雇用保険の被保険者
雇用保険には、次の4種類の被保険者区分があります。
1 一般被保険者
正社員やパートタイマーなど一般的な雇用保険の被保険者をいいます。ただし、1週間の所定労働時間が20時間未満で、31日以上の雇用見込みがない場合は被保険者になれません。
2 高年齢被保険者
65歳以上の被保険者をいいます。ただし、一般被保険者と同様に、1週間の所定労働時間が20時間未満で、31日以上の雇用見込みがない場合は被保険者になれません。
3 短期雇用特例被保険者
季節的に雇用される人、又は短期の雇用に就くことを常態とする人をいいます。
4 日雇労働被保険者
日々雇用される人、または30日以内の期間を定めて雇用される人をいいます。なお、同一事業所に2か月の各月において18日以上雇用されるに至った場合は、その翌月の最初の日から一般被保険者になります。
雇用保険の被保険者になれない人
雇用保険は、法人事業・個人事業に係わらず労働者を1人でも雇用している場合は強制適用事業とされます。唯一の例外は「個人経営であって、常時使用する労働者が5人未満の農林水産の事業」で任意加入となっています。
なお、雇用保険の被保険者になれない人は、以下となります。
□ 雇用保険の被保険者になれない人
1 法人の役員等
事業主、社長、会長、代表取締役、監査役等は被保険者になれません。株式会社の取締役については、同時に会社の部長、支店長、工場長などの身分を有している人で、報酬支払いなどの面から見て労働者的性格の強い人は雇用保険の被保険者となる場合があります。
2 パートタイマー等の短時間就労者
以下の人は、被保険者になれません。
(1) 31日以上の雇用見込みがない人(注)
(2) 1週間の所定労働時間が20時間未満である人
【注】
(1)「31日以上の雇用見込み」とは…
ア、31日以上雇用が継続しないことが明確であること
イ、次の場合には、雇用契約期間が31日未満であっても、原則として31日以上の雇用が見込まれるものとして、雇用保険が適用されます
① 雇用契約に更新する場合がある旨の規定があり、31日未満での雇止めの明示がないとき
② 雇用契約に更新規定はないが同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績があるとき
(2) 週により、週所定労働時間が20時間以上であったり20時間未満であったりする場合は、月の所定労働時間が86時間40分未満か否かで判断します。
3 保険会社の外務員、商事会社等の外交員・営業部員
給与形態が歩合給が主体で、出勤義務、業務遂行の指揮命令等の実態から判断して、委任契約と認められる人は被保険者となりません。
4 家事使用人
被保険者となりません。
5 臨時内職的に雇用される人
賃金が家計の補助的なもので、反復継続して就労せずに、臨時内職的に就労するにすぎない人は被保険者となりません。
6 事業主と同居の親族
原則として、被保険者となりません。
□ 雇用保険の適用除外者
以下の人は、雇用保険の適用除外者として被保険者になれません。
(1) 短時間労働者であって、季節的に雇用される人
(2) 4か月以内の期間を予定して行われる季節的事業に雇用される人
(3) 船員保険の被保険者
(4) 国、都道府県、市町村等の事業に使用される人で、雇用保険の給付を超える制度がある場合
高年齢被保険者とは
〇 2017年1月1日改正 (詳細)厚労省のリーフレット
65歳以上の労働者も「高年齢被保険者」として雇用保険の適用の対象となりました。ただし、一般被保険者と同様に、1週間の所定労働時間が20時間未満で、31日以上の雇用見込みがない場合は被保険者になれません。
□ 具体的取扱い
(1) 一般被保険者が65歳になると自動的に高年齢被保険者となりますので、特に手続きは必要ありません。
(2) 新たに65歳以上の労働者を雇用した場合
雇用保険の適用要件(1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがあること)に該当する場合は、所轄のハローワークに「資格取得届」を提出します。
兼務役員と雇用保険の関係
法人の役員は雇用保険の被保険者になれませんが、役員であっても、同時に部長・支店長・工場長等会社の従業員としての身分を有している(兼務役員)であって、就労実態や給与支払いなどの面から見て労働者的性格が強く、雇用関係が明確に存在している場合に限り、雇用保険の被保険者となります。
この場合、就業規則・登記事項証明書・賃金台帳・雇用契約書等の関係書類を添付し、所轄のハローワークへ「兼務役員雇用実態証明書」の届出を行います。詳しくは、最寄りのハローワークでお尋ねください。
