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新潟市|佐藤正社会保険労務士事務所/TEL:025-277-0927

育児休業・介護休業Q&A

育児介護、ハラスメントQ&A

 
 育児休業育児休業の実務介護休業介護休業の実務共通事項ハラスメント


 2025年4月&10月改正、育児介護休業法

 2025年4月改正、子ども子育て支援法

 育児休業

 育児休業とは何か

 育児休業制度の種類

 育児休業が適用されない労働者もいる

 育児休業を2歳まで延長が認められる場合がある

 保育所等に入れなかったことを理由とする育児休業給付金の支給対象期間延長手続きが厳格に

 パパ・ママ育休プラスとは何か

 産後パパ育休(出生時育児休業)とは何か

 子の看護休暇制度とは何か

 育児短時間勤務の代替措置とは何か

 育休取得に向けた雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化とは

 育児休業の実務

 育児休業の申出から復帰までの事務手続の流れ

 2025年4月創設「出生後休業支援給付金」

 育児時短休業給付金の支給申請

 育児休業期間中の就労について

 傷病手当金と育児休業給付金は併給できるか

 育児短時間勤務と労働基準法の育児時間との併用もできる

 介護休業 

 介護休業とは何か

 介護休業制度の種類

 介護休業が適用されない労働者もいる

 介護休暇とは何か

 介護離職防止のための雇用環境整備、個別の周知・意向確認の義務化とは

 介護休業の実務

 介護休業給付金

 常時介護を必要とする状態に関する判断基準

 共通事項

 育児・介護休業労働者への不利益扱いは禁止される

 育児・介護休業期間は年次有給休暇の出勤率の算定対象期間から除外できない

 子の看護休暇・介護休暇を年次有給休暇の出勤率算定対象とするか否かは自由

 育児介護休業法による休業等で賃金を支給するか否かは会社の自由

 管理監督者と育児・介護休業法との関係はどうなっている

 ハラスメント

 パワハラを規制する法律(パワハラ防止法)

 2022年4月からのパワハラ防止法の中小企業への拡大により会社が行うべきこと

 パワハラとは何か

 マタハラとは何か


 旅館業法が改正され、カスハラは宿泊拒否も可能に



 2025年4月&10月改正、育児介護休業法

○ 2025年4月改正

■ 育児休業
(以下の実施が事業主の義務となります。)

1 所定外労働の制限(残業免除)の対象の拡大
 対象が、3歳に満たない子から小学校就学前の子へ

2 子の看護休暇の見直し
(1) 名称が「子の看護休暇」から「子の看護等休暇」へ
(2) 対象が、小学校就学前の子から小学校3年生終了までに延長
(3) 取得事由が現行の ①病気・けが ②予防接種・健康診断に加えて、③感染症に伴う学級閉鎖等 ④入園(入学)式・卒園式を追加
(4) 労使協定の締結により除外できる労働者のうち、引き続き雇用された期間が6か月未満を撤廃

3 短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にテレワーク追加
 
現行の ①育児休業に関する制度に準ずる措置 ②始業時刻の変更等に加えて、③テレワークを追加

4 育児休業取得状況の公表義務を300人超の企業に拡大

□ 介護休業(以下の実施が事業主の義務となります。)

1 介護休暇を取得できる労働者の要件緩和
 労使協定の締結により除外できる労働者のうち、引き続き雇用された期間が6か月未満を撤廃

2 介護離職防止のための雇用環境整備
 介護休業や介護両立支援制度等の申出が円滑に行われるようにするため、事業主は以下①~④のいずれかの 措置を講じなければならない。
① 介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施
② 介護休業・介護両立支援制度等に関する相談体制の整備(相談窓口設置)
③ 自社の労働者の介護休業取得・介護両立支援制度等の利用の事例の収集・提供
④ 自社の労働者へ介護休業・介護両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知

3 介護離職防止のための個別の周知・意向確認等
(1) 介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認を行うこと
 介護に直面した旨の申出をした労働者に対して、事業主は介護休業制度等に関する以下の事項の周知と介護休業の取得・介護両立支援制度等の利用の意向の確認を、個別に行わなければならない。
周知事項:①介護休業に関する制度、介護両立支援制度等(制度の内容) ②介護休業・介護両立支援制度等の申出先(例:人事部など) ③介護休業給付金に関すること
個別周知・意向確認の方法:①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等のいずれか(①はオンライン面談も可能。③④は労働者が希望した場合のみ)
(詳細および記載例)改正内容の解説P8参照

(2) 介護に直面する前の早い段階(40歳等)での情報提供を行うこと
 労働者が介護に直面する前の早い段階で、介護休業や介護両立支援制度等の理解と関心を深めるため、事業主は介護休業制度等に関する以下の事項について情報提供しなければならない。
情報提供期間:① 労働者が40歳に達する日(誕生日前日)の属する年度(1年間) ② 労働者が40歳に達する日の翌日(誕生日)から1年間のいずれか
情報提供事項:①介護休業に関する制度、介護両立支援制度等(制度の内容) ②介護休業・介護両立支援制度等の申出先(例:人事部など) ③介護休業給付金に関すること
情報提供の方法:①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等のいずれか(①はオンライン面談も可能。③④は労働者が希望した場合のみ)
(詳細および記載例)改正内容の解説P15参照 

(参考)仕事と介護の両立支援~両立に向けての具体的ツール~

○ 2025年10月改正
 
□ 育児休業(以下の実施が事業主の義務となります。)
 
1 柔軟な働き方を実現するための措置等
(1) 育児期の柔軟な働き方を実現するための措置
・ 事業主は、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に関して、以下の①~⑤から2つ以上の措置を選択して講ずる必要がある。
・労働者は、事業主が講じた措置の中から1つを選択して利用することができる。  
・事業主が講ずる措置を選択する際、過半数組合等からの意見聴取の機会を設ける必要がある。 
① 始業時刻等の変更
② テレワーク等(10日以上/月)
③ 保育施設の設置運営等
④ 就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇 (養育両立支援休暇)の付与(10日以上/年)
⑤ 短時間勤務制度

(2) 柔軟な働き方を実現するための措置の個別の周知・意向確認
 3歳未満の子を養育する労働者に対して、子が3歳になるまでの適切な時期に、事業主は柔軟な働き方を実現 するための措置として(1)で選択した制度(対象措置)に関する以下の事項の周知と制度利用の意向の確認を、 個別に行わなければならない。
周知時期:労働者の子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間 (1歳11か月に達する日の翌々日から2歳11か月に達する日の翌日まで)
周知事項:①事業主が(1)で選択した対象措置(2つ以上)の内容、②対象措置の申出先(例:人事部など)、③所定外労働(残業免除)・時間外労働・深夜業の制限に関する制度
個別周知・意向確認の方法:①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等のいずれか(①はオンライン面談も可能。③④は労働者が希望した場合のみ)

2 仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮
(1) 妊娠・出産等の申出時と子が3歳になる前の個別の意向聴取
 事業主は、労働者が本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た時と、労働者の子が3歳になるまでの適切な時期に、子や各家庭の事情に応じた仕事と育児の両立に関する以下の事項について、労働者の意向を個別に 聴取しなければならない。
意向聴取の時期:①労働者が本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出たとき、②労働者の子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間 (1歳11か月に達する日の翌々日から2歳11か月に達する日の翌日まで)
聴取内容:①勤務時間帯(始業および終業の時刻) ②勤務地(就業の場所) ③両立支援制度等の利用期間 ④仕事と育児の両立に資する就業の条件(業務量、労働条件の見直し等)
意向聴取の方法:①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等のいずれか(①はオンライン面談も可能。③④は労働者が希望した場合のみ)

(2) 聴取した労働者の意向についての配慮
 事業主は、(1)により聴取した労働者の仕事と育児の両立に関する意向について、自社の状況に応じて配慮 しなければならない。
 
