99-3 御岳信仰の山                                         

            秩父御岳山     1,081m


 江戸時代、普覚上人により信仰の山である木曽の御岳山が一般大衆に開放された。 その一つの山が秩父御岳山との事。昔から修験行者の山として知られている。この山の登山ルートは、秩父鉄道の終点である三峰口駅のすぐ近くの登山道と、約7Km程バスにのり、御岳山の南側に位置する落合からの登山道とがある。 三峰口からの登山道の方が登りが緩やかで登りやすく、縦走して落合に下りれば、大滝村の温泉で一浴にあずかれる。山頂からは奥秩父や奥武蔵の山々の眺望を十分堪能できる。標高は1,081mで標高差が700m余で一般向きのハイキング・コースといえる。


日時:   1999年3月21日(土)小雨後雪  気温は5度で山頂は−1度
参加者: 太田、貝塚、小谷野、林、平山さく子、山下
交通:  行き:東武・幸手(6:26)―>東武動物公園(6:33着、6:41発)―>羽生(7:08着)
                秩父鉄道・羽生(7:14発)―>三峰口(9:20着)
         帰り: バス・落合(16:43)?>三峰口(17:00) 秩父鉄道・三峰口( 17:15発)―>            羽生(19:23着) 東武・羽生(19:25発)―>東武動物公園(19:52着)


登山コース: 約4時間(除く昼食時間) : 約6.5Km、17,000歩

今日の山行は10名の予定であったが、あいにくの雨模様で6名の参加となった。この天候なのにお互い「あんたも好きね。」と冗談言いながら、自分一人の参加でない安堵感と連帯感を確認しつつ、天気予報のはづれる事を願いながら、いつもの秩父路へ。もちろん「山行三兄弟」は全員参加。

(三峰口〜御岳山頂)  2時間20分(9:40〜12:00)/3.5Km、 9,500歩

 秩父鉄道終点の三峰口が近づくと、Aさんは今日の天候を気遣って、靴紐を締め直し、早、スパッツをまとい、リュック・カバーまでつけて臨戦態勢。 つられてBさんも遅れじと準備開始。本日の登山口となる三峰口は、私にとって中学の林間学校以来の再来であり、40年ぶりの追憶の地であるはずであった。が、降り立った三峰口は立派な駅に改装され、駅前も整備されて、感傷を呼起こすかけらも見出せず残念。 予想に違わず降り始めた小雨の中を、コウモリととカッパの列が行動を開始。荒川にかかる、青く澄んだ川面から50mもの高さにかかる白川橋を渡り、両神方面に向かう。

 危うく見落としそうな登山口を左に入り、お墓の横を抜けるとすぐに急登坂にかかる。 緩やかなアプロ-チ無しの急登坂に、皆息を切らせながら杉林の中を登って行く。 きれいに下枝の落とされた、整然とした杉林が1Km以上も続く。 30年から50年経った杉林は、皆垂直に伸びて見事な植林を形成している。 それらの杉の林の中に霞が漂ってきた。その霞が更に深くなってきて、空気の重さが肺の中に染み込んでくる。 湿気の重さを伴ったオゾン一杯の山の冷気が、喉に滑らかに流れ込んでくる。 花粉症のCさんには願ってもない恵みの森林浴だろう。

 杉林を抜ける頃、深い霞の中から白いものが舞ってきた。「オーッ!雪だ」。 稜線を進む列に益々強い雪が降り注ぐ。時には横殴りに吹き付ける。昨日までの20度前後の気候に慣れた体には、急激な気温の低下は過酷であった。 厳寒の吹雪は一般向きの山を一変させた。 「さー頂上まで後10分だ。頑張ろう!」。 励まし合いながらたどり着いた山頂には、御岳山の社が祭ってあり、その社に寒暖計がつるしてあった。ちょうど0度を指していた。時刻はちょうど12時。急にお腹がすいてきた。「さー楽しい昼食にしよう!」

(昼食: 山頂〜落合〜遊湯館〜三峰口)  1時間30分(12:45〜14:15)/ 2.5K、 7,500歩

 山頂は吹雪で昼食を取る場所もない。 ちょっと下がった所に、吹雪よけの片側開きの小屋があった。そこに潜り込んで昼食をとる事にした。皆濡れていて、寒さで震えているので、暖をとろうとライターを探した。 誰もライターを持って来ていない。「中村会長が来ていればなー。スモーカーは決してライターを忘れないから。」 「別のもので暖をとろう。」とCさんがホッカイロを数個取り出し、皆に配る。 Dさんが「も一つ中から暖を取れるよ。」とウィスキーを取り出す。 どちらも共に効果的であった。やっといくらか暖かくなり、和やかな気分で昼食がはずんだ。 昼食後、益々強くなる吹雪の中で、御岳神社を背景に記念撮影。天候が良ければ、奥秩父や奥武蔵の山々が間近に見渡せるはずであるが、残念ながら本日は眺望ゼロ。

  山頂からの下りは、ロープと鎖を使った急勾配。 滑る足場に気を使いつつ、凍えた手指で鎖を握ると凍り付くようで、冬山の怖さを体感した。 急斜面を降りきると、なだらかな斜面になり、風も遮られて歩きやすくなった。 滑る足場に気をつけながら、一路麓の温泉をめざし黙々と下山した。

 下りは勾配が急な分、短時間で下山できた。 落合部落にはこの山の守り神である普覚神社が祭られており、赤鳥居をくぐって、無事下山のお礼を込めてお祈りをした。 神社から10分程荒川に沿って三峰口の方向に戻ると、大滝村の村営の遊湯館にたどり着く。 冷え切った体には、温泉が最高。そして、温泉の後はお決まりの乾杯! 今日一日、雨と雪にたたられたが、その分、温泉のありがたさが満喫できた。 温泉に入りながら、窓越しに荒川を隔てて、雪により描かれた墨絵の山々の世界を眺めつつ、晴天の日のカラフルな景観とは別の山の趣をじっくりと楽しんだ。


(本日のハイライト)

[くたびれコウモリ]: 三峰口に向かう我々の車両の筋向かいの出入口ドアのそばの横のバーに、コウモリが一本かかっている。「お、誰かコウモリを忘れて下車したようだよ。」「立派なコウモリじゃない。駅員に届けてやろうか?」「いや、良く見ると輪ゴムで止めてあるから、くたびれたコウモリだよ。」 しばらくして長瀞駅につくと、我々の横のおじさんが立ちあがり、出口に向かいひょいっとコウモリを取り上げて下車していった。「確かあのおじさん、筋向かいの座席に座っていたな。すると、出入口が寒いので、コウモリを残してこちらの席に移動していたのだったのか?」 Eさん「私、あのコウモリを頂いて、杖がわりに使って後で捨てようかな、と思ったけれど、口に出さなくて助かったわ。」

[小谷野さんは雪女?]:  3月下旬だというのに雪なんか降って。」「 きっと雪女が雪を連れてきたんだよ。」「 誰だ雪女は?」「 きっと初参加の小谷野さんだよ。」「そう言えばそう見えるね。」


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