(書式ダウンロード)厚労省のサイト
複数の事業所に勤務する場合の雇用保険はどうする
パートタイマーとして複数の事業所で働いているようなケースがありますが、複数の事業所から同時に賃金を受けている場合でも、生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける一の事業所のもとでのみ雇用保険の被保険者となります。
複数の事業所で各々雇用保険の加入要件である、(1)31日以上雇用する見込みがある、(2)1週間の所定労働時間が20時間以上ある、を満たしていても複数の事業所に同時に雇用保険に加入することはできません。
この場合は、生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける事業所であるか否かを当該パートタイマー等に確認のうえ、雇用保険に加入要件すべきか否かを判断することになります。
従業員が自営業等を営んでいる場合等の雇用保険の取扱いはどうする
〇 2021年1月1日改正 (参考)厚労省のリーフレット
従業員が自営業を営んでいる場合(自営業を営む場合のほか、他の事業主の下で委任関係に基づきその事務を処理する場合(雇用関係にない法人の役員等である場合)を含む。)であっても、労働条件が雇用保険 の適用要件((1)31日以上雇用する見込みがある、(2)1週間の所定労働時間が20時間以上ある。)を満たしている場合は、従業員としての収入と自営業等による収入のどちらが多いかに関わり なく、雇用保険被保険者資格取得届の提出が必要です。
雇用保険の被保険者でなくなった日とはいつか
雇用保険被保険者資格喪失届には、離職日の記載欄しかありませんが、被保険者が離職した場合はその事実があった日の翌日に被保険者でなくなります。
【解説】雇用保険法では、被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内に被保険者資格喪失届を提出し離職したことを届出なければならないとしています。例えば、3月31日に離職した場合であれば、4月11日までに喪失の届出を行わなければならないことになりますが、実務上は、10日を超えたとしても、ハローワークで届出を受け付けないことはありません。
雇用保険の給付の種類
雇用保険は、労働者が失業した場合に必要な給付を行うことによって、その人の当面の生活の安定を図るとともに、求職活動を容易にするなど再就職を促進することを大きな目的としています。
このように、雇用保険は労働者の再就職を促進することを目的としているため「自分は働きたいし、働く能力がある」という働く意思及び能力があることが大前提となっています。したがって、例えば定年を迎え働くつもりはないが、取合えず失業給付を貰おうなどと考えている人は対象とされません。
この、再就職を促進するための給付を「失業等給付」と呼び、失業等給付には、(1)求職者給付、(2)就職促進給付、(3)教育訓練給付、(4)雇用継続給付の4つの給付があります。
(参考)ハローワークのサイト
賃金日額・基本手当日額とは何か
「賃金日額」とは、雇用保険の被保険者として計算された最後の6か月に支払われた賃金の総額(臨時に支払われた賃金および3か月超える期間ごとに支払われる賃金を除く。)を180で除した額をいいます。
この賃金日額に一定の率(50~80%で、賃金の低い人ほど高率)を乗じて得た額を「基本手当日額」といい、雇用保険で受給できる1日当たりの金額としています。基本手当日額の上限額と下限額は、毎月勤労統計の平均定期給与の増減をもとに毎年8月1日に変更されます。
失業したときに基本手当を受給するには条件がある
一般被保険者が失業したときに雇用保険から支給される代表的な給付は、求職者給付のうちの「基本手当」です。この「基本手当」は、次の条件の全てを満たしたときに支給されます。
(1) 離職により、ハローワークから被保険者の資格喪失の確認を受けたこと
(2) 労働の意思および能力があるにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあること
(3) 離職の日以前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算して12か月以上あること
□ ポイント
(1) 離職の日から遡って1か月ごとに区切っていき、このように区切られた1か月の期間に、賃金支払基礎日数(賃金を支払った日)が11日以上ある月、または賃⾦⽀払の基礎となった労働時間数が80時間以上ある月を被保険者期間の1か月とカウントします。このようにカウントされた被保険者期間が、離職の日以前2年間に通算して12か月以上あることが必要となります。したがって、基本手当を受給するには、雇用保険に加入していた期間が12か月以上あることが最低条件となります。
