9.すごい一日
2005 9
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■プロデュース会社

 あとから振り返るたび、すごかったなあと思い出す日がある。この9月28日がそれである。この日は、会場となる加茂花菖蒲園を中心に、各所での打ち合わせに奔走した。

 手始めは、袋井市にあるプロデュース会社、「アルタモーダ」さんである。結婚式の準備に動き始めた頃は、ぜんぶを自分たちで作り上げる予定だった。それでも、式当日の裏方作業だけはできない。やれるものならやることはいとわないが、そうもいかない。友人にお願いすることも考えたが、親しい友人は招待客として呼ぶので無理だし、親しくない友人にそんなことは頼めない。結局、そこはプロデュース会社にフォローしてもらおうということで考えがまとまった。

 6月に訪れたレンタル衣装のラビアンローゼさんでそういう話をしたところ、提携しているプロデュース会社を教えてもらった。それがこの日おとずれた、アルタモーダさんだった。
 お昼過ぎにお店についた。会場から車で20分ほどの距離にある、住宅街の中の静かな場所だった。チーフのSさんとは事前にお電話でお話ししており、とにかくパワフルな感じが受話器越しに伝わった。実際にお会いしてみると、想像どおりの方だった。

 あらかじめ作成しておいた資料を元に、打ち合わせを進めた。基本的な挙式プランの作成・式前後の各種手配等は我々のほうで行うため、アルタモーダさんには、式当日の庶務、音響・照明機材の手配と当日の運用などをお願いしたいことを伝えた。また、それによりどのぐらいの人員が必要か、料金はどのくらいになるのかを尋ねた。Sさんは、必要な人員・機材などを、現時点で想定できる範囲で割り出して下さった。また、アルタモーダさんと同経営の「アトリエまのん」さんという美容室があり、着付けもすべてこちらで出来るとのことだった。ひととおりの話をし、正式な見積もりは後日いただくこととなった。

 この打ち合わせの途中、思いがけない出会いがあった。提携先のケーキ屋さんが、ちょうど居合わせてらっしゃったのである。「グリフォン」さんというお店で、要望に合わせていろんな形のケーキを作ってくれるらしい。ペンギン型のケーキをと考えていた僕らにはうってつけで、即座に詳しいお話をお伺いした。Sさんいわく、味も格別に美味しいとのことらしい。そこで僕らは、ケーキにしたいペンギンの画像を後ほどメールで送ることとし、次にこちらに来る時には試食もかねて訪れたい旨をお伝えした。


■その後も、めまぐるしく

 アルタモーダさんとの打ち合わせを終え、すぐに加茂花菖蒲園に向かった。お電話でお話をしたU常務が、入り口近くで待っていてくださった。
 「今日は健康診断があって……」と言いながら入り口前でズボンのベルトを締め直す常務は、とても庶民派でいい感じの方だった。

 ところが打ち合わせに入るやいなや、常務は庶民派から一変した。事前に作成した資料の中で我々が聞きたかったポイントの一つ一つに、まことに見事な答えを示してくださったのである。おかげで非常に効率よく打ち合わせを進めることができた。
 まず、式当日は会場を貸し切りにさせて頂けること、さらに式前日も準備のため終日会場を使えることを確認した。これは本当にありがたいことであった。我々の提示した式の概要、会場の使用料および食事料金、招待客の人数などにも、ご了承をいただいた。着付けには事務所のスペースを借りられることになった。夏場なので空調が心配だったが、任意に設定可能とのことだった。

 我々の強い希望だった式内でのペンギンの使用についても、掛川花鳥園から連れてくることで対処してもらえるようだった。あとは、どういう形で登場してもらうかを我々で考え、それに応じて再度常務にご確認いただくことになった。また、食事内容の詳細については、後日、料理長の方と打ち合わせをさせて頂くことになった。

 メインステージで使えそうな場所として食事席と喫茶コーナーの2カ所があったが、見たところ、喫茶コーナーのほうが良さそうだった。配膳口の前に新郎新婦席を設ければいい感じになると思った。
 配膳等の人員は菖蒲園さんのほうでお願いすることになるが、これも大丈夫だろうと常務はおっしゃった。招待客の一時休憩場所として、加茂荘(庄屋屋敷)を使えるかどうかについては、常務にご確認いただくことになった。

 上記のほか、細かい事項について話をすることができ、今後の進むべき方向が明確に見えてきた。それほど長い時間ではなかったが、とても有意義な打ち合わせで、僕らは心から満足していた。

