「旅人に 雨降り花の 咲きにけり」・・・・・一茶 (江戸からの途中、雨の中、長野豊野町の正見寺にてホタルブクロを詠む)
ホタルブクロの名の通り蛍の飛ぶ頃に咲き、丁度その頃は梅雨の時期に当たるので、一茶の句にあるように雨降り花の別名もあって、季節感のある花の名前を持っている。
もっとも、雨降り花の名は地方によってはギボウシ、イチリンソウ、ヒルガオ、シロツメグサ等、種々の花が雨降り花と呼ばれ、ホタルブクロだけではない。
ホタルブクロの名から子供達が花の中に蛍を入れて持ち運ぶ光景が目に浮かぶが、名の由来には諸説あって、花の形を提灯(ちょうちん)に見立て、提灯の古語の 「火垂る」 から来たと主張する人もあれば、蕾(つぼみ)の形が蛍に似ているからとする人もいる。
世界的にはその形から釣鐘草の別称が一般的であり、英語やドイツ語でも同じ意味の名で呼ばれているが、日本的な感覚では蛍を入れる袋とするのが情緒があって面白い。
北半球の温帯から亜寒帯に250種程度が分布するキキョウ科の花で、日本にも沖縄を除く各地の日当たりの良い土手、道端に咲き、天ぷら、お浸し、和え物に山菜として用いられ、薬草にもなる。
ホタルブクロには大きく分けるとホタルブクロとヤマホタルブクロがあり、花は全く同じであるが、ホタルブクロは写真左下の様に副顎片(ふくがくへん)が反り返っているのに対し、ヤマホタルブクロは副顎片は見えず、丸く膨らんでいるだけである。
|