(2)「特定受給資格者」および「特例理由離職者」に該当する場合は、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上に緩和されます。
(3) 離職前2年間(倒産・解雇等の場合は1年間)の間に疾病、負傷、出産、育児などの理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった場合は、これらの理由により賃金の支払を受けることができなかった日数を加えた期間(加算後の期間が4年間を超えるときは4年間が最長)により受給に必要な被保険者期間があるか判断します。
(4) 正当な理由がない自己都合により退職した場合は、2か月の給付制限期間があります。ただし、5年間に2回以上の自己都合による離職をしている場合及び自己の責めに帰すべき重大な理由で離職した場合の給付制限期間は3か月に延長されます。
基本手当の受給期間には上限がある
雇用保険の被保険者が離職をして、基本手当の支給を受けられるのは離職の日の翌日から原則1年間です。この期間を受給期間といいます。この期間を経過すると、所定給付日数が残っていても残りの基本手当は支給されません。ただし、所定給付日数が330日の人は「1年+30日」、360日の人は「1年+60日」の例外があります。
(参考)ハローワークのサイト
□ 受給期間の延長が認められる場合
(1) 離職の日の翌日から1年以内に妊娠、出産、育児、疾病、負傷などの理由などの理由により、引き続き30日以上職業に就くことができない場合→3年間延長し最大4年まで
(2) 60歳以上の定年に達したことによる離職、または60歳以上の定年に達した後再雇用等により継続雇用されていた人が、離職後一定期間は求職の申し込みを希望しない場合→1年間延長し最大2年まで
□ ハローワークへの延長の申出
(1)の場合
〇 2017年4月1日改正 (詳細)ハローワークのサイト
…離職日から30日過ぎた日(妊娠、出産等の理由により引き続き30日以上職業に就くことができなくなった日)の翌日から延長後の受給期間の最後の日までに。
(2)の場合…離職日の翌日から2か月以内に。
●必要書類
受給期間延長申請書と離職票-2および延長理由を証明する書類(医師の証明書など)を添付(何れも、代理人または郵送による申出も可能)
基本手当と健康保険の傷病手当金は同時には貰えない
健康保険の傷病手当金を受給している間は、基本手当は受給できません。
なぜなら、傷病手当金を受給しているということは労働できる状態ではないということですから、基本手当の受給要件の一つである「労働の意思および能力がある」と見なされないからです。
雇用保険の被保険者が離職をして、基本手当の支給を受けられるのは離職の日の翌日から原則1年間ですが、離職の日の翌日から1年以内に疾病・負傷などの理由により引き続き30日以上職業に就くことができない場合は、3年間延長し最大4年まで受給期間の延長が認められます。したがって、健康保険の傷病手当金を受給している場合は、ハローワークで受給期間の延長手続を行っておく必要があります。
ハローワークへの延長申出については、前項Q&Aをご覧ください。
基本手当と老齢年金は同時に貰えるか
雇用保険の基本手当を受給すると、老齢年金が支給停止される場合があります。
□ 基本手当と老齢年金との支給調整
(1) 支給調整の対象とされるのは基本手当のみで、その他の雇用保険の給付は支給調整の対象となりません。
(2) 支給停止されるのは、60歳台前半に支給される特別支給の老齢厚生年金・退職共済年金です。65歳以後に支給される老齢厚生年金・退職共済年金および老齢基礎年金、遺族厚生年金、遺族共済年金は支給停止されません。
(3) 厚生年金基金分について支給停止されるか否かは、各基金により異なります。
(4) 実際に年金が支給停止されるのは、事務手続きの関係で2~3か月後になります。
(5) 自己都合退職の場合は、離職後、待期期間(7日間)+給付制限期間(2か月間)は基本手当は支給されませんが、この間においても老齢年金は月単位で支給停止されます。ただし、基本手当の受給終了後に事後清算が行われ、支給停止されていた月の老齢年金は後日支給されます。
定年退職者の失業給付はどうなる
定年退職者の失業給付等(基本手当)の給付日数は、自己都合退職などの一般の離職者と同様です。