(参考)育児・介護休業法について育児介護休業法のあらまし
Q&A

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 2025年4月改正、子ども子育て支援法

 「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律」2025年6月7日に成立しました。改正の概要は「こども家庭庁のHP」に記載のとおりですが、併せて、育児休業給付等について以下の見直しが行われました。

○ 2025年4月1日施行
1 育児休業給付の給付率引上げ
 子の出生直後(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に、被保険者とその配偶者 の両方が14日以上の育児休業を取得する場合に、最大28日間、休業開始前賃金の13%相当額を給付し、育児休業給付とあわせて給付率80%(手取りで10割相当)へと引き上げる。
2 育児時短就業給付の創設
 被保険者が2歳未満の子を養育するために、時短勤務をしている場合の新たな給付として育児時短就業給付を創設。給付率については、時短勤務中に支払われた賃金額の10%とする

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 育児休業とは何か

 育児休業とは、労働者が子を養育するため、雇用関係を継続したまま一定期間就労義務を免除され休業することをいいます。育児・介護休業法による育児休業は、(1)1歳(パパ・ママ育休プラスは1歳2か月)までの育児休業、(2)保育所に入所できないなどの特別な理由がある場合の、1歳6か月までおよび2歳までの育児休業、(3)産後パパ育休(出生時育児休業)があります。

□ 育児休業できる労働者
(1) 育児休業は男女の区別なく取得できます。
(2) 労働者であれば管理職でも取得できます。
(3) 有期契約労働者については、子が1歳6か月(2歳までの育児休業の申出にあっては2歳)を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと
(4) 育児休業が適用されない労働者もいる

□ 子の範囲
 実子、養子(特別養子縁組の監護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子を含む。)

□ 育児休業できる期間
(1) 女性の場合は労働基準法による産後休業が認められていますので、育児休業はその後の希望する日から、男性の場合は子が出生した日から直ちに育児休業を取得できます。
(2) 原則、養育している子が1歳になった日の前日(具体的には1歳の誕生日の前々日。民法の規定上、誕生日の前日をもって満年齢に達したとみなされるため)までです。ただし、子が1歳になる前に職場復帰した場合は復帰日の前日までです。

□ 1歳6か月までの育児休業を取得できる要件
 
育児休業を1歳6か月まで延長が認められる場合がある

□ 育児休業を1歳6か月まで延長後に更に2歳まで延長できる要件
 
育児休業を1歳6か月まで延長後に更に2歳まで延長できる場合もある

□ 産後パパ育休(出生時育児休業)
 産後パパ育休(出生時育児休業)とは何か 


□ 育児休業の申出
 育児休業を行う場合には、原則として育児休業開始予定日の1か月前(1歳6か月までおよび2歳までの育児休業と産後パパ育休(出生時育児休業)の場合は2週間前)までに、書面により事業主に申出しなければなりません。なお、申出は1人の子に対して原則として2回に限られます。ただし、産後パパ育休(出生時育児休業)は、育児休業とは別に取得できます。

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 育児休業制度の種類

□ 育児休業
 前項参照

□ 子の看護休暇
 子の看護休暇制度とは何か

□ 所定労働時間の制限
1 内容
 3歳に満たない子を養育する労働者が請求した場合に「所定労働時間を超えて労働させてはならない」とする制度
2  対象労働者
 3歳に満たない子を養育する労働者(日雇労働者を除く。男女の区別はない。)
3 適用除外者
 労使協定で適用除外とされた者
4 申出
 1回につき、1月以上1年以内の期間について、原則として制限開始予定日の1か月前までに、書面により事業主に申出なければならない。なお、時間労働の制限とは重複できない。

□ 時間外労働の制限
1 内容
 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が請求した場合に「1か月24時間、1年150時間を超えて時間外労働をさせてはならない」とする制度
2  対象労働者
 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者(日雇労働者を除く。男女の区別はない。)
3 適用除外者
(1) 雇用期間が1年未満の者
(2) 週の所定労働日数が2日以下の者
4 申出
 1回につき、1月以上1年以内の期間について、原則として制限開始予定日の1か月前までに、書面により事業主に申出なければならない。なお、所定外労働の制限とは重複できない。

□ 深夜業の制限
1 内容
 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が請求した場合に「午後10時から午前1時までの深夜労働をさせてはならない」とする制度
2  対象労働者
 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者(日雇労働者を除く。男女の区別はない。)
3 適用除外者
(1) 雇用期間が1年未満の者
(2) 深夜に保育できる次のいずれにも該当する16歳以上の同居の家族がいる者
 ・深夜に就業していない(深夜における就業日数が1月について1日以下の場合を含む)
 ・傷病、心身の障害により子の保育が困難な状態でない
 ・6週間(多胎妊娠は14週間)以内に出産予定であるか、産後8週間を経過しない者でない
(3) 週の所定労働日数が2日以下の者
(4) 所定労働時間の全てが深夜にある者
4 申出
 1回につき、1月以上6か月以内の期間について、原則として制限開始予定日の1か月前までに、書面により事業主に申出なければならない。

□ 育児短時間勤務
1 内容
 3歳に満たない子を養育する労働者で育児休業をしていない者が申出することにより「1日の所定労働時間を原則として6時間」とする制度
2  対象労働者
 3歳に満たない子を養育する労働者(日雇労働者を除く。男女の区別はない。)
3 適用除外者
(1) 労使協定で適用除外とされた者
(2) 1日の所定労働時間が6時間以下である者
4 申出
 1回につき、1月以上1年以内の期間について、原則として短縮開始予定日の1か月前までに、書面により事業主に申出なければならない。

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 育児休業が適用されない労働者もいる

 育児休業制度については、(1)法の規定により適用除外とされる労働者、(2)労使協定を締結することにより育児休業等の申出を拒むことができる労働者、があります。ただし、いずれの場合も日雇労働者は対象となりません。

□ 育児休業
■ 法の規定により適用除外とされる労働者
(1) 子が1歳6か月(2歳までの育児休業の申出にあっては2歳)を経過するまでに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかな有期契約労働者
■ 労使協定を締結することにより申出を拒むことができる労働者
(1) 雇用期間が1年未満の労働者
(2) 申出の日から1年(1歳を超える休業の申出にあっては6か月)以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
(3) 週の所定労働日数が2日以下の労働者

□ 出生時育児休業
■ 法の規定により適用除外とされる労働者 
 申出時点において、子の出生日または出産予定日のいずれか遅い方から起算して8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかな有期契約労働者
■ 労使協定を締結することにより申出を拒むことができる労働者
(1) 雇用期間が1年未満の労働者
(2) 申出の日から8週間以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
(3) 週の所定労働日数が2日以下の労働者
 
□ 子の看護休暇
■ 法の規定により適用除外とされる労働者
 なし。
■ 労使協定を締結することにより申出を拒むことができる労働者
(1) 週の所定労働日数が2日以下の労働者

□ 所定外労働の制限
■ 法の規定により適用除外とされる労働者
 なし
■ 労使協定を締結することにより申出を拒むことができる労働者
(1) 入社1年未満の労働者
(2) 週の所定労働日数が2日以下の労働者

□ 時間外労働の制限
■ 法の規定により適用除外とされる労働者
(1) 入社1年未満の労働者
(2) 週の所定労働日数が2日以下の労働者
■ 労使協定を締結することにより申出を拒むことができる労働者
 なし

□ 深夜業の制限
■ 法の規定により適用除外とされる労働者
(1) 入社1年未満の労働者
(2) 請求に係る家族の16歳以上の同居の家族が次のいずれにも該当する労働者
 イ 深夜において就業していない(1か月について深夜における就業が3日以下の者を含む。)
 ロ 心身の状況が請求に係る子の保育又は家族の介護をすることができる
 ハ 6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14 週間)以内に出産予定でなく、かつ産後8週間以内でない
(3) 週の所定労働日数が2日以下の労働者
(4) 所定労働時間の全てが深夜にある労働者
■ 労使協定を締結することにより申出を拒むことができる労働者
 なし

