16.式まで三ヶ月
2006 4
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■会場のつかいかた

 4月7日、僕らはふたたび加茂花菖蒲園にいた。午前中は「アルタモーダ」のSさんと共に、会場内の細かい配置、入退場のルート、食事や飲み物を運ぶやりかたなどについて打合せをおこなった。新郎新婦席は当初ドリンクカウンターの前を考えていたが、そこから90度向きを変えた壁側のほうが適しているのでは、というSさんのご意見により変更した。中央に新郎新婦席、向かって左側に司会者席、右側にスピーチ席を設け、さらにその外側にテレビモニターとスピーカーを配置することを決めた。また、新郎新婦席の前はすこし空けて各種余興用のスペースとし、その背後に同心円状に招待者席を配置する。新郎新婦の入退場時のルートも概略を決めた。庄屋料理は食器返却口から出し入れし、飲み物や切り分けたケーキはドリンクカウンターから出し入れすることとした。

 懸案事項だった子供用の食事について、Sさんがいい案を出して下さった。近くにあるレストランで、Sさんお墨付きのお店があるという。本当に味がいいので、ここにお願いしてみるつもりです、とSさんはおっしゃって下さった。
 音響等の機材については、機材のカタログを郵送していただき、我々のほうで直接レンタル業者と交渉することとなった。確かにその方がお互いにやりやすいだろうと思われた。
【打合せ後に作成した、会場使用イメージ図】



■ペンギンのつかいかた

 アルタモーダさんとの打合せに続き、午後は加茂花菖蒲園さんとの打合せに入る。一番の懸案事項はペンギンについてである。
 式の途中に色紙をまわし、招待客の皆さんに名前とメッセージを書いてもらう。最後にペンギンに登場してもらい、色紙に足形をつけて結婚証明書の代わりにする、というのが僕らの考えた案だった。これを実施するのが可能かどうか、U常務にお聞きした。
 色紙一枚程度で、簡単に洗い落とせるような塗料を使うならOKでしょう、という答えをいただき、僕らは安堵した。なにしろこれが式最大の見せ場である。なんとしてもはずしたくはなかった。ペンギンは掛川花鳥園から連れてくることになるため、担当となる飼育員の方のお名前を教えていただき、後日その方と直接打合せをおこなうことにした。

 それ以外にも、細々とした打合せをおこなった。概略は以下の通りである。
食事は庄屋料理を基本とする。染飯の量を半分にし、ちまきを追加する。山桃の量を倍にする。
式にかかる料金は、式の後に全てのお支払いをする。
ウェディングケーキを運ぶためのワゴンは、必要ならばHARUNA側で用意をする。ケーキ皿は、人数分を菖蒲園様にご用意いただく。フォークはHARUNA側で用意する。
コーヒーと紅茶を事前に用意して頂くことは可能。コーヒーはデキャンタで、紅茶はポットに人数分をご用意いただく。食事返却口のそばにお湯の出る場所があり、これを利用することも可能。
食事内容の説明は、HARUNA側で内容を考え、式内での説明も行うこととする。
6/31までは菖蒲園は営業を行っているため、テレビモニター等大型機材の搬入は前日以降とする。
駐車場から受付場所となる加茂荘への道順を示すプラカード等、立てることは問題ない。
子供用の椅子2脚については、HARUNA側で用意する。
以前に置いてあった陶製のテーブルはもうないため、HARUNA側で用意したものを持ち込む。
温室内に鳥の展示を行っていただく件は、U常務に再度ご確認いただく。(神戸花鳥園に移設した鳥も多い)
菖蒲園様の当日の人員は、ペンギン担当:2人、調理:3人、喫茶:1〜2人、となる予定。
菖蒲園様でご用意いただくドリンク類について、必要数を事前にHARUNA側からメールでご連絡する。急須とお茶は、菖蒲園様でご用意いただく。ワイングラスは、HARUNA側で用意する。
式終了時の、温室内でのシャボン玉使用は、問題ない。
乳幼児をお連れの招待客がいらっしゃった場合、事務室の中をパーティションで仕切り、臨時の授乳スペースを作る。
記念撮影で使用する脚立は、菖蒲園様にもあるが、写真屋さんが持参される可能性もあるので、確認する必要がある。


■最高のサービス

 この日最後の打合せは、掛川グランドホテルさんだった。いつも思うが、このホテルは実にサービスが行き届いている。我々と応対する時のやりとり、打合せの進め方など、すべてが洗練されていて感心させられる。しかも、担当する人間が変わっても同じレベルのサービスが保たれているのだ。これは社員教育がよほどしっかりしているのだろう、と別のところに関心を持ってしまった。

 担当のMさんは、この日もスマートに受け答えをしてくださった。以前、宿泊料金についてお伺いした際も、インターネット割引を適用して下さることをいち早く決めてくださったし、今日の打合せでは、今後のキャンセル料金はいっさい発生しないことを告げられた。既に部屋の種類ごとに必要な数を伝え、予約は済ませてあったが、前日や当日に部屋のキャンセルがあってもまったく大丈夫とのことで、僕らは驚いてしまった。もちろんだからと言ってむやみにキャンセルを遅らせたりするようなことはしないが、なんとも太っ腹というか、いさぎよい。

 6月中旬までに宿泊客の名簿、バスの乗客名簿、部屋に置くメッセージなどをこちらからお渡しすることとなった。荷物の送り返しを望む方のため、事前に配送伝票を受け取り、僕らのほうですべての招待客用に住所・氏名等を記入し、その伝票も事前に渡しておくことにした。こうすれば、荷物を送りたい人は伝票を添えてホテルに渡すだけで済むことになる。

 ホテルから会場へのバスに乗る人数は27名程度となるため、大型バスを使うことになった。宿泊客のほか、当日電車で来られる方もホテルに集合してもらい、一緒に乗ってもらうことになる。式後には、会場からホテルではなくJR掛川駅につけてもらうこともお願いした。
 ホテルに集合する方全員に使っていただけるよう、カフェラウンジのチケットを配ることにした。宿泊される方以外にも配る必要があるため、招待状に添付して送ることとした。このため、チケットを36枚頂いた。

 当日は、バスに乗りそびれる方が出ないよう、両家の名前、バスの出発時刻を書いた立て看板を用意して下さることになった。くわえて、バス出発10分前に館内放送、5分前に点呼をして頂けることになった。これらはすべてホテル側からの提案であり、そうしたことをさらりと言ってのけるMさんに、やはり僕らは感心してしまうのだった。

 その他、宿泊客にはチェックイン時に朝食券を渡してもらうことなど、細かい確認をおこなった。このホテルについて僕は、立地のよさだけではなく、サービスの質の良さにおおいに満足していた。普通なら結婚式自体をホテルでおこない、それに付随して初めて様々なサービスを受けることができる。僕らの場合、式はまったく別の場所でおこない、宿泊と送迎のみを依頼しているだけである。なのにここまで心をこめた対応をしてもらえるとは驚きだった。このホテルに決めて本当によかったと思った。
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