ただし、自己都合退職と異なり給付制限期間はありませんので、7日間の待期期間終了後に直ちに受給することができます。
65歳以降で離職した場合は一時金支給となる
65歳以上の被保険者を「高年齢被保険者」といい、一般の被保険者と区別されます。高年齢被保険者が離職したときは一般の求職者給付ではなく「高年齢求職者給付金」が一時金として支給されます。
【注】
(1) 65歳に達した日とは、65歳の誕生日の前日をいいます。
(2) 高年齢求職者給付金を受給しても、老齢年金との支給調整はありません。
● 受給要件
(1) 一般の被保険者の求職者給付と同様に、働く意志能力があること
(2) 原則として離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上あること
● 高年齢求職者給付金の額(一時金として1回限りの支給)
(1) 被保険者であった期間1年未満の場合…基本手当日額の30日分
(2) 被保険者であった期間1年以上の場合…基本手当日額の50日分
【解説】2017年1月から65歳以上の労働者も「高年齢被保険者」として雇用保険の適用対象となったことから、「高年齢求職者給付金」のほかに「育児休業給付金」「介護休業給付金」「教育訓練給付」についても受給要件を満たせば、支給対象となりました。
教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され基本手当を受給できる
○ 2025.4.1改正
1 給付制限が解除され基本手当を受給できる場合
次のいずれかの教育訓練等(2025年4月1日以降に受講を開始したものに限る)を離職日前1年以内 に受けた場合(途中退校は該当しない) または離職日以後に受けている場合
① 教育訓練給付金の対象となる教育訓練
② 公共職業訓練等
③ 短期訓練受講費の対象となる教育訓練
④ ①~③に準ずるものとして職業安定局長が定める訓練
2 教育訓練等を受けた(受けている)場合の申し出
受講開始以降、受給資格決定日や受給資格決定後の初回認定日(初回認定日以降に受講を開始した場合は、その受講開始日の直後の認定日)までに申し出る必要があります。
(詳細)厚労省のリーフレット
再就職手当とは何か
再就職手当とは、雇用保険の基本手当を受給中に再就職が決まった場合に、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っているとき、ハローワークが必要と認めたときに支給される手当です。
□ 支給要件
(1) 1年を超えて引き続き雇用されることが確実な職業に就いたこと、または自ら事業を開始したこと
(2) 待機期間の経過後に職業に就き、又は事業を開始したこと
(3) 離職理由により給付制限を受けている場合は、待機期間満了後1か月間はハローワークの紹介若しくは職業紹介事業者からの紹介により職業に就いたこと
(4) 離職前の事業主に雇用されたものでないこと
(5) 受給資格決定日前に採用が内定した事業主に雇用されたものでないこと
(6) 離職日前3年以内の就職について再就職手当・常用就職支度金・早期再就職支援金の支給を受けていないこと
(7) 申請後まもなく離職した者には適用されません
□ 支給額
(1) 基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の2以上残っている場合…残日数×基本手当日額×50%
(2) 基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上残っている場合…残日数×基本手当日額×40%
□ 注意点
(1) 高年齢再就職給付金を受けられる人で、再就職手当および早期再就職支援金をも受けることができる場合はいずれか一つの選択受給となります。
(2) 再就職したものの倒産等の理由で再び離職を余儀なくされた人で、離職日が受給期間内にある場合は、一定の期間受給期間が延長されます。
(3) 請求手続きは、再就職した日の翌日から起算して1か月以内に「再就職手当受給申請書」に受給資格者証を添え、住所地のハローワークに提出することにより行います。
雇用保険の給付金は申請期間を過ぎても受給できるか
〇 2015年4月1日改正
申請期間経過後であっても2年の時効の期間内であれば支給申請が可能となっています。
□ 対象となる雇用保険の給付
就業手当、再就職手当、就業促進定着手当、常用就職支度手当、移転費、広域求職活動費、一般教育訓練に係る教育訓練給付金、専門実践教育訓練に係る教育訓練給付金、教育訓練支援給付金、高年齢雇用継続基本給付金、高年齢再就職給付金、育児休業給付金、介護休業給付金