□ 育児短時間勤務
■ 法の規定により適用除外とされる労働者
(1) 1日の所定労働時間が6時間以下である労働者
■ 労使協定を締結することにより申出を拒むことができる労働者
(1) 入社1年未満の労働者
(2) 週の所定労働日数が2日以下の労働者
(3) 業務の性質または業務の実施体制に照らして所定労働時間の短縮措置を講じることが困難と認められる業務として別に定める業務に従事する労働者
 ただし、(3)について労使協定により適用除外とする場合は、その「代替措置」が必要となります。
(参考Q&A)育児短時間勤務の代替措置とは何か 

□ 柔軟な働き方を実現するための措置(2025年10月施行)
■ 法の規定により適用除外とされる労働者
 なし
■ 労使協定を締結することにより申出を拒むことができる労働者
(1) 入社1年未満の労働者
(2) 週の所定労働日数が2日以下の労働者 

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 育児休業を2歳まで延長が認められる場合がある

 育児休業の期間は、子が出生した日から1歳までが原則ですが、子が1歳6か月に達するまで&更に2歳まで延長できる場合があります。

□ 子が1歳6か月に達するまで育児休業が認められる場合
(1) 本人または配偶者が、子の1歳到達日に育児休業をしていること
(2) 次のいずれかの事情があること
ア 育児休業の申出に係る子について、保育所における保育の実施を希望し、申込を行っているが、その子が1歳に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合
イ 常態として育児休業の申出に係る子の養育を行っている配偶者であって、その子が1歳に達する日後の期間について常態としてその子の養育を行う予定であった者が以下のいずれかに該当した場合
 a 死亡したとき
 b 負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により育児休業の申出に係る子を養育することが困難な状態になったとき
 c 婚約の解消その他の事情により配偶者が育児休業に係る子と同居しないこととなったとき
 d 6週間(多胎妊娠の場合にあたっては14週間)以内に出産する予定であるか又は産後8週間を経過しないとき

□ 1歳6か月まで延長後に更に2歳まで延長が認められる場合
(1) 延長できる理由(次のいずれかの事情があること)
 ① 育児休業の申出に係る子について、保育所等(無認可施設は除く)における保育の利用を希望し、申込みを行っているが、その子が1歳6か月に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合
 ② 上記、(2)イと同様
(2) 子が1歳に達する日の翌日において該当した延長理由に関わらず、改めて確認書類の提出が必要になります。 

□ 育児休業給付金の延長申請(会社がハローワークへ)
(1) 最後の育児休業給付金支給申請の際に、育児休業給付金支給申請書の「17 支給対象となる期間の延長事由-期間」欄に延長事由および延長する期間を記入し提出します。

(2) 添付書類
 前々項(2)アの場合…市町村が発行した保育所の入所不承諾の通知書など当面保育所において保育が行われない事実を証明することができる書類
 同(2)イa,cの場合…世帯全員について記載された住民票の写しおよび母子健康手帳
 同(2)イbの場合…保育を予定していた配偶者の状態についての医師の診断書等
 同(2)イdの場合…母子健康手帳
○  2022年10月施行 
 一定の条件のもと、期間の途中でも夫婦交替での育児休業の取得が可能など、1歳以降の延長についての開始日が柔軟化されました。
(詳細)厚労省のリーフレット(支給申請書の記載例あり)

□ 社会保険料の免除申請(会社が事務センターへ)
 延長前の育児休業期間中に、事務センター宛に「健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者申出書(延長)」により、社会保険料の免除延長申請をします。
(申請書ダウンロード)年金機構のサイト

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 保育所等に入れなかったことを理由とする育児休業給付金の支給対象期間延長手続が厳格に

□ 2025年4月改正
○ 育児休業給付金の支給対象期間延長要件
(1) あらかじめ市区町村に対して保育利用の申し込みを行っていること
(2) 速やかな職場復帰のために保育所等における保育の利用を希望しているもので あると公共職業安定所長が認めること(1~3すべてを満たす必要あり)
① 原則として子が1歳に達する日の翌日以前の日を入所希望日として入所申し込みをしていること
② 申し込んだ保育所等が、合理的な理由なく自宅から通所に片道30分以上要する施設のみとなっていないこと
③ 市区町村に対する保育利用の申し込みに当たり、入所保留となることを希望する旨の意思表示をしていないこと
(3) 子が1歳に達する日の翌日時点で保育所等の利用ができる見込みがないこと

(詳細)厚労省のリーフレット


● 育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書 (手書用
(添付書類)
・市区町村に保育所等の利用申し込みを行ったときの申込書の写し
・市区町村が発行する保育所等の利用ができない旨の通知(入所保留通知書、 入所不承諾通知書など)

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 パパ・ママ育休プラスとは何か

 育児休業の期間は、子が出生した日から1歳に達する日までですが、パパ・ママ育休プラスとは、父親と母親が共に育児休業を取得する場合は、1歳2か月まで延長されるという制度です。

□ 制度の概要
(1) 両親ともに育児休業する場合で、次のいずれにも該当する場合には、育児休業の対象となる子の年齢が、原則1歳に満たない子から原則1歳2か月に満たない子に延長されます。
ア 育児休業を取得しようとする母が、子の1歳に達する日(1歳の誕生日の前日)以前において育児休業をしていること
イ 母の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること
ウ 母の育児休業開始予定日が、父がしている育児休業の初日以降であること
(2) 育児休業が取得できる期間(女性の場合は、出生日以後の産前・産後休業期間含む。)は1年間が限度です。

□ ポイント
(1) パパ・ママ育休プラスにより育児休業を延長したとしても、本人が育児休業を1年2か月取得できるということではなく、本人の育児休業の期間は1年が限度です。要約すれば、パパ・ママの育児休業開始日をずらすことにより、子が1歳2か月になるまで育児休業期間を延ばせるという制度です。、具体的には、厚労省の「パパ・ママ育休プラスの場合の具体例」を見ると分かりやすいと思います。
(2) 両親の育児休業期間が重複することも可能です。
(3) 両親の育児休業期間が連続していることを要件としていません。
(4) 婚姻の届出をしていない事実婚の場合でも、パパ・ママ育休プラスを利用できます。
(5) パパ・ママ育休プラス期間においても、育児休業給付金を受給できます。

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 産後パパ育休(出生時育児休業)とは何か

○ 2022年10月創設
 パパ休暇に代わるべきものとして創設された制度で、母の産後休業期間中等に、父が育児休業とは別に取得できる制度です。

(1) 対象期間、取得可能日数:子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能
(2) 申出期限:原則休業の2週間前まで
(3) 分割取得:分割して2回取得可能 (初めにまとめて申し出ることが必要)
(4) 休業中の就業:労使協定を締結している場合は労働者が合意した範囲で休業中に就業することが可能です。
(就業可能日等の上限あり)
・休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分
・休業開始・終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満
(5) 産後パパ育休も育児休業給付(出生時育児休業給付金)の対象です。休業中に就業日がある場合は、就業日数 が最大10日(10日を超える場合は就業している時間数が80時間)以下である場合に、給付の対象となります。

(詳細)厚労省のサイト

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 子の看護休暇制度とは何か

 小学校就学前の子を養育する労働者は、申し出ることにより、子が1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日まで、病気・ケガをした子の看護のため、または子に予防接種や健康診断を受けさせるために「子の看護休暇」を取得できます。

□ 子の看護休暇制度のポイント
(1) 労働者からの申出は口頭でもかまいません。
(2) 事業主は子が病気・ケガをしたこと等についての証明を労働者に求めることができますが、労働者が証明書の提出を拒んだからといって、看護休暇を与えないことはできません。また、業務の繁忙等を理由としての看護休暇の申出も拒否できないとされます。
(3) 子の看護休暇を有給とするか無給とするかは事業主の任意です。
(4) 時間単位の取得も可能です。
【注】子の看護休暇制度については、入社6か月未満の労働者および週の所定労働日数が2日以下の労働者については、労使協定の締結により対象外とすることができます。

