エアフレーム

−機体−

表紙

マイクル・クライトン 著/酒井昭伸 訳
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
ハヤカワNV文庫
ISBN4-15-040962-5 \680(税別)
ISBN4-15-040963-3 \680(税別)

 香港発デンヴァー行きのトランスパシフィック航空機に突然襲った非常事態、それは当初、突然の乱気流による強烈な縦揺れと思われた。だが、事故当時その空域に乱気流の報告はない。機体の欠陥からきた事故なのか?事故機と同型の機体、ノートンN22は、今まさに中国との大口の契約を結ぼうとしていた矢先なのだ。今N22の評判に傷がつくのはまずい。機体を製造したノートン社は、品質保証部に勤務するケイシーをリーダーに調査チームを作り、事故の原因を解明しようと動き出すが………。

 科学、技術に関する最新情報を駆使した大作を量産するクライトンの文庫版最新刊は、航空機事故の調査を題材にしたビジネス・サスペンス。「ライジング・サン」や「ディスクロージャー」の流れに属する作品。最新のテクノロジーの巨大な集合体である航空機を突然襲ったアクシデント(この場合のような、トラブルなどが発生してもとりあえず飛行機が無事に着陸できたような時には実際にはインシデント、と呼ぶんだそうです。墜落など、規模の大きい事故がアクシデントなんだって)を解き明かそうとする航空機の専門家たちの活動と複雑に絡み合ったハイテク・サスペンス。

 エアバスでしたか、クルーが機体の特性をちゃんと把握していなかったばかりにちょっとしたトラブルを人間側が増大させ、結果的に大惨事を招いてしまった、てな事故がありましたが、ハイテクの進歩で、これまで考えられなかったような事故が起きるであろうことをクライトンが鮮やかにえぐってみせる………と思いきや(^^;)。

 うーむ確かにそういう側面もなくはないんですけどねえ。んがしかしクライトンさん、自分がリサーチした航空機事故とその調査のディティールを書き込むのに熱心なあまり、肝心のミステリの部分が思いっきり力入ってないんだよなあ。んだから途中までは結構楽しく読めるのに、最後の謎解きのところで「おいこら」って思っちゃうんだよなあ。ハイテクもいいけどさぁ、良く調べてて感心するんだけどさぁ、これはいかんのじゃないの?(^^;)

00/10/7

前の本  (Prev)   今月分のメニューへ (Back)   次の本  (Next)   どくしょ日記メニューへ (Jump)   トップに戻る (Top)