33.第一幕.その3
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■歓談タイム
(司会) 『それでは皆様、しばらくの間ごゆっくりとご歓談ください。どうぞ、新郎新婦の席にお越しいただいて、お写真などをお撮りくださいませ。なお、これからみなさまの席に、色紙を回していきたいと思います。これは、お二人の結婚を承認する意味合いのものですので、どうぞみなさま、お手数ではございますが、色紙にお名前をご記入ください。お名前の他に、お二人に向けた簡単なメッセージなどを添えていただいても構いません。記入する場所は指定されていますので、お間違えのないようよろしくお願いいたします』
 色紙は、通常の色紙2枚分がつながって畳まれたものを用意した。どこに名前を入れるかは、あでりーがテーブルごとに色分けしてわかりやすく書き入れてくれた。ちゃんと書いてもらえるか不安はあったが、みなさんしっかり書いてくれたようだ。
【色紙】
【色紙に添えた文章】
本日は結婚パーティーにご参加くださり
誠にありがとうございます
皆様のご署名をこちらの色紙にいただくことにより
私たちの結婚をご承認いただく証にしたいと思います
つきましてはお手数でございますが
指定してあります箇所に
お名前のご記入を よろしくお願いいたします

なお 大変恐縮ではございますが
指定してある場所以外には ご記入なさらないよう
ご協力をお願い申し上げます
平成18年 7月 2日 
HARUNA あでりー
 この後、新郎新婦席に入れ替わり立ち替わり、みなさんがやってきてくれて、写真を撮ってくれた。



【HARUNA側の親戚一同】
■ウェディングケーキ入場
(司会) 『ご歓談中恐れ入りますが、これより新郎新婦、お色直しのため中座となります。ただその前に、ここで、お二人特製のウェディングケーキを皆様にご覧いただきたいと思います』
(♪BGM) 愛の賛歌/ブレンダ・リー
 パティシエの手により、ケーキがメインテーブル前に運ばれる。僕らも実物を見るのは初めてだ。綿密に打合せを重ねて実現した、ペンギン型ケーキ。熱のせいか形が崩れかけていたが、僕たちだけにしかできないケーキがそこにあった。
 皆さん、驚きと動揺の表情でケーキを迎える。やがてそれがペンギンの形だとわかるや、一気に座がなごみ、さっそく写真撮影が開始される。僕とあでりーも席を立ち、じっくりとケーキをながめ、周りの人と言葉を交わす。
 ちなみにBGMの「愛の賛歌」は、ブレンダ・リーによる、少しポップなアレンジのもので、このシーンにとてもよく合っていたと思う。


(司会) 『さあお二人にもじっくりご覧いただきたいと思います。のちほど皆様方には、こちらのケーキをデザートとしてお召し上がりいただきたいと思います。皆様方にはじっくりと、今日のオリジナルケーキをお楽しみいただきたいと思いまして、ここでご披露させていただきます』
 ここまでやるのか、となかばあきれ顔の方もいらっしゃるが、僕らとしては、してやったりの気持ちである。さすがにペンギン仲間の皆さんの写真撮影は勢いがあった。場が静まったところで、僕らも席に戻る。
(♪BGM終了)
■お色直し
(司会) 『さあウェディングケーキに感動いっぱいの新郎新婦、そしてゲストの皆様ですが、ここで新婦あでりー様がお色直しのため、中座となります。そしてそのエスコート役は、ぜひ、あでりーさんのお母様にと、あでりーさんの願いでございます。どうぞお母様、よろしくお願いいたします。さあお母様、親子で手をつないで歩かれること、何年ぶりになりますでしょうか』
 あでりーのお母さんには、このことは内緒にしてあった。紙袋の中にあるハンカチを持ってもらい、スタッフのスムーズな誘導であでりーの隣に立ってもらう。
(♪BGM) 虹の彼方に/ジュディ・ガーランド
 BGMと共に、あでりーとあでりーのお母さんがゆっくりと歩き出す。皆さんの席の間を通るたび、あたたかな拍手と言葉を受けている。お母さんは、淡々と役をこなしながらも、やはり嬉しそうである。僕の母親がハンカチを目に当てて泣いている。

 ひととおりテーブルをまわり、入退場口までたどりつくと、あでりーとあでりーのお母さんは立ち止まって振り返り、皆様に向かって一礼をした。




(司会) 『どうぞ皆様、温かい拍手でお送りください』
(♪BGM終了)
 あでりーは控え室に向かい、お母さんはまた席に戻っていく。
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