■ 時間単位の取得について
(詳細)厚労省のリーフレット

【解説】子の看護休暇は、負傷や疾病にかかった子の世話や疾病の予防を図るために必要な世話を行う労働者に対し与えられる休暇であり、年次有給休暇とは別に与える必要があります。「疾病の予防を図るために必要な世話」とは、子に予防接種や健康診断を受けさせることをいい、予防接種には予防接種法に定める定期の予防接種以外のもの(インフルエンザ予防接種など)も含まれます。
 なお、子の看護休暇を有給とするか無給とするかは事業主の任意です。また時間単位の取得も可能です。具体的な取扱いは、厚労省の「 Q&A」をご覧ください。

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 育児短時間勤務の代替措置とは何か

 育児・介護休業法では、3歳に満たない子を養育する労働者の申出により、1日の所定労働時間を原則として6時間とする短時間勤務制度を設けなりません(1時間の所定労働時間が6時間以下の従業員を除く)。が、短時間勤務制度を講ずることが困難な業務に従事する労働者については、労使協定により次のいずれかの措置を講じなければならないとしています。
(1) 育児休業に関する制度に準ずる措置
(2) フレックスタイム制度
(3) 始業・終業時刻の繰上げ、繰下げ(時差出勤の制度)
(4) 労働者の3歳に満たない子に係る保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与

□ 業務の性質又は実施体制に照らして短時間勤務制度を講ずることが困難な業務とは(例示)
(1) 業務の性質に照らして、制度の対象とすることが困難と認められる業務
 →国際路線等に就航する航空機において従事する客室乗務員等の業務
(2) 業務の実施体制に照らして、制度の対象とすることが困難と認められる業務
 →労働者数が少ない事業所において、当該業務に従事しうる労働者数が著しく少ない業務
(3) 業務の性質及び実施体制に照らして、制度の対象とすることが困難と認められる業務
 ・流れ作業方式による製造業務であって、短時間勤務の者を勤務体制に組み込むことが困難な業務
 ・交替制勤務による製造業務であって、短時間勤務の者を勤務体制に組み込むことが困難な業務
 ・個人ごとに担当する企業、地域等が厳密に分担されていて、他の労働者では代替が困難な営業業務

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 育休取得に向けた雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化とは

□ 2022年4月施行
(1) 育児休業を取得しやすい雇用環境の整備
 育児休業と産後パパ育休の申出が円滑に行われるようにするため、事業主は以下のいずれかの措置を講じなければなりません。
① 育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
② 育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)
③ 自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
④ 自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

(2) 妊娠・出産の申出をした労働者(本人または配偶者)に対する個別の周知・意向確認の措置
 本人または配偶者の妊娠・出産等を申出た労働者に対して、事業主は育児休業制度等に関する以下の事項の周知と休業の取得意向の確認を、①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等のいずれかの方法により個別に行わなければなりません。
① 育児休業・産後パパ育休に関する制度
② 育児休業・産後パパ育休の申出先
③ 育児休業給付に関すること
④ 労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取扱い

(参考)個別周知・意向確認書記載例意向確認ガイドブック

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 育児休業の申出から復帰までの事務手続の流れ

1 健康保険・厚生年金保険育児休業取得者申出書(新規・延長)…事業主が事務センターへ
(1) 従業員から育児休業の申出を受けた事業主が日本年金機構に申出を行います。
(2) 申出により、健康保険・厚生年金保険料が被保険者・事業主とも、育児休業等開始月から終了予定日の翌日の属する月の前月(育児休業終了日が月の末日の場合は育児休業終了月)まで免除されます。なお、育児休業等開始日が含まれる月に14日以上育児休業等を取得した場合も免除となります。
 また、賞与・期末手当等にかかる保険料についても免除されますが、当該賞与月の末日を含んだ連続した1か月を超える育児休業等を取得した場合に限り免除の対象となります。
(詳細)年金機構のサイト
(参考)令和4年10月から育児休業等期間中における社会保険料の免除要件が改正されます

2 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書&育児休業給付受給資格確認票/(初回)育児休業給付金支給申請書…本人がハローワークへ(本人の同意書を添付し、事業主が届け出ることも可)
(1) 通常は、育児休業を開始し2か月を経過後(休業開始日から4か月を経過する日の属する月の末日まで)に申請します。
(2) 従業員のマイナンバーが必要です。
(詳細)厚労省のリーフレット(様式)ハローワークのサイト
記載内容に関する確認書 申請等に関する同意書 (育児休業給付・出生後休業支援給付用)

(参考)平成30年10月1日から、雇用継続給付の手続を事業主等が行う場合、同意書によって被保険者記名を省略できます同意書の記載例
(参考)1歳以降の延長について、柔軟に育児休業を開始できるようになります
(参考)令和3年9月1日から、育児休業給付に関する被保険者期間の要件を一部変更します
(参考)令和3年8月1日から、育児休業給付金、介護休業給付金、高年齢雇用継続給付金の手続の際、通帳等の写しを原則不要にします  
[参考Q&A]
育児休業を1歳6か月まで延長が認められる場合がある
育児休業を1歳6か月まで延長後に更に2歳まで延長できる場合もある

(出生時育児休業の場合)
(1) 申請書類:雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書/育児休業給付受給資格確認票・出生時育児休業給付金支給申請書…事業主がハローワークへ
(2) 提出期限:子の出生日(出産予定日前に子が出生した場合は当該出産予定日)から8週間を経過する日の翌日から、当該日から2か月を経過する日の属する月の末日まで
(参考Q&A)産後パパ育休(出生時育児休業)とは何か

3 出生後休業給付支援金…本人がハローワークへ(本人の同意書を添付し、事業主が届け出ることも可)
 出生後休業支援給付金の支給申請は、原則として出生時育児休業給付金、または育児休業給付金の支給申請と併せて、同一の支給申請書を用いて行います。
  出生時育児休業給付金、または育児休業給付金の申請後に、出生後休業支援給付金の支給申請を別途行う場合は、出生時育児休業給付金、または育児休業給付金が支給さ れた後に申請します。
(詳細は「2025年4月創設「出生後休業給付支援金」を参照。)

4 育児休業給付金支給申請書…本人がハローワークへ(本人の同意書を添付し、事業主が届け出ることも可)
(1) 2回目以降は初回と異なり申請書のみの提出となります。
(2) 前回受理した通知書の記載された提出期限までに、2か月ごとに申請します。

5 健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者終了届…事業主が事務センターへ
(1) 育児休業取得者申出書により届出た期間とおりに育児休業を終了する場合は、この届出は必要ありませんが、予定より早く休業が終了した場合はこの届出を行います。ただし、職場復帰せずに退職する場合はこの届出は必要なく、資格喪失届のみでOKです。
(2) 保険料免除は、休業が終了する日の属する月の前月分までとなります。
(詳細)年金機構のサイト

6 育児時短就業給付金…事業主がハローワークへ
 Q&A「育児時短就業給付金の支給申請」を参照。

7 健康保険・厚生年金保険育児休業等終了時報酬月額変更届…事業主が事務センターへ
(1) 育児休業終了日の翌日の属する月から3か月間に受けた報酬が、1等級以上の差が生じた場合に届出ます。
(2) 育児休業終了日の翌日の属する月から起算して4か月目から、標準報酬月額が改定されます。
(3) 被保険者本人以外の事業主等が電子申請を行う場合は「事業主を代理とする旨の委任状」の添付
又は電子申請様式内の「届出意思の確認」欄にチェックした場合は、申請者の電子署名の添付を省略することができます。
(詳細)年金機構のサイト

