山梨県東部(甲州郡内地方)の清流・渓流の紹介

山梨県東部・富士五湖地方は、古くから郡内地方と呼ばれ、中西部の甲府や石和近辺とは一線を画したエリアのようです。
神奈川県西部や静岡県東部とも、地図上は隣接するエリアにて、戦国時代は武田家と北条家が抗争を繰りひろげていた
地域になります。
渓流釣りの主力河川は、神奈川県内の相模川本流筋の上流・源流域となる桂川系統と、主力支流筋の道志川系統が
代表的な釣り場となりますが、濃密放流による資源量の多さとフィールドの広さ、そして大物が見込める桂川系統に絞り、
ここでは取り扱うことにします。

2010年、2011年と2年連続で台風の災害を蒙り、静岡県東部と神奈川県西部の渓流は破壊され尽くされました。
特に、西丹沢の世附山地の被害が大きく、神奈川県側では、世附川や大又沢流域が壊滅し、静岡県側では、須川と野沢川が
破壊され、小山佐野川も荒廃しました。
須川と野沢川の災害復旧工事に伴う濁水は未だに収まらず、神奈川県側の酒匂川本流は、濁りが取れない中、
他のフィールドを模索せざるを得ず、比較的近場の甲州郡内地方に活路を見出すことにした次第です・・・。

山梨県内の桂川系統は、上流部の忍野付近は、忍草漁協の管轄であり、忍野八海エリアのチョークストリームの釣り場です。
中流部が、都留や西桂地区を管轄する都留漁協のエリアとなり、この地域をフィールドとして選定しました。
下流部は、大月付近の桂川漁協管轄エリアとなりますが、都留漁協エリアに比べると水質の富栄養化が進み、
コイ科外道が多くなることからしても、中流域の本支流が、一番合理的なエリアだと考えられます。

都留漁協管轄区域の漁期は、3月15日AM5時〜9月30日迄です。
平成23年現在、遊漁料は、日釣り1,200円(現場監視員:1,500円)で、年券8,000円です。
ヤマメ、アマゴ、イワナ、ニジマス、ブラウントラウトの魚影が濃いので、存分に楽しめるはずです。



都留漁協管轄区域の桂川系統・本支流


1.桂川本流

都留漁協管轄区域の桂川本流の漁場は、都留市の田原の滝の上下にて、上流と下流に区分されるものと思料されます。

田原の滝よりも上流は、西桂町内を流れる平坦な清流ですが、コイ科外道がほとんど居らず、そういう面では、
煩わしい気持ちをすること無く、開豁な流れにて、存分に長竿が振れるでしょう。
平瀬主体なので、餌釣りには不利な区間も多いですが、石周りや深みを丹念に狙えば、まずボウズにはならないでしょう。
なお、田原の滝〜蒼竜峡団地の区間は、奇岩帯のゴルジュで「蒼竜峡」と呼ばれる危険な区間のようです。
人の立ち入りが困難な険しいエリアゆえに、モンスター級の大ヤマメや大イワナが生息するらしいですが、一般的には、
釣り場としては考えてはいけないようです。

一方、田原の滝よりも下流は、ウグイやクソバエ、カワムツといったコイ科外道が生息し、時折煩わさせられますが、
それでも、さらに下流の桂川漁協管轄区域に比べれば密度は薄く、基本的には、サケ科のトラウト類が主体です。
渓相は、西桂エリアよりもむしろ渓流相であり、都留市谷村周辺は、中々の好ポイントが多いです。
しかし、難点としては、渓谷が深いため、入川路があまり無いことです。
柄杓流川合流点はじめ、好ポイントでありながらも、中々川に降りられない箇所も多く、そういう点では苦労するでしょう。
なお、田原の滝よりも下流は、アユが放流されるため、夏場以降は鮎友釣り師と競合しますので、相互に共存できるよう、
心掛ける必要があります。

桂川本流全般として、何しろゴミが多く、水質も清流ギリギリな点は、頂けません(^^;)
とはいえ、都留漁協の濃密放流のおかげにて資源量は多く、しかも富栄養化の良い意味での作用にて、ビックリするような大物が
生息しますので、大物志向の本流師にとっては、楽しい釣りができることでしょう。


2.鹿留川(ししどめがわ)

鹿留川は、柄杓流川と並ぶ都留漁協管轄区域の主力支流にて、管理釣り場「FISH−ON鹿留」を挟んだ上下にて、
上流と下流に区分されるものと思料されます。

上流域の林道はゲートで塞がれており、また、渓相が急にゴーロの本格渓流へと変貌するので、西丹沢の玄倉川や世附川を
髣髴とされられ、何とも言えない期待感をそそられた次第です。。
世附川や大又沢のような素晴らし渓流で釣りができない状態に絶望していましたが、どうやらこの鹿留川で満足できそうです。

相当に釣り人が多そうですが、まあ、素晴らしい渓相の中、マイナスイオンを存分に吸い込んで、リフレッシュできそうな渓流です。


3.柄杓流川(しゃくながれがわ / しゃくながしがわ)

柄杓流川は、鹿留川と並ぶ都留漁協管轄区域の主力支流にて、三ツ峠付近の湧水を集める水量豊富な大支流です。
護岸された川幅一杯に、かなりの急流が流れる雰囲気は、須川や小山佐野川とも類似しています。
豊富な湧水による川という点からも、東富士の須川が一番似ているものと思料されます。

この川は、何しろ谷が深くて、中々入川できる点がありませんが、非常に魚影が濃いらしく、
釣果については、多くの情報は、非常にポジティブな内容が記載されています。

水量の多い平瀬主体の川相にて、渓流相ではないため、餌釣りには不向きであり、ルアーやフライに軍配が上がりそうです。


4.菅野川(すげのがわ)、戸沢川

菅野川は、都留市中心部の南側を掠めるようにして流れ、中央高速道路の都留ICと大月ICの中間あたりで
桂川本流へと合流する中規模支流です。
下流部はチャラ瀬の平川ですが、道志村へと抜ける県道に沿う中流部に差し掛かると、中々の好渓相となります。
水量も豊富にて、渓流釣り場としては、評判の良い川のようです。

なお、支流の戸沢川も渓流釣りの対象となる沢のようです。
確かに、水量は豊富とはいえないながらも、ある程度の流量が維持されていたので、納得できます。
降雨後の増水時にでも狙ってみたら、面白い沢かもしれません・・・。


5.朝日川

菅野川と概ね同位置にて桂川本流に合流する支流。
以前、上流のキャンプ場にて、死体遺棄事件が発生した等、マイナスのイメージが付きまとうので、
私はあまり興味を持つ沢ではありません・・・。

一応探索しましたが、下流部はチャラ瀬の平川にて、渓流魚が生息するような雰囲気は全く無し。
上流へ行くと、支流の大旅川とともに渓流釣り場となるようですが、私の中での、この川に対する優先度は、
現時点では非常に低くなっています。


6.大幡川

大幡川は、中央高速道路都留IC付近の院辺橋にて桂川本流と合流する支流です。
都留漁協による管理放流が行われていない模様にて、しかも上流部には鉱山がその昔あったようで、
渓流釣り場の価値としては、それほど高くないような記述が見受けられます。
一方で、大変美しいヤマメが釣れる貴重な沢という地元釣り師の言葉も見受けられるので、
一応は釣りの対象となるものと思料されます。

下流部は伏流しているような感じにて、釣りの対象には、とうていなりそうにない流れですが、
上流へ車を走らせると、変化のある流れへと様子が変わり、十分に対象となりそうに感じました。
よって、朝日川よりかは、優先度が高い川になりそうです。