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00-2: 海と岬と山の展望台
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幕 山 620m
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幕山(まくやま)は相模湾を見下ろす湯河原の海に面した風光明媚な山で、箱根山の南東に位置する。幕山の名前の由来は、海側から見上げた際、幕を張ったような岸壁が連なっている事から名付けられたとの事である。その岸壁をよじ登るロッククライマーの風景も絵になる。又、古くは源頼朝が石橋山の合戦で敗れた際、この山中に敗走して一時身を匿った山としても知られている。
JRの湯河原駅を降りると、海に面した南斜面一帯が濃い緑の柑橘類の木々で覆われている。特に2月下旬のこの季節は、色づいたみかんやレモンなどの果実が緑の中に色鮮やかに景色を彩り、ほのかな香りを潮風に漂わせている。そのみかん畑のはるか北方に幕山が相模湾を見下ろしている。更にこの時期は梅の季節でもあり、麓の幕山公園は訪れる梅見客でごった返している。
みかん畑越しに海に突き出した真鶴半島を見下ろして、相模湾に浮かぶ初島や遠く伊豆の大島を眺めながら幕山に登る行程は、海と岬と山が織り成す景観で「絶景かな」の一言に尽きる。標高は620mと低い山であるので、ロッククライマーの真似をしない限り、一般向きの手軽なハイキング・コースで関東近隣のハイカーに親しまれている。
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日時: 2000年2月26日(土) 曇り時々雪
参加者: 小林、小谷野、栄、中村、林、平山さく子、諸橋、山下(記) 敬称略
初参加:栄さん
交通: 行き:東武・幸手(5:45)―>北千住(6:30着)―>仲御徒町―>
東京駅(7:24発)―>湯河原(9:14着)
帰り:バス・しとどの窟(15:30発)―>こごめの湯(15:45着)
(17:30発)―>湯河原(17:40着)JR湯河原(17:50)―>
東京駅(19:40着)―>幸手(21:50)
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登山コース: 約5時間(除く昼食時間) : 21,000歩/約10km
(湯河原駅〜幕山公園〜山頂): 5Km: 2時間40分(9:30〜12:10)
下車したJR湯河原駅前は沢山のハイカーや観光客でごった返していた。今が幕山公園の観梅の最盛期らしく、駅前のバスやタクシー乗り場は客で溢れている。しかし我々は観梅ではなく、幕山登山が目的であるので、正統派らしく駅から歩く事にした。駅から15分も歩くと、もうそこは山の麓の南斜面で、今を盛り色鮮やかなみかんやレモンなどの実をつけた柑橘類の畑の真中を歩いていた。熟したみかんが木の下にたくさん落ちている。「なっている実をもぎったら気が引けるが、落ちているものを拾ってほおばった所で誰も咎めやしないだろう。」と、歩を進めながら1個2個と畑に踏み入って、完熟みかんを賞味させて頂いた。但し、落ちたみかんは日が経つとすっぱくなるとの生産者の方の言。得した気分で、「毎年2月は静岡に来よう!」と話しながら進む。
みかん畑の間を約30分ほど歩いて、登山口である五郎神社に着いた。そこで何やらガイドの由来の説明を聞いている近ツリのバス・ハイカーらしき50名ほどの一団を追い越して、更に30分で幕山公園に着いた。幕山の南面直下の麓から山の中腹までの間、3000本余の白梅、紅梅が今を盛りに満開で、観梅客で賑わっている。(写真:白梅、紅梅の中を登ってゆく)
盛んにマイクで大声を張り上げて、場を盛り上げようとしている主催者であるが、梅は古来奥ゆかしい花と言われている事でもあり、もう少し静かに観賞できないものであろうか?
我々の登山の進行方向と思われる梅林の少し上方に目を移すと、30mぐらいの岸壁があり、そこに何名かのクライマーがザイルを使って張り付いている。「え、あそこを登るの?」と誰かの声がした。「いや、我々は別の安全な道があるはずだ。」 確かにあの岸壁は素人がザイルを使って登るのは難しそうだ。
余りの人出で二人が道に迷ったが、林さんが人込みの中で勇気を揮っていつもの笛を鳴らすと、やがて別方向に登り出していた二人が気づいて戻ってきた。梅林を抜ける頃から、相模湾が眼下に見渡せるようになった。湾に突き出している真鶴半島が、名前のごとく登るに従って鶴の頭の部分に見れ出してきた。その右手奥の相模湾の中に初島が浮かんでいる。そして更にその南方の彼方に伊豆の大島が見え、素晴らしい景色の中を頂上を目指す。やがて頂上に近づくに従って雪が降り出した。
(幕山山頂〜しとどの窟〜こごめの湯): 3時間20分(12:40〜15:45)
比較的広い頂上も、100名を超えるハイカーが昼食中で混雑しており、何とか我々もスペースを確保した。雪も止んで、梅酒で暖まった身体に頂上の冷気が心地よく、楽しい昼食の一時を経て下山にかかった。下りは、南側からの登りとは別のルートをとり、北に向かって南郷山方面の道をとった。途中、源頼朝が敗戦で自害しようとして、水を飲みに行って自分の惨めな姿を水に写し、自害しようとして思い止まらせられた自鑑水の池や、敗走の際数日間身を隠したと言われるしとどの窟の洞窟に立ち寄った。900年余の歳月が過ぎているが、「今は2月、毎年毎年この長いツララがこの窟に垂れ下がっているのだなー!」と感慨を持って洞窟を眺めた。(写真:ししどの洞窟)
今日の温泉は、湯河原の市内に近いこごめの湯。市営との事でアルコール禁止だったが、一日の疲れを癒すには十分の温泉であった。
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(本日のハイライト)
[雪女伝説は生きていた]: この時期、山に入ったら雪に合うのは当たり前かもしれないが、朝方の晴れた天気にもかかわらず、妙に「もしかして、雪が降るかも!」と期待させられる。と言うのも、久しぶりに小谷野さんが参加したからだ。朝の電車の中から雪の話題で盛り上がり、「冬山で雪に降られたらヤバイ」、と思う反面、「雪女伝説の為には、雪に降って欲しい。」との期待があった。案の定、8合目付近になると、横殴りの雪になった。「やはり伝説は生きていた!」と一同大喜び。
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