7 厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届…事業主が事務センターへ
(1) 3歳未満の子を養育する被保険者が、賃金の減少により標準報酬月額が下がった場合に被保険者の申出により提出します。
(2) 子が3歳に達した場合または退職して厚生年金保険の被保険者でなくなった場合は終了届の必要はありませんが、3歳未満の子を養育しなくなったとき又は3歳未満の子が死亡したときは終了届が必要となります。
(詳細)年金機構のサイト
(参考Q&A)遡及した届出等における添付書類の廃止&被保険者本人の署名・押印等の省略について
 
(参考Q&A)働いている女性(健康保険の被保険者)が出産したときの手続

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 2025年4月創設「出生後休業支援給付金」

○ 2025年4月1日創設
 子の出生直後の一定期間に、14日以上の育児休業を取得した場合に、両親ともに(配偶者が就労していない場合などは本人が)出生時育児休業給付金または育児休業給付金と併せて「出生後休業支援給付金」を最大28日間支給します。これにより、育児休業給付とあわせて給付率80%(手取りで10割相当)の受給が可能となります。

1 支給要件
(1) 被保険者が、対象期間に、同一の子について、出生時育児休業給付金が支給される産後パパ 育休、または育児休業給付金が支給される育児休業を通算して14日以上取得したこと
(2) 被保険者の配偶者が「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から「子の出生日、または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日」までの期間に通算して14 日以上の育児休業を取得したこと、または子の出生日の翌日において「配偶者の育児休業を 要件としない場合」に該当していること
【注】対象期間とは
• 被保険者が産後休業をしていない場合(被保険者が父親、または子が養子の場合)は「子の出生日、または出産予定日のうち早い日」 から「子の出生日、または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日」までの期間
• 被保険者が産後休業をした場合(被保険者が母親、かつ子が養子でない場合)は「子の出生日、または出産予定日のうち早い日」 から「子の出生日、または出産予定日のうち遅い日から起算して16週間を経過する日の翌日」までの期間

2 支給額
 支給額=休業開始時賃金日額×休業期間の日数(28日が上限)×13%

3 配偶者の育児休業を要件としない場合
(1) 配偶者がいない
(2) 配偶者が被保険者の子と法律上の親子関係がない
(3) 被保険者が配偶者から暴力を受け別居中
(4) 配偶者が無業者
(5) 配偶者が自営業者やフリーランスなど雇用される労働者でない
(6) 配偶者が産後休業中
(7) 1~6以外の理由で配偶者が育児休業をすることができない 
出生後休業支援給付金において配偶者の育児休業を要件としない場合の添付書類

4  支給申請手続
(参考)厚労省のサイト

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 育児時短就業給付金の支給申請

○ 2025年4月1日創設
 育児時短就業給付金は、2歳に満たない子を養育するために所定労働時間を短縮して就業した場合に、賃金が低下するなど一定の要件を満たしたときに支給される給付金です。

1 受給資格
(1) 2歳未満の子を養育するために、1週間当たりの所定労働時間を短縮して就業する被保険者であること
(2) 育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き、同一の子について育児時短就業を開始したこと(育児休業を終了した日と育児時短就業を開始した日の間が14日以内の場合も、引き続きとみなします。)、または、育児時短就業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は、賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上ある)完全月が12か月あること
【注】育児時短就業給付金の対象とならないケース
(1) 月の途中で離職し、被保険者資格を喪失した場合
(2) 週所定労働時間20時間未満の労働条件で転職した場合

2 支給対象期間
 原則として、育児時短就業に係る子が2歳に達する日の前日までが支給対象月となります。

3 支給額
 育児時短就業中の各月に支払われた賃金額×10%
 ただし、支給額と各月に支払われた賃金額の合計が、育児時短就業開始時の賃金額を超えないように、 支給率を調整します。

4 支給申請手続(事業主が、ハローワークへ)
(1) 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書・所定労働時間短縮開始時賃金証明書
 育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き、同一の子について育児時短就業を開始した場合(育児休業を終了した日と育児時短就業を開始した日の間が14日以内の場合を含む。)は届け出不要です。
(2) 育児時短就業給付受給資格確認票・(初回)育児時短就業給付金支給申請書
【提出期間】
 
最初の支給対象月(育児時短就業開始日の属する月)の初日から起算して4か月以内に、原則として2つの支給対象月について2か月ごとに行います。
【添付書類】
① 賃金台帳、出勤簿、タイムカード、労働条件通知書、育児短時間勤務申出書、育児短時間勤務取扱通知書、就業規則など育児時短就業を開始した日、賃金の額と支払状況、週所定労働時間を確認できるもの
② 母子健康手帳(出生届出済証明のページと分娩予定日が記載されたページ)、住民票、医師の診断書(分娩(出産)予定日証明書)など育児の事実、出産予定日および出生日を確認できるもの(写し可)
③  記載内容に関する確認書 申請等に関する同意書 (育児時短就業給付用)

5 2回目以降の支給申請(事業主が、ハローワークへ)
 育児時短就業給付金支給申請書
【添付書類】4の添付書類①③を添付。ただし、従前の支給対象月から、育児時短就業中の週所定労働時間の変更が無い場合は、育児時短就業中の週所定労働時間を確認できるものの提出は不要です。

(詳細)育児時短就業給付の内容と支給申請手続
(参考)厚労省のサイト転職先の事業所で育児時短就業給付金の支給を再開する場合の留意点をお示しします

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 育児休業期間中の就労について

 育児休業制度においては、育児休業期間中の就労は想定していないとしていますが、労使の話合いにより一時的に・臨時的に就労することは可能としています。

□ ポイント
(1) 使用者と労働者がの合意が前提で、事業主の一方的な指示により就労させることはできない。
(2) 就労が月10日(10日を超える場合は80時間)以下であれば、育児休業給付金が支給される。
(3) 恒常的・定期的に就労させる場合は、育児休業をしていることにはならない。

(詳細)厚労省のリーフレット

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 傷病手当金と育児休業給付金は併給できるか

 健康保険の傷病手当金と雇用保険の育児休業給付金については、併給調整の規定はありませんので併給可能です。

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 育児短時間勤務と労働基準法の育児時間との併用もできる

 育児介護休業法の育児短時間勤務と労働基準法の育児時間は異なる制度のため、併用は可能です。

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 介護休業とは何か

 介護休業とは、負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態にある対象家族を介護するためにする休業をいいます。

□ 介護休業できる労働者
(1) 介護休業できるのは、要介護状態にある対象家族を介護する労働者です。
(2) 有期契約労働者については、申出時点において、取得予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までの間に、労働契約の期間が満了することが明らかでない場合は、介護休業をすることができます。
(3) 介護休業が適用されない労働者もいる

□ 対象家族の範囲
 配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫および配偶者の父母です。

□ 常時介護を必要とする状態に関する判断基準
(詳細)厚労省のサイト

□ 介護休業できる期間
 申出ることのできる休業は連続したひとまとまりの期間の休業で、対象家族1人につき3回まで、かつ通算して93日までです。

□ 介護休業の申出
 介護休業を行う場合には、介護休業を開始しようとする日の2週間前までに「介護休業申出書」を事業主に提出しなければなりません。

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 介護休業制度の種類

□ 介護休業
 前項参照

□ 介護休暇
 介護休暇とは何か

□ 所定外労働の制限
1 内容
 要介護状態にある家族を介護する労働者が当該家族を介護するために請求した場合に「所定労働時間を超えて労働させてはならない」とする制度
2  対象労働者
 要介護状態にある家族を介護する労働者(日雇労働者を除く。)
3 適用除外者
 労使協定で適用除外とされた者
4 申出
 1回につき、1月以上1年以内の期間について、原則として制限開始予定日の1か月前までに、書面により事業主に申出なければならない。なお、時間労働の制限とは重複できない。

