―「全然」という言葉は否定の強調に使われるのであって、肯定の強調には使わない。しかし、「全然ある!」などと言うケシカラン若者が最近増えてきた。日本語の乱れにあきれるばかりだ。
なーんていう評論家が多いけど、こんなの見つけた。
「…場合においてのみ、全然選択の自由を有するのである。」
「 全然自然の必然的法則以外に存する者である。」
(西田幾多郎『善の研究』p139,145、初版は明治44年)
肯定文で使ってますねー。「全然」。
それとも、直後の名詞を修飾する形容詞?「全然」な選択、とか、「全然」な自然とか。
後日談。
9/20午後。NHK第一放送の山根基世の番組を聴いていた母親によると。
社会言語学者が出ていて…。
「全然」は、大正くらいまでは、否定の強調以外にも使っていた、らしい。
漱石先生も使ってるんだってさ。
では、いったいいつから、どのようにして、「全然」は否定でのみ使わなくてはいけない、などという言説が流布していったのだろう。知りたい!これぞ、言語や倫理の政治。 |