士業の資格を持つ人と失業給付の取扱い
〇 2013年2月1日改正 (参考)厚労省のサイト
公認会計士、税理士、弁護士、社会保険労務士、弁理士などの資格を持つ人は、法律の規定に基づき名簿や登録簿などに登録している場合であっても、開業や事務所に勤務している事実がないことが確認でき、以下の要件を満たしていれば、雇用保険の受給資格決定を受けることができます。
(1) 雇用保険の被保険者期間が、原則、離職日以前2年間に12か月以上あること
(2) 就職したいという積極的な意思と、いつでも就職できる能力(健康状態・家庭環境など)があり、積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、就職できない状態(失業の状態)にあること
離職後に事業を開始した人は基本手当の受給期間の特例申請ができる
〇 2022年7月1日改正(詳細)厚労省のリーフレット
雇用保険の基本手当の受給期間は、原則離職した日の翌日から1年間ですが、離職後に事業を開始した人が事業を行っている期間は、ハローワークに申請することにより、最大で3年間は受給期間に算入しないことができます。
離職後3年の間に事業を廃業し再就職を目指すような場合は、基本手当を受給しながらの再就職活動が可能となります。
離職後のハローワークの手続と流れ
(1) 「雇用保険被保険者証」の有無を確認します。
(2) 会社が作成した「離職証明書」の離職理由などの記載事項を確認し署名捺印します。訂正があれば申し出ます。
(3) 会社のハローワークでの資格喪失手続き終了後、会社から離職票1と2を受取り、記載内容を確認します。(退職後10日過ぎても発行がない場合は、会社に確認します。)
(4) ハローワークに行く前に、離職票の2の裏面をよく読み、手続きに必要なものを用意します。
(5) 住所地を管轄するハローワークに、離職票の1と2および求職票を提出し受給資格の確認を受けると、説明会の日時が指定されます。
(6) 指定された説明会の日にハローワークへ赴くと「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が渡され、1回目の失業認定日が指定されます。(以後、ハローワークへ赴くときは「雇用保険受給資格者証」と印鑑は必ず持参します。)
(7) 指定された失業認定日にハローワークへ赴き「失業認定申告書」に就職活動などの状況を記載して提出し、失業の認定を受けます。概ね1週間後に指定した金融機関に第1回目の基本手当が振込まれます。
(8) 再就職が決まらなければ4週間に1回ハローワークへ赴き、失業認定申告書を提出し失業の認定を受けます。その都度、4週間分の基本手当が振込まれます。
(9) 以後これを繰り返し、所定給付日数の限度が来れば基本手当の支給は終了します(所定給付日数が残っていたとしても、原則として離職後1年を経過すると基本手当の支給は終わります。)
(参考)ハローワークのサイト
希望する離職者のマイナポータルに「離職票」を直接送付するサービス
○ 2025年1月20日施行
(被保険者の事前の取り扱い)
(1) マイナポータルで、マイナンバーがハローワークに登録されているか確認する
(2) マイナポータルから「雇用保険Webサービス」と連携する
(詳細)厚労省のサイト
(被保険者から離職票を直接送付する旨の申告を受けた事業所の取り扱い)
(1) 電子申請により、離職票なしで離職手続を行う
(2) 離職者本人用の公文書に「離職者本人へマイナポータル上で直接交付しております」 のメッセージが返信されたら完了
*離職区分コードは個人情報のため、直接交付した場合は事業所において確認できないので注意
(詳細)厚労省のサイト
(FAQ)厚労省のサイト
離職証明書の記載方の変更について
1 被保険者期間の算定方法の変更
〇 2020年8月1日改正(詳細)厚労省のリーフレット
離職日から1か⽉ごとに区切っていた期間に、賃⾦⽀払の基礎とな る日数が11日以上ある月、または賃⾦⽀払の基礎となった労働 時間数が80時間以上ある月を1か月として計算に改正されました。
● 変更後の離職証明書の記載方
「⑨欄」と「⑪欄」に記載する賃⾦支払基礎日数が10日以下の期間については、当該期間における賃⾦支払の基礎となった労働時間数を「⑬欄」に記載する。
2 有期労働契約の更新上限到来による離職の場合の離職理由の取扱いの変更
〇 2018年2月5日改正(詳細)厚労省のリーフレット
● 具体的取扱い
(1) 採用当初はなかった契約更新上限をその後追加した場合、または不更新条項を追加した場合
