ヨウシュヤマゴボウ

六月の頃、散歩道のそこかしこに大きな葉とイタドリの様な茎を付けた大柄な植物が目立つようになり、七月に入って子供の背丈ほどになると、小さな花を付け始め、夏の盛りには花が特徴のある実に変わっていく。 ヨウシュヤマゴボウと呼ばれる北アメリカ原産のヤマゴボウ科の植物で、どちらかと言うと、花よりも実(み)で自己主張する。

ヨウシュヤマゴボウの花

花後下の写真の様に緑色の実が熟すと黒紫色に変わり、果実をつぶすと紅紫色の汁がでるので、 「Ink Berry」  と呼ばれ、昭和後期の日本の小学校の理科の教材として色水を作るのに使われた。

ヨウシュヤマゴボウの実

明治初期に渡来し、全国に広がったが、全体の様子や根がヤマゴボウ似て北アメリカ原産なので洋種山牛蒡(ヨウシュヤマゴボウ)の名が付いている。
ヤマゴボウもヨウシュヤマゴボウも根が牛蒡(ゴボウ)に似ているのでその名があるが、両者共有毒で食べられない。
ややこしい事に山菜のヤマゴボウと呼ばれる漬物が売られて広く認知されているが、実際のヤマゴボウの根ではなく、モリアザミの根を使ったもので、最近では本物のゴボウを使ったものが多いそうである。

ヤマゴボウやヨウシュヤマゴボウは全草に有毒なサポニンの一種フェトラッカや硝酸カリを含み、特に根に多い。
ヤマゴボウは元々中国原産で薬用として渡来し、野生化したものであるが、現在はほとんど見かけない。 一方、ヨウシュヤマゴボウはいたるところで見られ、根がゴボウに似ている事や山菜のヤマゴボウの間違った情報であやまって根を食べる人もおり、平成に入っても味噌漬けにして食べた人たちが集団中毒を起こした実例がある。 牛に投与して牛が下痢を起こした実験結果もあり、注意が必要である。
高さが1メートル位になり、面白い形の花と実を付けるので、野原、川岸、散歩道等、いたるところで目立つ花であるが有用ではなく、牛蒡(ゴボウ)の名は付いても食用にはならない。

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