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99-2: 岩に苔むす巨石の山
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石 老 山 694m
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石老(せきろう)山は相模湖の南側に位置する眺望の良い山で、沢山の苔むす巨石を有する山です。 丹沢の大山と同じく、山岳信仰の山でそれらの巨石を信仰の対象としている。
山の中腹にある顕鏡寺とその奥の院は巨石に囲まれた中に位置し、相模原を越えて遠く東京まで眺望できる。
頂上からは丹沢の山々が間近に迫り、その右手奥に富士の勇姿が望めます。 更に奥多摩と秩父山系の山々が広がり、それらの眺望を十分満喫できる。標高は694mと余り高くなく、一般向きの手軽なハイキング・コースだ。
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日時: 1999年2月13日(土)快晴 気温は0度以下
参加者: 今井、太田、中島、中村、林、平山三、細谷、巻島、矢野、山下
交通: 行き:東武・幸手(6:26)―>新越谷(6:54着)JR南越谷(7:04)―>相模湖(8:30着)
帰り:タクシー・やまなみ温泉(18:20発)―>藤野(18:35着)JR藤野( 18:44発)
―>南越谷(20:22着)東武・新越谷(20:48発)―>幸手(21:19着)
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登山コース: 約7時間(除く昼食時間) : 27,000歩/約13Km
(相模湖駅〜嵐山山頂): 1Km: 1時間(8:40〜9:40)
今日の登山目的地である石老山に登る前に、嵐山を経由して行くルートをとった。
嵐山は相模湖の東岸に屹立する405mの小さな山で、その景観が京都の嵐山と似ている事に因んで名づけられたという。
相模湖の水を塞き止めた相模ダムの南側から登山道に入る。
11日に降った雪が未だ溶けずに残っており、湖面から吹き上げる冷たい風とあいまって寒気が頬をさす。
1時間程の登山で頂上に着く。 頂上には産霊宮水上神社が祭られている。
この神社は西側の眼下に広がる相模湖の水の守り神の役割を果しているようだ。
社の前の看板に「桂川清く流れて相模湖の水は都民の命なりけり」と言う歌が詠まれている。
頂上からの眺望は、西側の真下に広がる相模湖が一望のもとに望め、その向うに丹沢山塊が広がり、遠く真っ白な富士の頂きが聳えている。
(嵐山山頂〜鼠坂〜顕鏡寺〜石老山山頂): 3時間20分(10:00〜13:20)/ 6Km
嵐山から石老山に向かうには、一旦鼠坂まで下って再び登る事になる。
楢の落ち葉を踏みしめながら南斜面を下りはじめると、先の降雪でがけ崩れの個所が現れた。
細いロープが10m程崩れた個所に渡されている。
足の踏み場が殆ど右の谷に崩れ落ちてしまっており、5mぐらいの距離をロープを便りに伝い歩きして先に進む事になる。
女性にとっては難関である。 Aさんは何とか男性のサポートを得て、冷や汗もので渡り終えたが、Bさんは足を滑らせた瞬間「あっ!」。ロープにぶら下がる格好になった。
全員が渡り終えて、更に谷越えの細い丸木渡しを揺れながら無事通過すると、急に開けた高台が現れた。
梅の蕾も膨らんで今にも咲き出しそうな湖を見下ろす高台は、既に春だ。
梅林のそばのお墓は相模湖を見下ろし、富士を望める最高の位置取りにあり、仏様もまさに天国の気分だろう。
未だ雪があちこちに残っている鼠坂。 日だまりの農家の梅の下の黒土に、福寿草がぽっと黄色く咲いている。
その庭先を曲がって顕鏡寺に向かう。
今までの自然に満ち足りたハイク気分を損なわす様な、景色と不釣り合いな青一色で塗り固めた4階建ての「相模湖病院」棟、その横の道が石老山の入り口だ。
顕鏡寺は石老山の中腹に位置し、そこまで階段状の参道が続く。
参道を登るにつれて、周りには沢山の巨石が現れる。
駒立岩(11mX17m)、大天狗岩(14.5mX16m)、鏡岩(23mX5m)、そして「飯綱大権現」の奥の院が祭られている雷電岩(23mX19m)など錚錚たる岩だ。
名前から想像すれば、それぞれの岩は「なるほどその様に見えない事もないな?」驚いた事に、いずれの岩も皆苔むした古い齢を数える事ができる。
これらの岩に因んで「石老山」と名づけられたのだなという事が想像できる。
ここで、長い階段の連続の為、Cさんがひざを痛めた。未だ登りの中間なので、ペース・ダウンしてゆっくり登る事にした。
予定より多少遅れて、694mの石老山山頂に着いた。
一面5cmぐらいの雪に覆われて、少し寒いがここで昼食となった。
丹沢の山々や、奥多摩、秩父山塊を眺めながらの素晴らしい昼食は、今までの疲れを一掃してくれた。
山に頂上があるから、そしておいしい昼食があるから、皆山に登るのだろうか?
特に今日は雲や霞が風邪で吹き飛ばされ、澄み切った青空の下、丹沢の山並の上に真っ白な富士山がくっきりと勇姿を浮かべている最高の眺望となった。
だから昼食も一層おいしい。
(石老山山頂〜篠原〜藤野やまなみ温泉): 2時間40分(14:00〜16:40)/6Km
頂上を極めると、残された我らの目的はただ一つ。
温泉に浸かって疲れを癒し、「グイッ」とやるのが至上の幸せ。
一路麓の篠原に向かった。 途中分岐道があり、先行隊は左に道を取った。しかし、後発隊が誤りに気づき、引き返して無事篠原についた。皆そこで温泉に入れるものと一息いれた。
しかし、「やまなみ温泉」の看板が無情にも「あと3.7km歩いてください。」とお告げを出している。
温泉の無い山行は我が「登山部会」の趣旨に反する?
皆疲れた足で山間の道を藤野に向かった。 膝を傷めたCさんは運良くヒッチハイクができ、先に温泉で我々を待つ事となった。
岡の上に建てられた「藤野やまなみ温泉」は、周囲の山々を見渡しながら入浴できる眺望の良い温泉だ。
芝生の上に雪の残る庭にせり出して作られた露天風呂は最高だ。
一度内風呂で暖めた身体で、思い切って零下の外気の中に飛び出し、露天風呂に浸かった。
しばらくすると、温泉で身体はほてってきたが、顔だけは外気で冷えて実に妙な感覚だ。
風呂に浸かりながら思い切り深呼吸をすると、暖まった身体に、零下の外気が暖まった内臓に流れ込んで、深く染み渡って行く。
まるで「空気の寒ビール」を飲んでいるようだ。
飲み込んだ外気が、喉ごしに甘く感じられるのは何故だろう?
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(本日のハイライト)
[オソダチの太田]:
石老山頂にやっと着いた。 驚いた事に、太田さんが急に現れた。
「太田さん、何んでここに居るの?」 誰もが抱いた疑問だ。
幸手駅を出発する時、太田さんは顔を現さなかったので「突っ込みの太田がいないと締らないね。」と欠席を惜しんだものだった。 実は朝寝坊をし、予定の電車に乗り遅れた為別ルートで追いかけて、結果的に嵐山に登った我々を追い越して、先に石老山頂に着いていたとの事。
我々の到着が遅れたので、1時間半も寒い頂上で我々を待っていたとの事だ。
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