泌尿器科医・木村明の日記


コンサル棒屋③:診療圏調査

[コンサル棒屋]、[]、[]、[]、[]、[]、[]、[]

病院めぐり 木村泌尿器皮膚科.臨泌,67,719,2013.

オフィスウロロジー2015


皮膚科を標榜した事の経営上の効果はどうでしょう?

横浜市都筑区のホームページを元に当院から1kmの範囲の人口を調べてみました。

Pict

茅ケ崎東四丁目のように1kmの円が半分かかっているところは、半分の人口をカウントしました。その結果は30568人。

受療率の表によれば、人口10万人あたり、1日に皮膚科を受診する人は209人。

当院の半径1km圏内には皮膚科を受診する患者さんが63.9人いらっしゃることになります。

皮膚科は4軒ありますから、4等分(他の3件は皮膚科単科なのに4等分していいのでしょうか?)したら、15人。

当院にいらっしゃる皮膚科の患者さんは、20名弱ですから、ぴったりですが、他の3軒がこんなに少ないはずはないので、診療圏調査というのはよくわかりません。

さらにはこの半径の北端には、センター北駅。そこには皮膚科が3軒。

ひょっとして皮膚科の診療圏は1.5kmでしょうか?ならば面積が倍になりますが、

都筑ふれあいの丘の皮膚科クリニックや勝田町のドクターMドクターフリッカーも競合に加えなくてはならなくなります。

区役所のある場所ですから、人が集まる、という口実でもっと診療圏を広くし、内科や形成外科を主たる標榜科にしている競合は分母から外す、なんてことをすれば、もっといい数字を出すこともできるでしょう。

診療圏調査は、人口 x 受療率 / 競合クリニック数 という単純な計算で、正解は一つしかない算数の問題のようですが、自分に都合よくどうにでもできそうです。

診療圏調査というのは、収入がこれぐらいあるはずだから金を貸せと、銀行に提出するための資料に過ぎない、

コンサルタントが示した数字は銀行提出用の作文であって、医者は本気にしてはならない、

というのをこの段落の結論にしましょう。

「コンサルタントの作文を鵜呑みにして、投資額(=借金)を増やさないためには、1km圏内の人口 x 受療率 / 競合クリニック数 ぐらいは自分でやっておきましょう。

「希望的観測の入った診療圏調査は、科研費の申請書のようなもの。文科省からお金をだしてもらうための作文だと思いましょう。

「作文どおりの結果を出そうとしたら、偽論文を書く学者になってしまいます。」
[木村泌尿器皮膚科院長日記一覧]