(2) 採用当初の契約更新上限を、その後引き下げた場合
(3) 改正労働契約法の公布日(2012年8月10日)以後に締結された4年6か月以上5年以下の契約更新上限が到来した(定年後の再雇用に関し定められた雇用期限の到来は除く。)ことにより離職した場合。
●離職証明書の記載方
上記(1)から(3)に該当する場合は、特定受給資格者または特定理由離職者に該当することがあるため、離職証明書の「⑦離職理由欄」に「3 労働契約期間満了等によるもの」「(1)採用又は定年後の再雇用時等にあらかじめ定められた雇用期限到来による離職」を選択し、便宜的に「(2)労働契約期間満了による離職」中の「1回の契約期間、通算契約期間、契約更新回数」に契約に係る事実関係を記載するとともに、最下部の「具体的事情記載欄(事業主用)」にそれぞれ以下のとおり記入する。(電子申請の場合は「文中の便宜的に~の記載は「具体的事情記載欄(事業主用)」に記載する。)
(1)の場合…上限追加
(2)の場合…上限引下げ
(3)の場合…4年6か月以上5年以下の上限
なお、採用当初の雇用契約書と最終更新時の雇用契約書など、それぞれの事情がわかる書類を添付する。
満年齢の数え方
「年齢計算に関する法律」では、出生日の前日の24時に満年齢に達したとして取扱います。したがって、満年齢に達した日とは、誕生日の前日となります。
特定受給資格者・特定理由離職者とは何か
「特定受給資格者」とは、倒産・解雇等により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた人をいい、「特定理由離職者」とは、(1)期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ労働契約の更新がないことにより離職した人、(2)正当な理由のある自己都合により離職した人をいいます。
□ 有利な取扱いがなされる
自己都合退職等の、一般の離職者に比べ有利な取扱いがなされます。
(1) 基本手当の2か月の給付制限期間がない。
(2) 原則として、基本手当の「所定給付日数」で有利な取り扱いがなされる。
(3) 受給資格が「離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上」に緩和される。
□ パトタイマーなどの有期雇用契約者に対する取扱い
期間の定めのある労働契約が更新されなかったこと、その他やむを得ない理由により離職した人は「特定理由離職者」として有利な取扱いがなされます。
□ 特定受給資格者・特定理由離職者の範囲と判断基準
特定受給資格者又は特定理由離職者に該当するかどうかの判断は、受給資格に係る離職理由により、ハローワークが行う。」とされています。
(参考)特定受給資格者・特定理由離職者の範囲と判断基準
離職証明書の離職理由欄4(2)の重責解雇とは何か
離職証明書の離職理由欄4(2)の重責解雇(労働者の責めに帰すべき重大な理由による解雇)には、以下の事象が該当するとされます。
(1) 刑法各本条の規定に違反し、又は職務に関連する法令に違反して処罰を受けたことによって解雇された場合
(2) 故意又は重過失により事業所の設備または器具を破壊したことによって解雇された場合
(3) 労働協約または労働基準法に基づく就業規則に違反したことによって解雇された場合(軽微なものは該当しない。具体的は次のとおり)
① 極めて軽微なものを除き事業所内において窃盗、横領、傷害事件等刑事犯に該当する行為
② 賭博、風紀素乱等により職場規律を乱し、他の労働者に悪影響をおよぼす行為
③ 長期間正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合
④ 出勤不良又は出勤常ならず、数回の注意を受けたが改めない場合
(4) 事業所の名をかたり、利益を得、又は得ようとしたことによって解雇された場合
(5) 他人の名を詐称し、又は虚偽の陳述をして就職したたため解雇された場合
重責解雇か否かの判断は上記を参考にハローワークが職権により行いますが、重責解雇であれば特定受給資格者となれずに、自己都合退職と同様に基本手当は2か月間給付制限されます。なお、重責解雇であれば雇用保険による助成金には影響しません。
複数の離職票がある場合の受給資格の決定はどうなる
複数の離職票を所持している場合は、最後の離職票に記載されている離職理由により、受給資格が決定されます。
最後の離職票に被保険者期間がない場合は、直前の離職票に記載されている離職理由により決定されます。また、この場合、直前の離職票に記載されている離職日が、当該受給資格に係る離職日となります。
