歴史上でも画期的なシンクタンク
運営者 それにしても、うまくはまりましたね。大車輪の回転だったじゃないですか。それに、東京財団にきていなかったら、竹中さんは大臣にならなかったでしょうね。
それで、鈴木さんと竹中さんというコンビを中心にして資源を配分できて、いろんな人が東京財団に集まってきたわけです。
例えば森内閣のIT戦略なんてのも、あそこが実際の中心だったと思いますし、それでこれだけ日本では遅れていたブロードバンドが広がって、値段も安くなったという利益を実際にわれわれも享受している。
ほかにも、首相の施政方針演説を霞が関から取り上げて作ったりしてたんですからね、前代未聞の話ですよ。そこまでのことが、政府に対して全く独立的なシンクタンクで行われたというのは、日本の歴史上でも画期的なことであって、すごいことだと思うんです。
しかもそれがほとんど世間には知られてない、いったい全体どういうことなんだろうと思いますね。
あと面白いなと思ったのは、世間は竹中さんのことが嫌いですから、「ここまでみんなが嫌ってるんだったら、小泉首相は竹中さんの首をすげ替えるだろう」とみんな思い込んでいたわけですよね。だけど、小泉首相と竹中さんのつながりの深さを考えれば、小泉内閣のブレーンには竹中人脈がごっそり入ってるわけですからそんなことはできるはずがないわけですが、世間はそれを知らないわけです。このあたりのことは、非常に面白く見ていましたね。
つまり、ワシントンのシンクタンクが、政権が替わったらごっそりホワイトハウスに入って、政権を支えるといったことを現実的にやったわけだし、それが日本の現政権を支えているわけです。
鈴木 でも東京財団の研究事業部は実質上「なくなりました」からね。
運営者 だけど、所期の目的は達成したかもしれませんよ。鈴木さんたちがあれだけ大暴れした結果、少しずつ世の中も変わってきてるんじゃないですか。
鈴木 そう言っていただいてありがとうございます。そういう言い方をしてくださる方は少なくありません。ところがね、もう今や海外を抜きにして日本だけで物事を語れる状況ではないわけです。
そうするとですね、日本は確かに少しずつ変化しているかもしれませんが、アジアはもっと早いスピードで変化しているし、先進国も変化のスピードをぐっと上げてきているわけです。だから日本がここで多少変化したとしても、全然追いつかないんですよ。
彼らから見ると、日本は変わっていないのと一緒なんです。相対比較からすると。
だから、日本はさらに変化のスピードをアップしなければなりません。それをどうするかというのが、われわれが今抱えている問題なんです。
よく言われる、「日本も変わっているじゃないですか」という変わり方は、それじゃダメな変わり方なんです。そこが重要なポイントです。日本はいい国だし、好きですけど、だけどダメなんです。