| 37.第二幕.その4 |
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| ■司会者からの攻撃!? | |
| ここで、時間調整のためか、司会者の方から予定にはない質問がはじまった。 | |
| (司会) 『ところであでりーさん、あでりーさんは、どのペンギンがお好みなんですか?』 | |
| (あでりー)『キガシラペンギンが、けっこうお好みです』(ペンギンのコースターを手にもちながら) | |
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| (司会) 『キガシラペンギンですか。実は本日、新種のペンギンが誕生しておりまして、なにやらこの辺(首のあたり)に黄色いスカーフを巻いた、“HARUNAペンギン”という新種がですね、登場しているんですけれども……、キガシラペンギンと、HARUNAペンギンを比べたならば、どちらが一番のお気に入りでしょうか?』 | |
| (あでりー)『もちろん……新種のHARUNAペンギンです!』 | |
| (司会) 『ありがとうございます。そのお言葉を待っておりました。 さあ皆様、これより皆様には、デザートタイムをお楽しみいただきたいと思います。まずはお飲物のほうをお届けして参ります。先ほど皆様方より、お飲物のリクエストカードを頂戴いたしております』 |
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| 準備が始まったのを確認してから、司会者の方がなにやら思惑ありげに、我々のほうに近づいてきた。 | |
| (司会) 『今日せっかくの庄屋料理でございますので、今からちょっとお二人に召し上がっていただこうと思うんですけれども、ちょっとご起立いただいてよろしいですか?』 | |
| 素直に立つ我々二人。なにかをやらされるんだろうなあという空気が伝わってくる。 | |
| (司会) 『すみません私、Kさんほど過激ではありませんので、ご安心をいただきまして……。あの、あでりーさんは、何がお好きですかね?』 | |
| 僕に、あでりーの好きな料理は何かと尋ねてこられた。 (HARUNA)『えーっと、食べ物なら何でも好きなんですが……、どうしようかな、まあ、しょうゆの実ですかね』 |
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| (司会) 『しょうゆの実、そうですか。それではあの、今から、せっかくのお二人のための庄屋料理ですので、HARUNAさんのほうからですね、あ〜ん、と言って食べさせて頂けますか。 あの、あでりーさんのことをいつも何て呼んでらっしゃるんですか?』 |
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| (HARUNA)『そのまま、あでりー(実際は本名の下の名前)、と』 | |
| (司会) 『なかなか、亭主関白ぶりを、ねえ、卵をあっためるだけのことはありますね。さあそれでは、あ〜ん、という時にですね。あでりー、愛してるよ、あ〜ん、と言って頂きたいんですけれど、よろしいでしょうか?』 | |
| 少々戸惑いはあったものの、まあこういうことだろうと察しはついていたので、素直に従うことにする。Kさんにさせられたパフォーマンスの時もそうだったが、僕は今日、何を言われても素直に従うことに決めていたのだ。しかもそれを存分に楽しもうと。 | |
| (司会) 『さあ、HARUNAペンギン、腕の見せ所でございますので、覚悟を決めていただいて。見てください、このカメラマンの数!』 | |
| 柿本写真館さんはもちろん、カメラを持ってきたほぼ全員が僕らの前に陣取っている。 マイクが僕に手渡される。 |
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| (司会) 『さあそれでは、お願いをしたいと思います』 | |
| (HARUNA)『では、いきます!』 会場から、いろんな声がかかる。両方の両親の大きな笑い声が聞こえる。 (HARUNA)『あでりー、愛してるよー。あ〜〜〜〜〜〜ん』 会場から大きな拍手。僕は箸を持った手を大きく掲げてそれにこたえた。それほど恥ずかしいという思いはなく、とにかく自分自身、とても楽しんでいた。それはあでりーも同じようで、照れ笑いを見せながらも、しっかりパフォーマンスをしていたように思う。 |
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| (司会) 『ありがとうございます。本日、新種のペンギン、なかなか決めてくれます。さあ、お味のほうはいかがでしょう?』 | |
| 司会者の方があでりーに聞く。 (あでりー)『とても、格別な味で』 |
