32.第一幕.その2
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■新郎新婦紹介
(司会) 『それではここで、新郎新婦のご紹介をしていただこうと思います。まずは、新婦のあでりーさんのご友人でいらっしゃいます、M様から、あでりーさんのご紹介をいただきたいと思います』
(♪BGM) エーデルワイス
 新郎新婦紹介は、お互いの友人にお願いすることにした。会社関係の知人はほとんど呼んでおらず、「何々さんは是々大学を優秀な成績でご卒業され云々」というのはもちろんやりたくなかった。

 あでりーの紹介をしてくれたのは、大学時代、短期バイトで知り合ったMさんである。ステージに出てきてもらうのではなく、席までマイクを持っていき、座ったままで話をしてもらった。話してほしい内容を事前に僕らが渡し、それにいくつかエピソードを付け足してもらう、という形にした。エピソードの内容は当日まで僕らも知らず、それを聞くのも楽しみだった。なお、BGMの「エーデルワイス」はあでりーの選曲で、彼女が昔から好きだった曲である。

 事前に渡した内容は以下の通り。
 『新婦のあでりーさん。○○年5月19日、○○市にて、父・○○さん、母・○○さんの間に2人姉妹の次女として誕生します。幼いころより鳥が大好きだったそうです。小学校・中学校・高等学校と地元の学校に通い、○○年、○○市にあります、○○大学に在籍。学生時代は、夏休みを利用して長野県安曇野に住み込みの短期バイトにでかけたりしていました。○○年、抹茶の製造加工をしている株式会社○○の店舗販売員として入社。以前からお茶に興味があったので、家族全員が喜んでくれたのを覚えているそうです。
 入社3年目に5ヶ月間休職し、単身ニュージーランドにファームステーへ。4ヶ月間滞在して各地を転々としました。運命の出会いはこの年の11月。毎年兵庫県芦屋市で開催されていました「ペンギンアート展」の、初めての県外進出が催された時の事です。アート展の店長として会場にいたHARUNAさんと、お手伝いをすることになったあでりーさんが出会ったそうです。それから、趣味が合ったことと、住んでいる場所が近かったことから時折一緒に出かけるようになり、2003年2月にお付き合いが始まりました。2年後に結婚を約束、同年11月に入籍をし、6年間勤めた会社を退職しました。 2006年になり、○月、○○市にて新しい生活を始めています』
 この後、Mさんによるエピソードが続く。
 『新婦とは、この7月に、出会って10年になります。安曇野の住み込みのバイトで、約3週間一緒に過ごしました。3日で仲良くなっていて、あでりーさんが小柄で、私がすごく大きいので、漫才コンビの阪神巨人かというツッコミをもらいながら、とっても楽しい時間を過ごさせて頂きました。その時のご縁で、今日こうして花嫁さんのあでりーさんと一緒にこの場にいられることを、とても嬉しく思います。本日はおめでとうございます。お招き頂きまして、本当にありがとうございます』
(♪BGM終了)
(司会) 『どうもありがとうございました。皆様、メインテーブル前の丸テーブルの上に、かわいいペンギンのウェルカムドールを飾らせて頂いておりますが、こちらのお人形は、Mさんからのプレゼントでございます。Mさん、ありがとうございます。きっと二人の、宝物となることと思います』
【Mさんが作ってくれたウェディングペンギン】
(司会) 『続きまして、新郎のHARUNAさんのご友人でいらっしゃいます、O様から、HARUNAさんのご紹介をいただきたいと思います』
(♪BGM) Lunch Time 他
 事前に渡した内容は以下の通り。
 『新郎、HARUNAさん。○○年2月21日生まれ。○○県にて、父・○○さん、母・○○さんの長男として誕生しました。小学校、中学校、高校と地元の学校に通い、○○年、○○大学工学部に入学しました。○○年、○○株式会社に入社し、技術職として12年間勤務したのち、2001年8月に退社。その後、昨年8月に、ペットのお世話をするサービスを立ち上げ、今に至ります』
 この後、Oさんによるエピソードが続く。
 『HARUNA君の人柄について、僕の知っているところを皆さんにご紹介したいと思います。HARUNA君と僕とは、大学以来なので、かれこれ20年くらいの長い付き合いになります。彼のいいところはいくつかあるのですが、その中のひとつは、目標をこうと決めたら一生懸命努力してそれを達成しようとするところです。ただ、もっと一番いいところは、彼の誠実な人柄といいますか、家族や友人をすごく大切にしようとしているところだと思います。
 とくにエピソードというエピソードはないんですけれども、彼が、ちょっとしたことでよく「ありがとう」という言葉を口にしたりするところ、それから、約束を破ったり人の悪口を言ったりすることは20年間けっしてなかったと思います。そういったところが、HARUNA君の誠実で周りの人を大切にするような人柄を表しているんじゃないかと思っています。この点は、僕もなかなか真似できないなと、実は日頃思っています』
 彼とは本当に長い付き合いになるが、ああこんな風に思っていてくれたのか、という小さな驚きがあった。それにしても、「エピソードというエピソードはないんですけれども」には笑った。。
(♪BGM終了)
(司会) 『ありがとうございます。どうぞこれからも、末永いお付き合いを、よろしくお願いいたします』
■来賓スピーチ(1) 新婦の伯父
(司会) 『続きまして、ご来賓の方より、ご祝辞をたまわりたいと思います。はじめに、新婦の伯父様でいらっしゃいます、T様にお願いいたします』
 結婚が決まって早々、あでりーから、T伯父さんが「結婚式では是非スピーチをしたい」と話している旨を聞かされた。酒好き人好き話好きで、あでりーはとくにかわいがってもらっていたらしい。僕が3月に初めてお会いした時も、豪快で人情に厚い人柄だということが理解できた。
 スピーチはとてもうまくまとまっていて、心のこもった内容だったと思う。要旨は以下の通り。
 『あでりーは昔から、本当に優しい子でした。それがなにか変なところでペンギンちゃんが好きになってしまいました。これが理解しがたくて、実家(あでりーの生家)にも、おおきなペンギンからちいさなペンギンまでいっぱいあるんですけれども、実家に帰るたびにペンギンがまた一つずつ増えていく。これは男に惚れるよりもペンギンちゃんに惚れちゃったんじゃないかと思っていました。実家に行くたびに、早く嫁に行け早く嫁に行けと言っていましたが、先日、HARUNAさんのような素敵な男性を見つけられ、お嫁に行くことができて、非常に心の中で安心しました。

 東京にはSUICAというカードがあるんです。ロゴマークがペンギンさんなのですが、これ持ってるかい、こんなのが東京にあるんだよ、と言ったら、こちらでは使えないけれどカードは持っている、と。そのぐらい彼女はペンギンが好きなんです。私も動物が好きなんですけれども、あでりーも生き物の好きな、心の優しい子ですので、この先HARUNAさんにもかわいがってもらえるんじゃないかと信じています。
 とにかく世の中が非常に変化しておりまして、私が一番変化したなあと思うのはまず、お茶が売れる、水が売れる、こんなことはどなたもお考えにならなかったことでしょう。世の中が劇的に変わったしるしだと思います。でも、動物が好きな人の心というのは、世の中がどんどん進化していっても、人間の心自体は必ず、優しさとか、そういうものは残ると思います。
 共通の目的があって一緒になられたと思いますので、非常に将来的には明るいと思っています。これからも陰ながら応援していきたいと思います。ひとつよろしくお願い致します』
(司会) 『ありがとうございます。心温まるお祝いの言葉を頂きまして、心から感謝を申し上げます』
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