□ 時間外労働の制限
1 内容
 要介護状態にある家族を介護する労働者が当該家族を介護するために請求した場合に「1か月24時間、1年150時間を超えて時間外労働をさせてはならない」とする制度
2  対象労働者
 要介護状態にある家族を介護する労働者(日雇労働者を除く。)
3 適用除外者 
(1) 雇用期間が1年未満の者
(2) 週の所定労働日数が2日以下の者
4 申出
 1回につき、1月以上1年以内の期間について、原則として制限開始予定日の1か月前までに、書面により事業主に申出なければならない。なお、所定外労働の制限とは重複できない。

□ 深夜業の制限
1 内容
 要介護状態にある家族を介護する労働者が当該家族を介護するために請求した場合に「午後10時から午前5時までの深夜労働をさせてはならない」とする制度
2  対象労働者
 要介護状態にある家族を介護する労働者(日雇労働者を除く。)
3 適用除外者
(1) 入社1年未満の従業員
(2) 請求に係る家族の16歳以上の同居の家族が次のいずれにも該当する従業員
イ 深夜において就業していない(1か月について深夜における就業が3日以下の者を含む。)
ロ 心身の状況が請求に係る家族の介護をすることができる
ハ 6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産予定でなく、かつ産後8週間以内でない
(3) 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
(4) 所定労働時間の全部が深夜にある従業員
4 申出
 1回につき、1月以上6か月以内の期間について、原則として制限開始予定日の1か月前までに、書面により事業主に申出なければならない。

□ 介護短時間勤務
1 内容
 事業主は、(1)短時間勤務の制度、(2)フレックスタイム制、(3)始業・終業時刻の繰上げ・ 繰下げ、(4)労働者が利用する介護サービスの費用の助成その他これに準ずる制度のうちのいずれかを講じなければならないという制度。 介護休業とは別に対象家族1人につき、利用開始の日から連続する3年以上の期間で2回以上利用((4)を除く。)できる措置としなければなりません。
2 対象労働者
 要介護状態にある家族を介護する労働者(日雇労働者を除く。)
3 適用除外者
 労使協定で適用除外とされた者
4 申出
 1回につき、1月以上1年以内の期間について、原則として短縮開始予定日の2週間前までに、書面により事業主に申出なければならない。

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 介護休業が適用されない労働者もいる

 介護休業制度については、(1)法の規定により適用除外とされる労働者、(2)労使協定を締結することにより介護休業等の申出を拒むことができる労働者、があります。
【注】いずれの場合も、日雇労働者は対象となりません。

□ 介護休業
■ 法の規定により適用除外とされる労働者
(1) 申出時点において、介護休業開始予定日から93日を経過する日から6か月を経過する日までに労働契約期間が満了し、 更新されないことが明らかな有期契約労働者
■ 労使協定を締結することにより申出を拒むことができる労働者
(1) 雇用期間が1年未満の労働者
(2) 申出の日から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
(3) 週の所定労働日数が2日以下の労働者

□ 介護休暇
■ 法の規定により適用除外とされる労働者
 なし。
■ 労使協定を締結することにより申出を拒むことができる労働者
(1) 週の所定労働日数が2日以下の労働者 

□ 所定外労働の制限
■ 法の規定により適用除外とされる労働者
 なし
■ 労使協定を締結することにより申出を拒むことができる労働者
(1) 入社1年未満の労働者
(2) 週の所定労働日数が2日以下の労働者

□ 時間外労働の制限
■ 法の規定により適用除外とされる労働者
(1) 入社1年未満の労働者
(2) 週の所定労働日数が2日以下の労働者
■ 労使協定を締結することにより申出を拒むことができる労働者
 なし

□ 深夜業の制限
■ 法の規定により適用除外とされる労働者
(1) 入社1年未満の労働者
(2) 請求に係る家族の16歳以上の同居の家族が次のいずれにも該当する労働者
 イ 深夜において就業していない(1か月について深夜における就業が3日以下の者を含む。)
 ロ 心身の状況が請求に係る子の保育又は家族の介護をすることができる
 ハ 6 週間(多胎妊娠の場合にあっては、14 週間)以内に出産予定でなく、かつ産後 8 週間以内でない
(3) 週の所定労働日数が2日以下の労働者
(4) 所定労働時間の全てが深夜にある労働者
■ 労使協定を締結することにより申出を拒むことができる労働者
 なし

□ 介護短時間勤務
■ 法の規定により適用除外とされる労働者
 なし
■ 労使協定を締結することにより申出を拒むことができる労働者
(1) 入社1年未満の労働者
(2) 週の所定労働日数が2日以下の労働者

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 介護休暇とは何か

 要介護状態にある家族の介護その他の世話を行う労働者が申し出た場合は、対象家族が1人の場合は1年度に5日まで、2人以上の場合は1年度に10日まで、当該世話を行うための休暇を取得させる制度です。

□ 介護休暇制度のポイント
(1) 労働者からの申出は口頭でもかまいません。
(2) 業務の繁忙等を理由としての介護休暇の申出を拒否できません。
(3) 突発的な事態に対応できるよう、休暇取得当日の申出も認められます。
(4) 1年度とは、毎年4月1日から翌年3月31日までとなりますが、事業所の実情にあわせて、1月1日~12月31日のような定めをしても差し支えありません。
(5) 介護休暇の付与日数は、申出時点の要介護状態にある家族の人数で判断されますので、対象となる家族が2人以上いる場合には、家族一人につき5日間までしか取得できないものでは なく、同一の家族について10日間取得することも可能とする必要があります。
(6) 介護休暇は、1日単位又は時間単位で取得することができます。ただし、時間単位での取得が困難と認められる業務に従事する労働者として労使協定の締結により除外された者については、時間単位での取得はできません。
(7) 始業の時刻から連続せず、かつ終業の時刻まで連続しない時間単位での休暇の取得(中抜け)も認められます。
(8) 介護休暇を有給とするか無給とするか事業主の任意です。
(9) 要介護状態および対象家族の考え方は介護休業と同じです。

【注】介護休暇制度については、入社6か月未満の労働者および週の所定労働日数が2日以下の労働者については、労使協定の締結により対象外とすることができます。

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 介護離職防止のための雇用環境整備、個別の周知・意向確認の義務化とは

□ 2025年4月施行
1 介護離職防止のための雇用環境整備
 介護休業や介護両立支援制度等の申出が円滑に行われるようにするため、事業主は以下①~④のいずれかの 措置を講じなければならない。
① 介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施
② 介護休業・介護両立支援制度等に関する相談体制の整備(相談窓口設置)
③ 自社の労働者の介護休業取得・介護両立支援制度等の利用の事例の収集・提供
④ 自社の労働者へ介護休業・介護両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知

2 介護離職防止のための個別の周知・意向確認等
(1) 介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認を行うこと
 介護に直面した旨の申出をした労働者に対して、事業主は介護休業制度等に関する以下の事項の周知と介護休業の取得・介護両立支援制度等の利用の意向の確認を、個別に行わなければならない。
周知事項:①介護休業に関する制度、介護両立支援制度等(制度の内容) ②介護休業・介護両立支援制度等の申出先(例:人事部など) ③介護休業給付金に関すること
個別周知・意向確認の方法:①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等のいずれか(①はオンライン面談も可能。③④は労働者が希望した場合のみ)
[個別周知・意向確認の記載例]改正内容の解説P11参照

(2) 介護に直面する前の早い段階(40歳等)での情報提供を行うこと
 労働者が介護に直面する前の早い段階で、介護休業や介護両立支援制度等の理解と関心を深めるため、事業主は介護休業制度等に関する以下の事項について情報提供しなければならない。
情報提供期間:① 労働者が40歳に達する日(誕生日前日)の属する年度(1年間) ② 労働者が40歳に達する日の翌日(誕生日)から1年間のいずれか
情報提供事項:①介護休業に関する制度、介護両立支援制度等(制度の内容) ②介護休業・介護両立支援制度等の申出先(例:人事部など) ③介護休業給付金に関すること
情報提供の方法:①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等のいずれか(①はオンライン面談も可能。③④は労働者が希望した場合のみ)
[40歳情報提供記載例]改正内容の解説P17参照