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| (司会) 『格別な味で。 さあ、HARUNAさんは何をお好きでしょうか?』 |
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| (あでりー)『うーん、サヤエンドウ、いきますか』 | |
| (司会) 『さあ、いつも、何て呼んでらっしゃるんですか?』 | |
| (あでりー)『君付けで、○○(本名の下の名前の一部)くん、と』 | |
| (司会) 『○○くん! 皆様お聞きになりました? ○○くん! ごちそうさまです。 ではあの、皆様、出番でございます、多数決をします。○○くん、愛してるわ、あ〜ん、がいいでしょうか。それとも、今日から夫婦ですから、妻として、あなた、愛してるわ……、なんで私が一人で盛り上がっているか心配ですけども、どっちがいいか多数決をとりますが、いいでしょうか。 ○○くん、がいいと思う方、拍手!』 |
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| ぱらぱらと2〜3名が拍手。 | |
| (司会) 『あら、ちょっと……。おじさま、ありがとうございます。じゃ、本邦初公開、あなた、がいいと思う方!』 | |
| 大きな拍手。 | |
| (司会) 『すみません、私が決めたわけではないので。じゃ、恐れ入りますが、あなた、愛してるわ、あ〜ん、でお願いできればと思います』 | |
| あでりーにマイクが手渡される | |
| (司会) 『さあ、HARUNAさんの日本一幸せな笑顔も、じっくりご覧頂きたいと思います。それでは参りましょう!』 | |
| あでりーが箸でサヤエンドウをつまむ。やはり両親の席からの笑い声が大きく耳に届く。あでりーも笑っている。 (あでりー)『本邦初公開で、たぶん、最後かもしれませんが……』 |
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| (司会) 『ああ、そうなんですか。お見逃しなく!』 | |
| (あでりー)『ここにいる人たちは、まあ、ラッキーということで、はい。では……』 見つめ合う二人。僕はわざとあでりーに強い視線を向け、前のめりに体を倒してプレッシャーを与える。両親席から、「行けっ」という声がかかる。 (あでりー)『あ、あな……、ぷっ』 吹き出すあでりー。もちろん僕はこれまでに、「あなた」と呼ばれたことはない。 (あでりー)『あ、あなた……、愛してるわ……、あ〜ん』 小さな声でつぶやくあでりー。僕は差し出されたサヤエンドウをいったん口にくわえ、そのあと一気に食べた。 |
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| (司会) 『ありがとうございます。HARUNAペンギンさん、お味のほうは?』 | |
| (HARUNA)『え、あのー、豆の味がします』 | |
| (司会) 『豆の味が。まめまめな愛にばんざい、という感じで。これが本当の“愛の箸渡し”と申すのでございます。どうもお二人、おめでとうございます。ご協力ありがとうございました』 | |
| 会場から大きな拍手が鳴る。 | |
| ■ケーキ給仕&ビデオ上映&歓談 | |
| (司会) 『それではこれより、さきほどのケーキを、皆様のもとにお持ちいたします』 | |
| 切り分けられたケーキと、それぞれが注文した飲み物とが運ばれてくる。 | |
【ケーキ&飲み物。皿に乗っているのはペンギン型コースター】![]() |
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| (司会) 『ただいまよりモニターテレビのほうでは、ビデオを上映させて頂きます。内容は、お二人の生い立ちをまとめたものとなっております。なお、上映の最中、新郎新婦が皆様のお席までごあいさつに伺いますので、お話や、また、お写真などをお撮りください』 | |
| (♪BGV) 二人の生い立ちをまとめたビデオ | |
| ビデオの上映がはじまる。その間に僕ら二人は、各テーブルを順にまわり、記念撮影をおこなっていく。1テーブル1分の配分で、時間調整から誘導まで、首尾よくSさんがアテンドをおこなって下さった。すべてのテーブルをまわり、僕らは新郎新婦席に戻ってきた。 | |
【HARUNA側姉夫婦&叔父&あでりー側姉夫婦のテーブルにて】![]() |
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| (♪BGV終了) | |
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