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 女性の労働と健康

  過労性疾患外来の運動療法士からの助言

医療法人社団 港勤労者医療協会
芝病院運動療法士 武 田 紀 子

男女雇用機会均等法や労働法の改正(改悪)で,多くの分野への女性の進出がみられます。しかし,パート労働者の8割が女性という実態から見ても,女性は単純反復上肢作業をさせられることが多いようです。

◆ 男女の違い

筋力,体力が異なります。筋肉の量は男性のほうが多く,力仕事は男性に,細かい仕事は女性にという分担が,昔から自ずとなされてきたようです。

現代の労働現場では,男女差に関係なくOA化が進み,キーボードやマウス操作が主なコンピュータ作業が多くなっていますが,ここでも長時間,単純反復作業は女性の仕事にされることが多いようです。

こうした上肢作業は,腕や手首,手指など,体の一部分への過剰な反復酷使が局所障害を招き,また一定の姿勢保持による静的筋疲労,さらに注意の集中や正確さ,速さが求められることから神経性疲労が起こりやすいと言われています。

◆ 女性に多い自律神経失調症状

職業性頸肩腕障害にも男女差があります。

こりや痛みも男性は局所にとどまるのに対して,女性は肩から背腰部,腕にも広がりやすい傾向が見られます。

また女性のほうが冷え症状,胃腸症状(特に便秘),不眠などの自律神経失調症状が強く出る傾向があります。

◆ 生理的機能の違い

月経周期による体調の変化や,更年期の問題は,女性にとっては大きなウエイトをしめます。

更年期には,肥満やコレステロール値の増加,血圧の上昇など,生活習慣病の症状も現れやすく注意が必要です。

◆ クーラー戦争?

男女差は体感温度にもあります。快適に感じる温度は男女で3℃から5℃の違いがあると言われています。

男性優先,コンピュータ優先の室内温度環境が,女性にとってはつらいという声は多く聞かれます。刺激に敏感な女性に合わせる配慮が必要です。

特に頸肩腕障害や自律神経失調症にかかっている女性の場合には,クーラーで体調を崩すことが多く見られます。職場や,通勤電車の中では冬期問なみの意識的な防寒対策が必要です。

◆ 家事・育児,それに加えて介護の負担

家事・育児は,女性の仕事という実態は日本社会全体に,まだまだ根強く見られます。フルタイムの共働き家庭でも,家事労働の主は女性,男性は援助者。

自治体労働者の実態調査でも,女性の勤務時間は短い,残業はなくても,睡眠時間や自分の余暇の時間は女性のほうが短く,休暇も家事や保育に利用しているという結果です。

家庭での負担は圧倒的に女性にかかっていることがうかがわれます。

男性の労働がもっとゆとりのあるものに変化しない限り,個々の家庭や個人の努力だけでは,女性の家事労働軽減には限界があると思われます。


●● 女性の健康対策 ●●

(1)
以上のような男女の違いを知ったうえで,どのような対策が取れるでしょうか。
まず,心がけたいのが,時間的にゆとりのある生活サイクル作りです。ゆとりがなければ,休養が不十分になり疲労が慢性化しやすい。ゆとりがなくなることで自分の体調の変化に気づかない,気づいても対応することができなくなります。

(2)
次に,ウオーキングやスポーツ,遊ぶことで,積極的にストレスを発散したり楽しみ,積極的な休養を取ることです。定期的な運動は,自律神経失調症状や生活習慣病の予防にもなり体力の維持に もつながります。

ここで注意しなければならないことは,一日の活動量と休養のバランスです。

仕事と家事で疲れ果てていて,休養不足のまま頑張ってスポーツなどをしようというのでは逆効果です。それでは疲労が回復せず,慢性疲労,腰痛症や頚肩腕症候群を招くことになります。

(3)
現代の過密労働,夜型社会での生理的な休養条件の悪化に対応するには,質のよい休養をとるよう心がけることが必要です。

具体的には,仕事の合間や,仕事の一段落に,ストレッチング,呼吸法やイメージトレーニングなどでのリラクゼーション法の,何かひとつでも,身につけ′ることです。

1日に数回,数分間でもいいので,「体がゆったりしているな」「のんびりしているな」「気持ちがいい な」と実感できる時間を作ることが大切です。

  ス ト レ ッ チ
ストレッチングや軽い運動は,偏った体の使い方をする労働での疲れを取るきっかけを作ることができます。キーボードを打つときの腕の負担やディスプレーと原稿を交互に見る眼の負担は,小さな筋肉の疲労なので,疲労を感知しづらいのです。

軽い全身の運動で,大きな筋肉も刺激することで,脳が体の状態を改めて認識することができます。また,気づかなかった疲労感やこり,つっぱりを実感することができます。

体調を把握するためには,毎日同じ運動をすることをお勧めします。駅の階段が今日は軽く昇れた,腕を伸ばしたときのつっぱりが今日はひどい,など。その日の体調を判断する材料にもなります。

同じ運動でも,朝は「体を起こす」「仕事がしやすいように整える」「体調を知る」ために。仕事の合間や終わってからは「疲労感を実感する」「休養するきっかけを作る」ため。役割が違うことも,知って役立てたい点です。

ストレッチングを行なうときの注意点は(1)気持ちよく,痛みを感じない程度に(2)反動をつけずゆつくりと(3)息を吐きながら(4)15秒〜30秒伸ばしてください。

体調を知ることができたら,それを無視せず,対応することが大切です。疲れるのは当然であつても,疲れがとれないのは正常ではない状態です。どうすれば「体がゆつたりしているな」と実感できるか,働き方,生活の仕方を再検討してみましょう。

自分のための時間を作る,体に意識を向ける時間を作ることが,現代には一番不足していて,必要なことでしょう。

座ったままで

(1)腰〜下肢のストレッチ

電車の中で

(2)首を伸ばす

●イスに浅めに座ります
●片足を伸ばし,足首を曲げる
●ゆっくり上体を前にたおす
●反対も

●頭だけを傾け,首を伸ばす
●左・右・前だけでなく,ななめ方向も,首〜肩甲骨の内側に かけて伸ばす
※手かげんしすぎ,と思う(感じる)程,ゆるめにストレッチします。やりすぎは逆につっぱりが表れます。

席を立った時に

(3)体制


(4)アキレス腱伸ばし

●肩幅くらいに足を開き
片腕を上げ,上体をたおす
※腰が痛ければ,横にたおさずず,ななめ上方向に手を押しあげる

●壁に向って立ち,肩の高さに手をつけ,足を前後に開く
●前足の膝を曲げる
※後ろ足のつま先はまっすぐに
※伸びすぎていたら,もっと壁に近づいて

                                  ( 2001.7 労働共済連 夏季号 掲載)



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