パートタイマーや定年後の継続雇用者など有期雇用者の雇止め時の離職理由の判定はどうなされるか
パートタイマーや定年後の継続雇用者など有期雇用者の契約期間満了に伴う契約解除(雇止め)時における、ハローワークの離職理由の判定は、反復継続した契約期間が3年未満か3年以上かにより異なります。これについては、知合いの松沢社労士のサイトにフローが公開されています。
なお、離職理由の判定は最終的にはハローワークが決定することになります。
マイナンバーカードで失業認定手続が可能に
〇 2022年10月1日改正(参考)厚労省のリーフレット
本人の希望により、マイナンバーカードによる本人認証を活用することで、受給資格者証に添付する写真や失業の認定等の手続きごとの受給資格者証の持参が不要になりました。
ただし、マイナンバーカードを活用して失業認定等の手続きを希望した場合、それ以降は原則として受給資格者証等による手続きに変更することができず、また本人認証時のパスワード入力時に3回連続で誤入力するとロックがかかり、パスワード再設定の手続きが必要となりますので、注意が必要です。
雇用保険マルチジョブホルダー制度とは
〇 2021年1月1日施行 (参考)厚労省のリーフレット
□ 雇用保険マルチジョブホルダー制度とは
複数の事業所に勤務する65歳以上の労働者が、そのうちの2つの事業所での勤務を合計して適用対象者の要件を満たす場合に、本人からハローワークに申出を行うことで、申出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができる制度です。
■ 適用対象者の要件とは?
(1) 複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること
(2) 2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること
(3) 2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること
□ 会社の取扱いは?
手続は本人が行わなければなりませんが、 2つの各々の会社は本人からの依頼に基づいて手続に必要な証明(雇用の事実や所定労働時間など)を行う必要があります。事業主の記載事項については以下のパンフレット5ページに記載があります。5ページに記載の添付書類も準備のうえ本人に渡します。ハローワークが受理確認を行うとハローワークから資格取得確認通知書(事業主通知用)が会社宛に届きます。その後の雇用保険料の納付は会社が行います。具体的な手続は、パンフレット3ページをご覧ください。
なお、離職等の場合にも10ページに記載の離職証明書の作成と添付書類が必要となります。
(参考)雇用保険マルチジョブホルダー制度の申請パンフレット
雇用保険は遡って加入できる
〇 2010年10月1日改正(詳細)厚労省のリーフレット
原則は、2年以内の期間のみ遡って加入することができるとされていますが、事業主が雇用保険の加入の届出を行っていなかった場合で、雇用保険料が給与から天引きされていたことが明らかである場合は、2年を超えて遡って雇用保険の加入が可能とされます。
この場合、ハローワークへ2年を超えた期間について雇用保険料が給与から天引きされていたことが確認できる以下のいずれかの書類を添付のうえ、資格取得届または取得日訂正届を提出し、手続きを行います。
(1) 給与明細書
(2) 賃金台帳の写し
(3) 所得税源泉徴収簿
雇用保険の保険料率は労使折半ではない
雇用保険の保険料率は一定でなく、毎年見直しが行われ「一般の事業」「農林水産業・清酒製造業」「建設業」で異なる保険料率となっています。また、雇用保険の保険料は、健康保険料や厚生年金保険料のように折半ではなく、事業主負担分が多くなっているのが特徴です。
■ 雇用保険料率:厚労省のサイト
雇用保険に関する業務取扱要領
(リンク)厚労省のサイト
雇用関係助成金一覧
雇用関係の助成金には様々なものがありますが、新設されたり廃止されたり、制度が長期に渡るものや時限的に実施されるもの、年度内に制度が見直されたりするケースが頻繁にあります。
一般的には予算配分が終了した年度替わり後に、○年度の助成金として公開し、6月頃までには新制度の概要が出揃うようです。助成金の中には比較的受給しやすいものから、ハードルの高いものなど様々あります。
■ 事業主の方のための雇用関係助成金 ■「労働条件等関係の助成金」のご案内
「雇用関係助成金に関する主なお問い合わせ先一覧」
電子申請で「特定求職者雇用開発助成金」の申請ができる
〇 2021年3月22日施行(詳細)厚労省のサイト