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 介護休業給付金

 介護休業期間中は、会社は賃金を支給しないケースが一般的ですが、介護休業期間中に一定の要件を満たすと、雇用保険から介護休業給付金の支給を受けることができます。
 介護休業給付金の支給申請は、本人がハローワークへ申請します(本人の同意書を添付し、事業主が届け出ることも可)。
(詳細)ハローワークのサイト
(参考)令和3年8月1日から、育児休業給付金、介護休業給付金、高年齢雇用継続給付金の手続の際、通帳等の写しを原則不要にします

■ 支給額
 原則として休業開始時賃金日額×支給日数×67%

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 常時介護を必要とする状態に関する判断基準

○ 2025年4月改正
常時介護を必要とする状態に関する判断基準

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 育児・介護休業労働者への不利益扱いは禁止される

 育児休業や介護休業および子の看護休業の申出をしたこと又は取得したことを理由として、労働者に対して以下のような取り扱いを行うことは禁止されます。
(1) 解雇すること
(2) 期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと
(3) あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、その回数を引き下げること
(4) 退職または正社員をパートタイム労働者等の非正社員とするような労働契約内容の変更の強要を行うこと
(5) 自宅待機を命ずること
(6) 労働者が希望する期間を超えて、その意に反して所定外労働の制限、時間外労働の制限または所定外労働の短縮措置等を適用すること
(7) 降格させること
(8) 減給し、または賞与等において不利益な評価を行うこと
(9) 不利益な配置の変更を行うこと
(10) 就業環境を害すること

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 育児・介護休業期間は年次有給休暇の出勤率の算定対象期間から除外できない

 年次有給休暇の取得条件として、過去1年間(採用時は6か月間)に「全労働日」の8割以上を出勤することが必要ですが、年次有給休暇の出勤率の算定に当たって、次の休業した期間は出勤したとみなされ、全労働日から除外できないことになっています。
(1) 業務上のケガや病気で療養のために休業した期間
(2) 育児・介護休業法に基づく育児・介護休業をした期間
(3) 産前・産後の休業期間
(4) 年次有給休暇を取得した期間

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 子の看護休暇・介護休暇を年次有給休暇の出勤率算定対象とするか否かは自由

 子の看護休暇・介護休暇を年次有給休暇の出勤率の算定対象期間とするか否かについては、育児・介護休業期間と異なり特に規定されたものはありませんので、子の看護休暇、介護休暇の期間について、年次有給休暇の出勤率の算定に当たっては、欠勤と見なしても差し支えないとされています。

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 育児・介護休業法による休業等で賃金を支給するか否かは会社の自由

 育児介護休業法では、賃金の支給についての規定はありません。
 したがって、育児・介護休業や子の看護休暇・介護休暇を取得した日を無給とすること、所定労働時間の短縮措置により短縮された時間分を減給すること、退職金や賞与の算定に当たり休業をした期間を日割りで算定対象期間から控除するなども問題ありません。これらの支給の有無等については、各企業で決定することになります。
 なお、育児休業・介護休業の場合はハローワークから給付金が支給されますが、賃金が支給されると給付金が支給調整されますので、無給としておく会社が多いようです。

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 管理監督者と育児・介護休業法との関係はどうなっている

 厚生労働省の通達をみると、(1)育児休業に係る所定外労働の制限、(2)育児休業に係る時間外労働の制限、(3)3歳に満たない子を養育する労働者に関する所定労働時間の短縮措置は、何れも管理監督者は対象外であるとしています。以下に、該当の通達文を抜粋しました。
 なお、深夜労働の制限ついては通達に記載がなく、また労働基準法41条においても、深夜労働は労働時間等に関する規定の適用除外としていないことから、管理監督者であっても対象となると思われます。

■ 所定外労働の制限
 「労働者」のうち、労働基準法第41 条に規定する者(①労働基準法別表第1第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者、②監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者、③監視又は断続的労働に従事する者)については、労働時間等に関する規定が適用除外されていることから、所定外労働の制限の対象外であること。
 このうち、労働基準法第41条第2号に定める管理監督者については、同法の解釈として、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきであることとされていること。したがって、職場で「管理職」として取り扱われている者であっても、同号の管理監督者に当たらない場合には、所定外労働の制限の対象となること。

■ 時間外労働の制限
 「労働者」のうち、労働基準法第41条に規定する者(①労働基準法別表第1第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者、②監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者、③監視又は断続的労働に従事する者)については、そもそも労働基準法上の労働時間に関する規定の適用がないため、対象にはなり得ないものであること。
 このうち、労働基準法第41条第2号に定める管理監督者については、同法の解釈として、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきであることとされていること。したがって、職場で「管理職」として取り扱われている者であっても、同号の管理監督者に当たらない場合には、時間外労働の制限の対象となること。

■ 3歳に満たない子を養育する労働者に関する所定労働時間の短縮措置
 「労働者」のうち、労働基準法第41条に規定する者については、労働時間等に関する規定が適用除外されていることから、育児のための所定労働時間の短縮措置の義務の対象外であること。このうち、労働基準法第41条第2号に定める管理監督者については、同法の解釈として、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にあ
る者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきであることとされていること。したがって、職場で「管理職」として取り扱われている者であっても、同号の管理監督者に当たらない場合には、育児のための所定労働時間の短縮措置の義務の対象となること。
 また、同号の管理監督者であっても、法第23条第1項の措置とは別に、同項の育児のための所定労働時間の短縮措置に準じた制度を導入することは可能であり、こうした者の仕事と子育ての両立を図る観点からはむしろ望ましいものであること。

(参考Q&A)労働時間等の適用除外とされる管理監督者の範囲は広くない 

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 パワハラを規制する法律(パワハラ防止法)

 いままで、パワハラを規制する法律は存在しませんでしたが、改正労働施策総合推進法にパワハラ防止措置に関する条文が追加されたことにより、パワハラを規制する法律が令和2年6月1日に施行されました。なお、中小企業は令和4年3月31日までは努力義務となっておましたが、令和4年4月1日以降は全面施行となりました。なお、この改正法は通称で「ハラスメント規制法」「パワハラ防止法」と呼ばれています。

【解説】労働施策総合推進法30条の2では、パワハラにより労働者の就業環境が害されることのないよう、事業主は労働者からの相談に応じ、雇用管理上必要な措置を講じなければならないとするとともに、相談を行ったこと等により不利益な取扱いをしてはならないとしています。改正法の重要条文は、この30条の2第1項および第2項で、具体的な取扱いは第3項に規定する指針によります。指針の具体的内容は、次項のQ&Aをご覧ください。
 30条の3では、パワハラに関し事業主および労働者の責務として努力義務を課しています。
 36条では事業主に必要な報告を求めることができるとし、罰則規定はありませんが、33条による勧告に従わなかった場合は企業名を公表することができるとしています。

●改正労働施策総合推進法(主に、事業主に係る部分を抜粋)
(雇用管理上の措置等)
第30条の2 事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
2 事業主は、労働者が前項の相談を行ったこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
3 厚生労働大臣は、前二項の規定に基づき事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を定めるものとする。(第4項~第6項略)
(国、事業主及び労働者の責務)
第30条の3(第1項略)
2 事業主は、優越的言動問題に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の労働者に対する言動に注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる前項の措置に協力するように努めなければならない。
3 事業主(そのものが法人である場合にあっては、その役員)は、自らも、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、労働者に対する言動に必要な注意を払うよう努めなければならない。
4 労働者は、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うとともに、事業主の講ずる前条第1項の措置に協力するよう努めなければならない。
(助言、指導及び勧告並びに公表)
第33条 厚生労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に対して、助言、指導又は勧告することができる。
2 厚生労働大臣は、第30条の2第1項及び第2項の規定に違反している事業主に対し、前項の規定による勧告をした場合において、しその勧告を受けたものがこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。
(報告の請求)
第36条 厚生労働大臣は、事業主から第30条の2第1項及び第2項の規定の施行に関し必要な事項について報告を求めることができる。