★この日、打ち合わせで使用した式進行表案
@雑用1 A雑用2 B給仕1 C給仕2 D着付け&ヘアメイク E音響
新婦着付け・ヘアメイク開始 ホテル内 着付け&ヘアメイク
新郎着付け・ヘアメイク開始 ホテル内 着付け&ヘアメイク
10:00 新婦会場入り タクシー
10:00 新郎会場入り バス
10:00 岡崎からのバス他到着 写真屋
10:00 加茂荘にて受付 受付(当日要員と兼ねる)@
10:30 新郎新婦二人の記念撮影
10:30 新郎新婦と両親の記念撮影
10:50 司会者との打ち合わせ
11:00 ゲスト入場・着席 案内係@
11:05 開式 司会者あいさつ 新婦:白むく
11:10 新郎新婦あいさつ
11:15 料理・飲み物の説明、食事の開始 給仕係(2人。ホテルの人が適任)BC
11:20 新郎新婦を紹介 テーブルで
11:35 スピーチ・余興
11:45 新郎新婦と触れあい
12:00 色直し 着付け&ヘアメイクD
12:20 新婦のドレス色当てゲーム 新婦:色ドレス
12:30 ケーキカット カットしたらすぐに給仕
12:40 スピーチ・余興
13:00 新郎新婦と触れあい
13:15 互いのお祖母ちゃんへの花束(あるいは他のもの)贈呈
13:30 色直し 着付け&ヘアメイクD
13:50 誓いの儀式 新婦:純白ドレス
14:05 両親への贈り物
14:15 両親からの言葉をいただく
14:25 新郎新婦からの感謝の言葉
14:35 新郎新婦退場
14:45 シャボン玉シャワー
15:00 記念撮影各種


■2つのホテル

 加茂花菖蒲園を後にし、次に掛川駅方面へと車を走らせた。駅前にある2つのホテル、パレスホテルとグランドホテルを訪れるためである。
 両ホテルを順番に訪問し、事前に用意した資料を元に、各項目を確認した。宿泊料は、パレスホテルのほうが若干安かった。ただ、こちらだと送迎バスが25人乗りとなるため、2往復する必要がでてくる。
 会場での給仕をホテルの方に頼むことも検討していたのだが、グランドホテルではこれは難しいとのことだった。会場での出張着付け、挙式後の招待客の荷物の郵送については、両ホテル共にOKだった。

 両ホテルでの打ち合わせを終えたあと、掛川駅からホテルまでの距離を、実際に歩いて確かめてみた。グランドホテルのほうが駅に近く、やはり荷物を持ってこられる方にはこちらのほうが良さそうだ。駅を出たところからすぐホテルが見える点でも便利だと思えた。見栄えについても、こちらのほうに軍配が上がる。
「ちょっと料金は高いけど、やっぱりグランドホテルにしようか」
 二人の気持ちは同じだった。


■最後に

 2つのホテルをはしごした後、最後に、貸衣装の「ラビアンローゼ」さんを訪ねた。
 今回は白無垢の試着もさせてもらった。いくつか着させて頂いたうち、クジャクの柄という珍しいものをあでりーは気に入ったようだった。たしかに面白い柄だった。
 つづいて僕も、黒の紋付き袴を試させてもらった。このお店は、試着とは言ってもしっかり時間をかけ、実際に着る時に近い形で見させてくれる。今回、その過程を見られたのも楽しかった。
 試着のあと、いくつか打ち合わせをさせて頂いた。衣装に応じてどういう小物が付属し、何を自分で用意しなければいけないかを伺った。借りた衣装は、前日にプロデュース会社のアルタモーダさんに引き渡してもらい、式が終わった後もアルタモーダさん経由でお返しすることができるようで、これはかなり便利だと感じた。
 最後に、どのくらいの料金になるのか、概算見積もりをしてもらった。考えていたよりもけっこう高く、すこし検討してみます、と言ってお店を出た。

 こうして、めまぐるしく打ち合わせを重ねた一日が終わった。当初は、こんなにたくさん一日で回ることができるのか不安はあったが、しっかりと予定をこなし、十分な成果を残すことができた。アルタモーダさんと二つのホテルとを渡り歩いたすえ、着付けについてはアルタモーダさんにお願いし、ホテルには宿泊と送迎バスのみを依頼する、という方針も見えてきた。思いがけなくケーキのお店を“発見”できたことも、大きな収穫だった。

帰りの車のなか、二人で満足感に浸りながら、本当にすごい一日だったね、と話し合った。


〜 この日に撮影した写真 〜
(ビデオからの取り込みのため、画像が荒くなっています)




クジャクの柄入り!

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