スベリヒユ

スベリヒユは五行草と呼ばれる有名な漢方薬で薬草として古い歴史を持った花である。
茎が赤く、葉が緑、花が黄色で根が白く、実が黒いので中国では五行草と呼ばれ、継母に虐げられていた娘の赤痢がこの薬を飲んで治癒したと言う伝説がある。 抗ウイルス、抗アレルギー、利尿等に薬効があるとされ、生葉をつぶして塗ると虫刺され、皮膚病に効くとされる。
現代の日本でも五行草茶として商品化されている。
一方、食材としても名が有り、日本の文献には平安時代の 「和名抄」 にウマヒユの名で食材として登場する。 
温帯から熱帯の世界各地に分布し、日本では茹でてお浸しや和え物にされ、ぬめりがあって独特の風味が好まれ、又、茎を干すと干しゼンマイのようになり、 ヨ−ロッパやニュージーランドではこれを改良したタチスベリヒユがサラダに用いられる。

スベリヒユ

名の由来は諸説あるが定説は無く、ぬめりがあり葉がすべすべして古くはウマヒユの名で呼ばれていたのでスベリヒユの名が付いたとする説が説得力がある。 別称、すべり草、食べ過ぎるとお腹をこわすことからズルズルビーとも呼ばれる。
地面を這うのでイハイズラの古名もあり、万葉集に次の歌がある。 「入間道(いるまじ)の 於保屋が原のイハイズラ 引かねばぬるぬる 吾にな絶えそね」(スベリヒユを引っ張ると根がズルズルと引っ付いてくるように、ずっと私を忘れないで下さい)。

ハナスベリヒユ         ハナスベリヒユ        マツバボタン

朝に咲いて昼前には閉じてしまうスベリヒユ科の花であり、近縁に花スベリヒユ、マツバボタンがある。
かっては五行草として有名な薬草で、食材としても広く用いられたスベリヒユであるが、現代ではそのたくましい生命力で強害雑草として嫌われ、時代の流れを感じさせる。

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