99-7 日光連山の盟主                                     **

            男 体 山     2,484m


 中禅寺湖を前景に、そして戦場ヶ原を袂に聳え立つコニーデ型のおおらかな山容を持つ“男体山”は、その堂々とした男性的な姿を湖に写しながら、日光連山の中央に君臨しているかの様に見える。例にもれず男体山も古くからの信仰の山で、毎年7月31日から1週間の登拝登山には、全国から多くの人が集まり、早朝の太鼓を合図に一斉に頂上を目指す恒例の行事で賑わう。男体山は後方に女峰山、太郎山、大真名子山、小真名子山を従え、あたかもファミリーを形成した、その家長であるかの様である。
 登山コースは正面からのニ荒山コース、後ろからの志津コース、そして三本松コースと3つのルートがある。正面のニ荒山コースは、中善寺湖畔のニ荒山神社からの標高差は1,200mあり、ほぼ直登であるので結構体力を要する。中級の上クラスのコースといえる。


日時:   1999年9月11日(土) 曇 
参加者: 太田、貝塚、工藤、小林、中島、林、平山さく子、巻島妻、吉田、矢野、山下(記)   
交通:  行き:幸手(5:57発)―>日光(7:30着)バス・ 日光(7:38発)―>ニ荒山神社(8:30着)
    帰り:バス・三本松(18:20)?>日光駅(19:30) 東武日光(19:49)?>幸手(21:22着)


登山コース: 約8時間(除く昼食時間) :  28,340歩

 前回8月の蓼科山が天候の都合でキャンセルになったので、甲斐駒以来2ヶ月ぶりの山行になり、皆うずうずしている気持ちが手に取る様に伝わってくる。 今回は久しぶりの矢野さんと、初参加の工藤さんと巻島さんが加わって12名のパーティとなった。

(ニ荒山神社〜男体山山頂)  4時間(8:50〜12:50)

 三本松から志津越しに後方から登る予定であったが、全体の時間配分を考慮すると、下りで日暮れてしまう懸念がある為、バスの中で急遽コース変更して、登りにニ荒山コースをとることになった。 バスを降り、ニ荒山神社の登拝門である赤の鳥居をくぐり、入山料¥500を払って参拝を済ませた。せっかく初穂料を\6,000も払って御札だけでは高すぎるので、ついでに庭の砂を馴らしている神主さんに記念写真のシャッターを押してもらった。登りは信仰の山だけに、神社の一合目から十合目まで合目が刻まれている。一合目から急な直登で、階段状の整備された道が続く。天気はあいにくと曇で、時々雲の切れ目から中禅寺湖、その向うに半月山や社山が見下ろせる。北の方には、高山や白根山も望める。
 三合目を越えたあたりからAさんが急な登りの為、足に来て苦しくなってきた。 あいにくと、今日は強力・平山がいないので、男子陣が交代でAさんのリュックを背負ってサポートした。この時期はシーズン・オフなので余り登山者も多くなく、ペースを落としてゆっくり登る事にした。 粗末な掘立て小屋のある五合目を越えたあたりから樹林がきれて、急峻なガレ場になる。更に初参加のBさんも7合目当たりで足に来て、苦しみながらもやっとのことで全員が頂上に辿り着いた。 山頂には高さ4mの青銅製の大国主命の像が目を引く。更に右奥に半鐘と赤さ錆びた巨大な刀剣が天を突くかのごとく聳えており、信仰の山らしく歴史を感じさせる。あいにくの雲で、山頂からの素晴らしいはずの眺望が全く望めない。残念!(写真:中禅寺湖からの男体山全貌)

(山頂〜志津乗越〜三本松)  4時間(13:40〜16:00〜17:40)

 山頂では、いくつかのパーティが昼食を摂っていた。それらのパーティの合間にスペースを確保し、いよいよ昼食にありつける。 太田さんが奥さん所蔵のワインをかすめてきて、皆に振る舞い先ず乾杯。次いで矢野さんが日本酒を、そして小林さんが8年ものの梅酒を、林さんがウイスキーをと次々にザックから取り出し、山頂での酒盛りになってしまった。女性陣からはいつものように、色とりどりの惣菜や漬物、それに果物と盛大な昼食となった。Aさんのザックが重かったのもこのせいか? 納得。 1時間かけて昼食兼酒盛りを繰り広げ、多小他のパーティの視線を気にしながら、景色が見られない分を取り返すべく?楽しく盛り上がった。 オット、余り頂上に長居をすると、下山途中で日が暮れてしまう。

 下りは、男体の裏側にあたる志津コースをとった。ここは比較的なだらかな下りであるが、三本松まではかなりの距離を歩くことになる。九合目付近まで降りたあたりから、高山草である「秋のキリンソウ」「ウメバチソウ」、赤い実をつけた「ゴゼンタチバナ」「コケモモ」が現れてきて、疲れを一時癒してくれる。ここで、登りに足に来たBさんが、右足に痙攣を来し動けなくなった。 痛み止めを塗り、サポーターで保護して何とか再び歩けるようになった。 更に同じく初参加のCさんも古傷の膝が痛みだし、下りは先行組と、マイペース組途にわかれ、列を長くして進む事となった。 今回は林さんが持参した笛が活躍し、先頭と最後尾の位置確認に効力を発揮した。

 志津乗越までは坂を下ったが、志津からは林間のアスファルト道を三本松まで、2時間弱の間ひたすら歩く事となった。三本松に辿り着いたときには、皆疲労困ぱいで、地べたに座り出す人も現れた。何はともあれ、落伍者も無く無事三本松に到着できた事は、ニ荒山神社のご利益か?


(本日のハイライト: 呼び笛の効果)

 今日は林さんが新兵器を持ってきた。先頭に立つ林さんと、最後尾を受け持つ太田さんが呼び笛で位置確認の呼びかけ合いを行うわけであるが、最初からなかなか呼吸が合って、楽しく、時にやかましく掛け合い漫才的な笛の音が、「ピー」「ピッ、ピッ」、「ピー」「ピッ、ピッ、ピッ」と山に響き渡った。 その続きを帰りの電車の中でも、酔っ払ってやったから、車掌さんが吹く「発車、進行」の笛を妨害し、車掌さんに睨まれていた。


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