ヤブガラシ

ヤブカラシ(藪枯らし)の名の通り、蔓(ツル)が藪を覆い、地下茎が周りの養分を吸収して藪を枯らしてしまうほど繁殖力の強い植物である。
夏が近づくと、地下茎に貯めていた栄養分を放出し、ツルをものすごい速さで延ばし、太陽に対し一等地をまず確保し、光合成で栄養分を逆に地下茎に取り込みながら、周りの植物を覆ってしまうのがヤブカラシの戦術である。
ビンボウカズラと言う別称があり、このツル性植物が庭に繁茂すると樹木を覆い、放置された貧乏な家の印象を与える事から来ている。 花の形がおもしろく、写真の様に花弁がとれるとロウソクを立てたようになるのでロウソクバナと呼ぶ所もある。
人間にとっては厄介な植物であるが、昆虫にとっては蜜の宝庫である。 蜜はロウソクの台座のようになっている花盤と呼ばれる雌しべの茎部から分泌され、ほとんど裸出している状態で、長い吻(フン)で奥底にある蜜を吸う蝶の仲間よりむしろコガネムシやアブ等の短い吻の昆虫が多い。
地下茎で増える染色体が3倍体のものと、写真に見るように実を付ける2倍体のものもあるという珍しい植物である。

ヤブガラシの花と葉と実と昆虫

熱帯から東南アジアまで広く分布するブドウ科の花で、同じ仲間のノブドウや、葉に切れ込みが有るキレハノブドウも葉の形こそ違え、同じような花と実をつける( 「ノブドウとエビズル」 の項参照)。

ノブドウの花        ノブドウの果実      キレハノブドウ

ヤブガラシやノブドウは夏が来た事を実感させる花である。

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