子どもたちは、未来への「希望」です。将来を背負って立つことができる可能性を持っています。
子どもたちは、それぞれ一人の人間として、その専厳と権利が尊重され、心も身体も健康で過ごし、個性と豊かな人間性がはぐくまれる中で、社会の一員として成長に応じた責任をはたしていかなければなりません。
平成6年、国は、「児童の権利に関する条約」を結びました。そして、世田谷区も平成11年に「子どもを取り巻く環境整備プラン」を定め、子どもたちがすこやかに育つことができる環境をつくるよう努めてきました。
子どもたち自身が自分の考えで判断し、責任をもって行動していくには、社会における決まりごとや役割を自覚し、自ら学んでいく姿勢を持つことが何より大切です。大人たちも、子どもたちが能力を発揮することができる機会を確保しながら、愛情を注ぎ、理解を示すとともに、時には厳しさを持って接することも必要です。
このことは、私たち世田谷区民が果たさなければならない役割であると考え、子どもたちが育つことに喜びを感じることができる社会を実現するため、世田谷区は、子どもたちを含めたすべての世田谷区民と力を合わせ、子どもたちがすこやかに育つことのできるまちをつくることを宣言して、この条例を定めます。
第1章 総則
(条例制定の理由)
第1条 この条例は、子どもたちがすこやかに育つことができるよう基本となることがらを定めるものです。
(言葉の意味)
第2条 この条例で「子どもたち」とは、まだ18歳になっていないすべての人のことをいいます。
(条例の目標)
第3条 この条例が目指す目標は、次のとおりとします。
(1)子どもたち一人ひとりが持っている力を思い切り輝かせるようにする。
(2)子どもたちがすこやかに育つことを手助けし、子どもたちのすばらしさを発見し、理解して、子育ての喜びや育つ喜びを分かち合う。
(3)子どもたちが育っていく中で、子どもたちと一緒に地域の社会をつくる。
(保護者の務め)
第4条 保護者は、子どもたちの養育と成長について責任があることを自覚し、子どもたちとふれあう機会を大切にして、子どもたちがすこやかに育つよう全力で努めなければなりません。
(学校の務め)
第5条 学校は、子どもたちが人間性を豊かにし、将来への可能性を開いていくため、地域の社会と一体となって、活動をしていくよう努めなければなりません。
(区民の務め)
第6条 区民は、地域の中で、子どもたちがすこやかに育つことができ、子育てをしやすい環境をつくっていくため、積極的に役割を果たすよう努めなければなりません。
(事業を行う者の務め)
第7条 事業を行う者は、その活動を行う中で、子どもたちがすこやかに育つことができ、子育てをしやすい環境をつくっていくため、配慮するよう努めなければなりません。
(区の務め)
第8条 区は、子どもたちについての政策を総合的に実施するものとします。
2 区は、子どもたちについての政策を実施するときは、保護者、学校、区民、を行う者などと連絡をとり、協力しながら行うものとします。
第2章 基本となる政策
(健康と環境づくり)
第9条 区は、子どもたちの健康を保持し、増進していくとともに、子どもたちがすこやかに育つための安全で良好な環境をつくっていくよう努めていくものとします。
(場の確保など)
第10条 区は、子どもたちが遊び、自分を表現し、安らぐための場を自分で見つけることができるよう必要な支援に努めていくものとします。
2 区は、子どもたちが個性をのばし、人間性を整かにするための体験や活動について必要な支援に努めていくものとします。
(子どもたちの参加)
第11条 区は、子どもたちが参加する会議をつくるなどして、子どもたちのいろいろな意見をきき、子どもたちが自主的に地域の社会に参加することができる仕組みをつくるよう努めていくものとします。
(虐待の禁止など)
第12条 誰であっても、子どもたちを虐待してはなりません。
2 区は、子どもたちへの虐待を防止するため、地域の人たちと連絡をとり、協力しながら、子育てをしている家庭に対し、必要なことを行うよう努めていくものとします。
(虐待の防止)
第13条 区は、子どもたちへの虐待を早期に発見し、その子どもたちを保護するため、すべての区民に必要な理解が広まるよう努めていくとともに、児童相談所や自主活動をしている団体と連絡をとり、協力しながら、子どもたちへの虐待の防止のための仕組みをつくるよう努めていくものとします。
(いじめへの対応)
第14条 誰であっても、いじめをしてはなりません。
2 区は、いじめを防止するため、子どもたちを含めたすべての区民に必要な理解が 広まるよう努めていくとともに、いじめがあったときに、すみやかに解決するため、保護者や地域の人たちと連絡をとり、協力するなど必要な仕組みをつくるよう努めていくものとします。
(子育てへの支援)
第15条 区は、地域の中での助け合いや連絡を強め、子育てをしている人たちのために必要なことを行うよう努めていくものとします。
(相談と擁護)
第16条 区は、子どもたち自身からの相談や子どもたちについての相談に対し、すみやかに対応するとともに、必更なときは、擁護するよう努めていくものとします。
第3牢 推進計画と評価
(推進計画)
第17条区長は、子どもたちについての政策を進めていくための基本となる計画(以下「推進計画」といいます。)をつくるものとします。
2 区長は、推進計画をつくるときは、区民の意見が生かされるよう努めなければなりません。
3 区長は、堆進計画をつくったときは、すみやかに公表するものとします。
(評価)
第18条 区長は、子どもたちについての政策を有効に進めていくため、推進計画に沿って行った結果について評価をするものとします。
2 区長は、推進計画に沿って行った結果について評価をするときは、区民の意見が生かされるよう努めなければなりません。
3 区長は、推進計画に沿って行った結果について評価をしたときは、すみやかにその評価の内容を公表するものとします。
第4章 推進体制など
(推進体制)
第19条 区長は、子どもたちについての政策を計画的に進めていくため、推進体制を整備するものとします。
(国、東京都などとの協力)
第20条 区は、子どもたちがすこやかに育つための環境をつくるため、国、東京都などに協力を求めていくものとします。
(雇い主の協力)
第21条 雇い主は、職場が従業員の子育てに配慮したものであるよう努めていくものとします。
2 雇い主は、子どもたちがすこやかに育つことに関わる活動や子育てを支える活動へ従業員が参加することについて配慮するよう努めていくものとします。
(地域の中での助け合い)
第22条 区は、子どもたちがすこやかに育つことができるようなまちをつくっていくため、地域の中での助け合いに必要なことを行うとともに、自発的な活動がなされるよう必要な取組を行うものとします。
(啓発)
第23条 区は、この先例の意味や内容について、子どもたちや保護者も含めたすべての区民に理解してもらうよう努めなければなりません。
第5章 雑則
(委任)
第24条 この条例を施行するために必要なことは、区長が定めます。
附 則
この条例は、平成 年 月 日から施行します。
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