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 2022年4月からのパワハラ防止法の中小企業への拡大により会社が行うべきこと

 大企業のみを対処としていた、パワハラを規制するパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)の施行が、222年4月1日から中小企業にも拡大されました。
 企業が行うべきパワハラ防止対策は、法により「職場におけるハラスメント関係指針 」に委任されており、会社が行わなければならない具体的な事項を指針で記載しています。なお、この法律には罰則規定はありませんが、厚生労働大臣の勧告に従わない場合は企業名公表ができるとされています。
 以下、指針を参照しながらご確認ください。

□ 会社が行うべきこと
1 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
(1) 職場におけるパワーハラスメントの内容及び職場におけるパワーハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
(2) 職場におけるパワハラに係る言動を行った者については、厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
【注】具体的な周知・啓発例は、指針の7ページを参照

2 相談(苦情を含む。以下同じ。)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
 事業主は、労働者からの相談に対し、その内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応するために必要な体制の整備として、次の措置を講じなければならない。
(1) 相談への対応のための相談窓口を定め、労働者に周知すること。
(2) 相談窓口の担当者が、相談に対し、その内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また、相談窓口においては、被害を受けた労働者が萎縮するなどして相談を躊躇する例もあること等も踏まえ、相談者の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止めなどその認識にも配慮しながら、職場におけるパワーハラスメントが現実に生じている場合だけでなく、その発生のおそれがある場合や、職場におけるパワーハラスメントに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応し、適切な対応を行うようにすること。
【注】具体的な体制の整備例は、指針の8ページを参照

3 職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
(1) 事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
(2) (1)により、職場におけるパワーハラスメントが生じた事実が確認できた場合においては、速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと。
(3) (1)により、職場におけるパワーハラスメントが生じた事実が確認できた場合においては、行為者に対する措置を適正に行うこと。
(4) 改めて職場におけるパワーハラスメントに関する方針を周知・啓発する等の再発防止に向けた措置を講ずること。なお、職場におけるパワーハラスメントが生じた事実が確認できなかった場合においても、同様の措置を講ずること。
【注】具体的な事後の迅速かつ適切な対応例は、指針の9ページを参照

4 1から3までの措置と併せて講ずべき措置
(1) 職場におけるパワーハラスメントに係る相談者・行為者等の情報は当該相談者・行為者等のプライバシーに属するものであることから、相談への対応又は当該パワーハラスメントに係る事後の対応に当たっては、相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講ずるとともに、 その旨を労働者に対して周知すること。なお、相談者・行為者等のプライバシーには、性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報も含まれるものであること。
(2) 労働者が職場におけるパワーハラスメントに関し相談をしたこと若しくは事実関係の確認等の事業主の雇用管理上講ずべき措置に協力したこと、都道府県労働局に対して相談、紛争解決の援助の求め若しくは調停の申請を行ったこと又は調停の出頭の求めに応じたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。
【注】具体的な講ずべき措置例は、指針の10ページを参照

 なお、講ずべき措置に加え、指針の11ページ以降に望ましい例も記載していますので、ご参照ください。

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 パワハラとは何か

 パワハラ指針(R2.1.15厚生労働省告示第5号)では、優越的な関係を背景として行われたものであることを前提として、職場におけるパワハラに該当すると考えられる例を列挙しています。以下に一部を掲載しました。

□  職場におけるパワーハラスメントの内容
 職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる、①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすものをいう。
 なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。

□ 具体例
 職場におけるパワハラの具体例として、(1)身体的な攻撃、(2)精神的な攻撃、(3)人間関係からの切り離し、(4)過大な要求、(5)過小な要求、(6)個の侵害とし、「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言(2012.3.15)」の内容を踏襲しています。

(1) 身体的な攻撃(暴行・傷害)
(イ)  該当すると考えられる例
① 殴打、足蹴りを行うこと ② 相手に物を投げつけること
(ロ)  該当しないと考えられる例
① 誤ってぶつかること

(2) 精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
(イ)  該当すると考えられる例
① 人格を否定するような言動を行うこと。相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動を行うことを含む
② 業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行うこと
③ 他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り返し行うこと
④ 相手の能力を否定し、罵倒するような内容の電子メール等を当該相手を含む複数の労働者宛てに送信すること
(ロ)  該当しないと考えられる例
① 遅刻など社会的ルールを欠いた言動が見られ、再三注意してもそれが改善されない労働者に対して一定程度強く注意をすること。
② その企業の業務の内容や性質等に照らして重大な問題行動を行った労働者に対して、一定程度強く注意をすること。

(3) 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
(イ)  該当すると考えられる例
① 自身の意に沿わない労働者に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離したり、自宅研修させたりすること
② 一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立させること
(ロ)  該当しないと考えられる例
① 新規に採用した労働者を育成するために短期間集中的に別室で研修等の教育を実施すること
② 懲戒規定に基づき処分を受けた労働者に対し、通常の業務に復帰させるために、その前に、一時的に別室で必要な研修を受けさせること

(4) 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)
(イ)  該当すると考えられる例
① 長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下での勤務に直接関係のない作業を命ずること
② 新卒採用者に対し、必要な教育を行わないまま到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責すること
③ 労働者に業務とは関係のない私的な雑用の処理を強制的に行わせること
(ロ)  該当しないと考えられる例
① 労働者を育成するために現状よりも少し高いレベルの業務を任せること
② 業務の繁忙期に、業務上の必要性から、当該業務の担当者に通常時よりも一定程度多い業務の処理を任せること

(5) 過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
(イ)  該当すると考えられる例
① 管理職である労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせること
② 気にいらない労働者に対して嫌がらせのために仕事を与えないこと
(ロ)  該当しないと考えられる例
① 労働者の能力に応じて、一定程度業務内容や業務量を軽減すること

(6) 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
(イ)  該当すると考えられる例
① 労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりすること
② 労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露すること
(ロ)  該当しないと考えられる例
① 労働者への配慮を目的として、労働者の家族の状況等についてヒアリングを行うこと
② 労働者の了解を得て、当該労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、必要な範囲で人事労務部門の担当者に伝達し、配慮を促すこと

 なお、厚生労働省ではハラスメント対策の総合サイト「明るい職場応援団」を開設し、企業におけるハラスメント対策をバックアップしています。

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 マタハラとは何か

 「マタハラ」とはマタニティー・ハラスメントの略で、働く女性が妊娠・出産をきっかけに職場で精神的・肉体的な嫌がらせを受けたり、妊娠・出産を理由とした解雇や雇い止めで不利益を被ったりするなどの不当な扱いを意味する言葉です。
 男女雇用機会均等法では、婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いを禁止しています。さらに「事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針(平成29年1月1日)」を制定し、解釈例規等を変更するなど、マタハラの防止を図っています。
事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針
妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いに関する解釈通達について

●(参考条文)男女雇用機会均等法9条
1 事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。
2 事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。
3 事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法(昭和22年法律第49号)第65条第1項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第2項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
4 妊娠中の女性労働者及び出産後1年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。

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 旅館業法が改正され、カスハラは宿泊拒否も可能に

○ 2023年12月13日改正(詳細)厚労省のサイト
(改正の概要)
1 宿泊拒否事由の追加
2 感染防止対策の充実
3 差別防止の更なる徹底等
4 事業譲渡に係る手続の整備

【解説】特筆すべきは上記1の追加です。営業者が宿泊しようとする者から無制限に対応を強いられた場合(いわゆるカスハラ)には、宿泊者の衛生に必要な措置をはじめ、旅館業の施設において本来提供すべきサー ビスが提供できず、旅館業法上求められる業務の遂行に支障を来すおそれがあることから、法改正で新たに宿泊を拒むことができる事由として特定要求行為が行われたときが追加されました。