99-5 絶景の那須高山散歩                                   

         三 本 槍 岳    1,380m


 三本槍岳は山名から想像すると、尖った槍のイメージを抱くが、実際は重量感のある丸い山である。山名の由来は、昔この地が会津、白河、黒羽の三藩の領界で、毎年5月5日に行われた領地確認の際、各藩の槍を立てた地との由来である。 「那須岳」という名称は、三つの高峰である茶臼岳朝日岳、そして三本槍岳のそれぞれに冠される通称で、どの岳を指しているかは定かでない。 しかしながら、三本槍はそれら三峰の最高峰で、やはり那須岳を代表する山といえる。 叉、日本百名山にも名を連ね、三峰の一番奥に位置する堂々たる山容である。
 1,500mを越えるあたりから、木々の丈も1m以下の潅木類となり、素晴らしい360度の眺望が望める。 噴煙を上げる茶臼岳、穂高にも似た朝日岳、そして最後方にどっしり構える三本槍岳と、全く異なった三様の山容がそれぞれ競い合っているかのようである。 そんな中で、朝日岳と三本槍岳の間に広がる高地の湿原、清水平(しょうずだいら)は、山桜や群生のシャクナゲが咲き乱れる中で、我々登山者に高地の楽園のような安らぎを与えてくれる。ちょっとリュックをおろして、シャクナゲにくちづけしてみたくなる誘惑に駆られる。 標高は1,916mだが、山麓駅が1,380mであるので登山の標高差は約540m、初級の上クラスのコースといえる。


日時:   1999年6月5日(木)曇後晴    気温は山頂で約15度位
参加者: 太田、小谷野、竹島、中島、中村、野崎、林、平山三、細谷、巻島、諸橋、吉田、
     矢野、山下(竹島さんが初参加)
交通:  行き:JR東鷲宮(5:58)―>黒磯(7:46着)バス・黒磯(8:00)―>那須山麓(8:50着)
         帰り:バス・北湯入口(16:45)?>黒磯(17:35) JR・黒磯(18:02)―>東鷲宮(19:50)


登山コース: 6時間(除く昼食時間) : 約12Km/27,000歩

 集合はJRという事で、本日は東鷲宮に集合。 久しぶりで高山への挑戦という事で、朝から皆張り切っている様子が伺える。 朝の参加は12名。 今日は、走友会の竹島さんが初参加した。 太田さんは、昨夜からの社員旅行先である鬼怒川から、直接遅れて合流するとの事である。 久しぶりに細谷さんも参加したので、名コンビ復活か?

(山麓駅〜峰の茶屋〜朝日岳山頂)  1時間50分(9:10〜11:00)

 バスの終点の那須岳ロープウェイ山麓駅で下車。 ここで、バスの乗客はロープウェイを使って茶臼岳に向かう組と、朝日岳/三本槍に向かう登山組とに別れる。 ここから見上げる朝日岳は、「ニセ穂高」とも呼ばれ、尖ったアルペン的な山肌を覗かせている。 竹島さんが持ってきた双眼鏡で山頂を覗くと、何人かの先行組が頂上の岩のてっぺんに立っているのが手に取るように見える。 「我々ももうすぐあそこに立てるのだ。」と思うとわくわくしてくる。 最初は茶臼と朝日の中間に位置する峰の茶屋までの行程である。

 山麓からしばらく進むと丈の低い潅木にかわり、やがて活火山である茶臼の火山岩のでこぼこ道になった。 左前方に茶臼、右に朝日をを見上げながら進む景色は、中央アルプスを連想させる。
(写真:茶臼岳を左前方に見ながらのなだらかな登り)
1時間弱のなだらかな登りで、峰の茶屋に到着した。 素晴らしい眺めである。 南に茶臼、北に朝日、そのずっと奥に三本槍、そして南東に関東平野が見下ろせる。 ちょっとその手前に目を移すと、ピンク帽らしき者が登山者の列の中に見て取れた。 「竹島さん、双眼鏡を貸して?」 「来た、来た、太田さんだ。意外に早く追いついてきたな。 オ、誰かと一緒だよ。 中村さんみたいだよ。」 さすがに高級双眼鏡、実に鮮明に遠方の物が見える。 「太田さーん」と大声で呼ぶと、聞こえたらしく手を振っている。

一息入れた後、朝日岳に向かう。 途中鎖場がある。 左側が谷になっている尾根である。Aさんにとっては、昨年の熊倉山の再現である。滑っても怪我をする程ではないので、皆気軽に「Aさん、腰が引けているよ。もっと腰を伸ばして!」と、冷やかし半分に掛け声をかける。
(写真:鎖場を通過)
「太田様は神様です。」 鎖場通過で、手を引いてエスコート。冷や汗だくだくのAさんは、無事通過。 続いて、朝日岳への10分程のやせ尾根登頂は、Bさんがエスコート。 Aさんは朝日岳山頂に立って大感激。


(写真:朝日岳から茶臼岳を振り返る)
















(朝日岳山頂〜清水平〜三本槍岳山頂)
  1時間20分(11:10〜12:30)

 三本槍に向かう道は、今までの岩のごつごつした尾根から、広々とした潅木の林になった。はい松、山桜、そしてシャクナゲの群生と急に別世界に飛び込んだ。 林さんが「花の美しい山」として選んだだけに、満開のピンクのシャクナゲの繚乱は素晴らしい。足元の岩場には、ヒメイワカガミが赤い花を開き、高山の実感を与えてくれる。 清水平付近はこんな高地なのに、湿原となっており、尾瀬のように、一部に渡り板が引いてある。ここらでちょっと一休み。 三本槍への行程は、なだらかな潅木の中を登ってゆく。頂上も広々としており、眺望も良し。ここらで本日の楽しい昼食。
(写真:シャクナゲの群生の向こうに三本槍を望む)

(三本槍岳山頂〜北温泉)  2時間20分(13:10〜15:30)

  三本槍から30分程もどり、そこから南東の方に分岐して、中の大倉尾根を北温泉に下る。 笹の群生地をぬけ、シャクナゲの群生地に入り、更に下って行くと、ダケカンバ白ヤシオなど背の高い木々が現れ、眺望の途絶えた林の中をひたすら下る。途中、笹竹の竹の子狩り。果してうまいのでしょうか?


本日のハイライト:

北温泉:
3:30〜4:15)

 車道から1Km程横道に入った沢沿いの北温泉は、この下山ルートをとる人の大半が利用するようだ。 温泉宿の玄関は、登山客でごった返しており、入湯券も自動販売機で買わなければならない。 700円の入湯料を払った割にはサービス感覚ゼロ。 勝手に風呂場を探して、勝手に入浴しなさいというあんばい。他に競合が無い強みか? 温泉は熱すぎて浸かっていられない。すぐ出て打たせ湯に行ったが、熱すぎて火傷しそうで、ここも早々に退散。 次に見つけた小さな風呂は、粗末な木戸が締っており薄暗い。ここは熱すぎないが、ぬるすぎる。 風呂に浸かったら、したたか尾テイ骨を杭に打ち付けてしまった。栓に中途半端に長い角材を使っており、それが、薄暗い水の中に立っていたのだ。 ついてない時は、ろくな事にしか合わない。早々に退散だ。 「君たち、遠慮しないで入っておいで!」もじもじしている若者3人が、先に風呂に入っているオバサンを見つけ、躊躇している。 オット、ここは混浴だったのだ。もう一度入り直そうか? でも時間が無い。バスに乗り遅れてしまう。


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