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登山コース: 約18時間
上高地行きバスを待つ新宿都庁前の地下バスターミナルは、風が通らず蒸し風呂状態で汗びっしょり。しかしながら、冷房の効いたリクライニング・シートに乗り込むと、先ほどの不快な蒸し暑さを忘れて直ぐに深い眠りに落ちた。目が覚めると、沢渡に着いていた。そこから低公害バスに乗り換えて、上高地に向かった。
(上高地〜横尾〜涸沢ヒュッテ): 7時間30分(6:30〜10:00〜14:00)
バス停から振り返ると焼岳が朝日に映えて、鮮やかな褐色の地肌を輝かせている。道を梓川沿いに取ると川越しに奥穂、前穂が聳えている。「あれがこれから目指すターゲットか?」と意気が上がる。梓川沿いに明神五峰を川越しに眺めながら横尾まで11kmの高地トレッキング。
 
(梓川越しに朝焼けの焼岳:1,505m) (横尾の分岐、後方に穂高連峰:1,620m)
 
(雪渓の残る涸沢:2,200m) (涸沢ヒュッテから涸沢岳/左、北穂/右:2,309m)
(涸沢ヒュッテ〜穂高山荘): 2時間20分(14:30〜16:50)
涸沢沿いに涸沢ヒュッテに辿り着いたのは14:00。一緒にきたパーティの仲間はヒュッテ泊まり。しかし、休暇の1日少ない私は、前方の唐沢槍の左側に見える頂上付近の穂高山荘(2,983m)まで、あと700mの標高差をもう一踏ん張りしなければならない。ヒュッテのテラスで雄大なパノラマを満喫しながらビールを傾ける人達を横目に、雪渓トラバースを開始。雪渓が終わると、急な岩場の登りになる。岩場の途中で、頭上の岩に帽子越しに頭を打ち付けて、額を切ってしまった。一人の登山は助けてくれる人がいないので、慎重に!慎重に!軽傷でよかった。標高差1,500m、登り一辺倒の約10時間の登山の後、何とか明るい内に穂高山荘に疲れきってやっとこ辿り着けた。
 
(奥穂目指して雪渓のトラバース:2,500m付近) (シナノキンバイ花畑越し涸沢カール:2,700m拡大写真)
 
(奥穂からの吊り尾根と前穂:2,800m付近) (穂高山荘、屋根には太陽電池:2,980m)
(穂高山荘〜奥穂高岳〜前穂高岳〜上高地): 8時間(6:00〜7:00〜9:40〜14:00)
穂高山荘は300人ぐらいの泊り客でごった返していた。今が登山の最盛期で食事も4交代。布団は2人で1枚の混雑だ。朝4時に起床したが、既に5時からの朝食を待つ列が出来ている。6時に山荘を発つと、横の奥穂登山口に当る鎖の急坂は岩にへばりつきながら登る人で数珠つなぎの状態。7時に奥穂の頂上に着いた。天気は晴れで、アルプスの山々が360度の展望だ。「何と幸運な!」とシャッターを切りながら、隣の槍ヶ岳、常念岳、笠ヶ岳、遠く立山連峰と素晴らしい眺めだ。
 
(奥穂山荘隣の登山口。最初から鎖と梯子) (涸沢カールを見下ろす:拡大写真)
 
(奥穂高岳の山頂) (奥穂山頂から槍ヶ岳を望む:拡大写真)
 
(奥穂高山頂で槍をバックに) (涸沢カール越しに常念岳/右端:拡大写真)
奥穂から前穂までは吊り尾根を渡って進む。今日は天候に恵まれたから問題ないが、風に出会ったらちょっと尻込みしそうだ。途中の眺望は素晴らしく、アルプス尾根散歩の気分を満喫した。
 
(吊り尾根から前穂高岳を望む:拡大写真) (前穂高岳への急登)
 
(前穂高岳からの槍ヶ岳:拡大写真) (前穂高岳山頂で)
前穂高岳からの下りは、重太郎新道の急坂を鎖や梯子を使いながら、上からの落石に気にかけつつ、一気に岳沢まで下った。4時間の下りで河童橋に辿り着いた。上高地は沢山の観光客で賑わっていた。梓川沿いの温泉につかりながら、昨日、今日の強行軍を振り返り、帰りのバスに余裕を残して帰り着いた安堵とともに、一人満たされた気分に浸った。
 
(岳沢から上高地を見下ろす) (上高地梓川越しに、岳沢側から奥穂、前穂)
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