』A5判  6800円・おうふう・04・2
(一般読者・研究者向け)
 『一握の砂』は啄木文学の最高峰と評価する著者が、独自の視点で歌集成立の真意と「東海歌」に秘められた啄木思想の解釈、幸徳秋水事件との関係など圧倒される内容で星五つ。

*斎藤英子著
啄木短歌小感四六判  1400円・(重版)文芸社 ・04・2
(一般読者・啄木愛好者向け)
 読者の立場から啄木の代表歌を解り易く解説し、著者の体験も語られたりしている、優しい人柄の滲む啄木短歌の案内書。生前の著者を知る評者には胸の奥が切なくなるような1冊である。又、ご息女によって新装出版されたのもうれしい。

*学術刊行会編 『国文学年次別論集 近代5』A5変判<平成13年>9300円・朋文出版・04・1
(研究者向け)
(平成13年年度の啄木関係論文の収録は以下の3篇である)
*大 西 好 弘・啄木の時代閉塞
*湯沢比呂子・石川啄木の筆跡考
―「悲しき玩具」歌稿ノ-トの筆跡について―
* 大室精一 ・秋 に 降 る 雨
―<つなぎ歌>としての『一握の砂』294番歌―
(研究者向け)
 評者は収録論文選出の趣旨を掴めないが、秀逸の論文を選んでいるなら、年度内で本当に優れた論考は3点のみだったか、と言う事になれば納得できないのが素人の弁。例えば川那部保明・石川啄木と「朝日歌壇」(筑波大学近代文学研究会)などは、何故収録出来なかったのだろう。編集に不満は残るが収録論文は、我々一般読者にも面白い! また、この本の良さは啄木以外の近代文学者との思わぬ出会いのチャンスとなるので、評者は年1回の発行を楽しみにしている。

*理崎 啓著
詩人の夢 啄木評伝四六判 1000円・日本文学館・04・1
(一般読者・高校生向け)
 従来の啄木伝にあった暗い負いのイメ-ジを払拭し、明るい希望の詩人として捉えた著者の中高生向け評伝。啄木の明るい面を描くことによって、啄木文学の現代性が出色した好著である。

*西脇 巽著
石川啄木骨肉の怨 』四六判 1800円・同時代社・04・1
(一般読者向け)
 著者は近年4冊の啄木図書を著わしている。いづれの書も精神医学者としての視点から見た、啄木観で興味を惹くが、研究書としては独自性に欠けると思うのだが、これは啄木ファンの欲目?

*西脇 巽著
石川啄木東海歌の謎四六判 1300円・同時代社・04・1
(一般読者向け)
 「東海歌」を詠んだ場所が何処か、という議論ほどつまらぬものは無い、と評者は思うのだが、多くの人が真剣に論じているから面白い。そして読みたくなる。著者が何故そこにこだわったのかも知りたい、と思う。

*石川啄木著『一握の砂』文庫判・100円・ダイソ―出版・03・12
(一般読者向け)
 星五つで推薦したい気持。それは百円という値段にある。原本に忠実ながら、気の効いた脚注があり、巻末に啄木詩「呼子と口笛」と略年譜がついている。大きな文字の本というのも、ちょっとお洒落な装丁も良い。

*太田愛人著『野村胡堂・あらえびすとその時代』四六判  2800円・教文館・03・9
(一般読者向け)
 著者は啄木周辺の人々に大分興味があるみたいで、前著『石川啄木と朝日新聞』でも、啄木には冷たかったが、これは啄木愛好者のヒガメだろか。よって苦言を一言、太田さん胡堂の書いた啄木懐旧のエッセイ-は読まれましたか?

*石川啄木著『一握の砂 他』B5判 800円・ 日本文学館 ・03・8
(一般読者向け)
 ダイソ-の百円本には星五つなら、この本には一つにしたい。評者を納得させるには、何かが足りない気がする。解説も無いシンプルさは、如何なものだろうか? 覆刻本でもないのだから。

*小樽啄木会編『新・小樽のかたみ』 1500円・小樽啄木会・03・5
(研究者、愛好者向け)
 入手困難な文献再録の評価と、永年の啄木会の継承活動には心底敬服したい。評者はここに啄木ファンの原点を見る。また、啄木文学を広く顕彰し、支えてきた原点もここにあると思う。

*米田利昭著『賢治と啄木』 1700円・大修館書店・03・5
(一般読者向け)
 歌人としての著者は啄木に近い人だが、賢治の名を出したい出版元の意向が本書の真意を遮断した気がする。これが遺著というから残念なのだ。とにかく著者は啄木推進者であった。

*石川啄木著『石川啄木歌文集』 講談社文芸文庫・950円・03・4
(一般読者向け)
 解説者選びに全く工夫が無い。平凡な解説には毒も無いが益も無いもの。大手の出版社名に甘えるな!と言いたくなった。また解説者も、むかしの定説文をそのまま出すような事はせず、最新の研究論を精読して書いて頂きたい。この解説者には『富永太郎』(砂子屋書房)のような好大論もあるのだから。

*望月善次著『石川啄木 歌集外短歌評釈 1』 3800円・信山社(盛岡市)・03・3
(研究者向け)
 この本は絶対ベストセラ-にはならない。しかし研究者には絶対必要な本。著者は啄木研究に寝食を忘れる程の学究者ではないだろうか。立派な建築物の土台を記録した書物は少ないが、本書は啄木文学の土台を調査、解析したものとして貴重な1冊。

*石川啄木著『ポケットの中の啄木』B5判 1000円・白竜社・03・3
(一般読者向け)
 出版社は高い志しを持つべし、と思う。啄木の作品集に相応しい解説は付けるべきだった。読者はシンプルだけを求めてはおりません。そこが読者を識る第一条件なのでは?

*金田一京助著『新編 石川啄木』 講談社文芸文庫・1300円・03・3
(一般、研究者向け)
 啄木の友人による評伝。何回も刊行された名著。評者は本書によって友情や人生とは何かを考えさせられた。また、斎藤慎爾の解説もよい。斎藤は現代俳句の実作者としても注目される人で、寺山修司の研究者でもある。

*太田幸夫著『改訂版 啄木と鉄道』四六判 1500円・富士書院(札幌)・03・1
(一般読者向け)
 退職後に始めた啄木と鉄道(北海道)の関わり研究から啄木にハマッテしまった、という啄木愛好者の一冊に拍手を贈る。とにかく楽しい研究書?である。



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