01・4 上越の双雄峰 

     火打山・妙高山  2,4622,454m


日本海から競り上がった雄大な裾野を広げる山並が上越平野を北に見下ろし、その中央に位置する火打山妙高山は、日本百名山に数えられる威風堂々とした立派な双峰である。標高2,000mを超える高地に展開する湿原とその周辺に咲き乱れる高山植物は、特にここが女性に人気のある所以でもあるようだ。折りしも満開の赤紫のハクサンコザクラと白いワタスゲの群生に巡り会えたのは幸運だ。

笹ヶ峰の登山口から高谷池経由で火打山までは比較的なだらかな行程で、南に北アルプスを望みながら徐々に高度を上げてゆき、周りに咲き乱れるいろいろな高山草を確かめながら思い切り高原の山行が楽しめる。しかし、火打山への最後の登りは長い行程の後だけに結構きついものがある。湿原に面した高谷池ヒュッテで夕暮れの火打山を眺めながら、涼しい高原の素晴らしい一夜を過ごしていると、下界の酷暑がうそのようだ。翌日の妙高山は前日の登山と一変し、急俊な山の登り下りで景色を愛でながらの余裕もなく、ひたすら山との格闘となる。妙高山頂から燕温泉までは急な坂道が標高差で1,400mに及び、体力を要するタフな下山となる。


日時:   2001年7月28,29,30日 晴れ時々曇り

参加者: 貝塚、小谷野、中島、野崎、平山、林、諸橋、矢島、矢島文、山下(記)
交通: 1)行き 西武バス:池袋(23:45)―>高田(5:30)JR:高田(5:48)―>妙高高原(6:10)
  
        タクシー:妙高高原(6:20)―>笹ヶ峰(6:50)
     2)帰り バス:燕温泉(13:49)―>関山(14:09)JR:(14:40)―>長野(15:31)
        京王バス:長野(16:30)―>新宿(20:10)


登山コース: 13時間20分 (40,700歩)
 

28日は夜行バスでの出発なので池袋に集合。昼寝をして来た人と当日出勤した人がいて、ハンディ付のスタートとなった。バス行程は、あいにく酒類が買えず持込んだチュウを回し飲みし眠りにつく。明け方目が覚めると、既に上越に着いており、今日登る妙高山が遠方に望める。(写真拡大:上越市から妙高山、火打山の遠景







(笹ヶ峰〜富士見平〜高谷池〜火打山頂〜高谷池ヒュッテ)
6時間50分(7:00〜14:50)18,300歩

 笹ヶ峰は標高1,300mの高原で、大学の山岳部やスキー部の合宿所が沢山所在している。登山口のそばに沢が流れており、合宿生のスイカが冷やしてある。整備されたなだらかな木道で足慣らしをしながら、45分程で黒沢に着く。未だ朝の8時なので、小鳥のさえずりと沢の水音を聞きながら朝食をとる。ここから12曲がりの急坂を富士見平まで一気に登る。多少岩場もあって、結構きついのぼりだ。富士見平は標高2,000mで、見晴らしのいい日には富士山が望めるとのことだが、今日は北アルプスの山々が雲の上に望める程度だ。この辺りから高山草が道辺に現れてくる。青紫のウツボソウや白いゴゼンタチバナの花が我々の山行を出迎えてくれる。今夜厄介になる高谷池ヒュッテが左前方に見えてきた。さらにその左後方に雪渓を残す火打山が雄姿を現して来た。
(写真拡大:富士見平を過ぎた辺りから火打山:右と焼山:左後方を望む

 高谷池ヒュッテは火打山と妙高山の間に位置し、高谷池湿原に面した眺望の良い、女性が好きそうな高地の楽園のような山小屋だ。ここで一休みして、小屋の前庭のベンチで昼食とする。遠く北アルプスを望みながら、前方にこれから登る火打山、そして後方に妙高山と、この上ない絶景にしばし時を忘れる。ヒュッテから火打山までは、低い潅木の為見晴しも良く、周囲にはハクサンコザクラツマトリソウイワイチョウハクサンチドリ、そして女性に好まれるウスユキソウヨツバシオガマの高山草が咲き乱れ、ついつい歩行を遅らせて矢継ぎ早にシャッターを切らせる。高谷池から火打山頂までは標高差350m程度だが、長い行程の後だけに、最後の胸突き八町が足に来る。高度が高い為か何人かが頭痛を訴えたが、程なく13:38、山頂に到達。山頂は岩場で、晴れた日なら日本海が眼下に望めるはずだが、残念ながらその眺望が得られず、高谷池ヒュッテまで下山。
(写真拡大:高谷池ヒュッテ2階の窓越しに、高谷池の向こうに火打山を望む

(高谷池ヒュッテ)15:00〜6:00)

ヒュッテは尾瀬の弥四郎小屋のように湿原に面し、極めて眺望が素晴らしい。特に3階の窓越しに、高谷池湿原の西北西に聳える火打山の夕暮れを望む景色は、自然の造り出した絶景のパノラマだ。ヒュッテの夕食は17:30と早く、夕食後は景色以外何もなく、19:00、早々に床につく。いびきの競争曲が演じられたそうだが、当人は知る由もなく夜明けを迎える。

(高谷池ヒュッテ〜黒沢池ヒュッテ〜妙高山頂〜燕温泉)6時間30分6:00〜13:10)22,400歩
 早朝6:00に出発し、茶臼山を巻きながら登って降って黒沢池ヒュッテに至る。妙高山の外輪山である大倉山の南鞍から、下り斜面をトラバースし2,000m近辺の沢まで降りる。多少雲が出てきて、見上げた雲の上にこれからチャレンジする妙高山が聳える。前日の火打山と異なり、かなりの急峻な山だ。昨日の12曲りも急登だったが、今日の登りはそれに輪をかけてきつい。
(写真拡大:大倉山越しに妙高山頂を望む


9:10、やっと山頂に到達。かなり広い山頂は大きな火山岩が群をなし、荒々しい山容を呈している。
(写真拡大:妙高山頂








登りに予定よりも時間を費やしてしまった為、15分の休憩で下山にかかる。登りが急であったと同様に、下りもかなりの急坂だ。燕温泉の標高は約1,000mであるので、1,400mぐらいを一気に下ることになる。あとは下りだけなので、先行集団と後行集団に分かれて、それぞれのペースで歩を進める。後行集団は燕温泉に、何とかバスの出発時間の30分前に到着できた。
(写真拡大:燕温泉までの急坂を下る途中で、滝を望む

(燕温泉)

燕温泉の一番高いところに無料公衆露天風呂がある。ブナの木々に囲まれながら、それぞれ男女の露天風呂にからすの行水程度であったが、2日間40,000歩の汗を流し、無事下山を喜び合った。

(ハイライト) 熊笹の斜面にソフトランディング

妙高山からの下りはかなりの急坂であった。2,200m近辺で、Aさんが疲れの為かバランスを崩し、右側の熊笹斜面の中に滑落。ざざざー、どーん。ざざざー、どーん。と2段階で落ちて見えなくなった。「おーい、けがはないか?」 3度目の呼びかけに「大丈夫でーす。」の応答があり、胸をなでおろす。5〜6m下の急斜面の熊笹の中から笹を掴みながら、熊ならぬAさんがにょっきり這い登って来た。

トップページへ戻る

「登山」へ戻る