ヘラオオバコとオオバコ

ヘラオオバコ

ヘラオオバコは日本の在来種であるオオバコと同じオオバコ科に属し、その独特な花の形から野の花として散歩道で目立つ花であるが、江戸時代にヨ−ロッパから帰化した帰化種である。
葉の形が竹べらの形をしているのでヘラオオバコの名が有るが、全体像もオオバコよりずっと大きく、特に表題の写真の様に雄しべが穂を取り巻くように付ける面白い形の花に特徴があり、良く目立つ。

ヘラオオバコの葉と全体像

5月前後から咲き始め、花粉症の一つの原因とも考えられているが、その独特の形から気になる花である。
一方、下の写真の日本の在来種であるオオバコは路傍雑草の代表格で、日本中何処にでも生殖し、踏みつけに強く、種子が靴底に付いて運ばれる。 その為、山野で迷ったらオオバコを目印に行けば里にたどり着くと言われる程繁殖力は強いが、野の花としては影が薄い。
写真に見るように細長い穂状に沢山の花を付け、花の中にまず雌しべが現れ、雌しべが萎えた頃雄しべが現れて花粉を作る。 つまり、雌しべと雄しべが成熟する時期をずらす 「雌雄異熟」 で、自分の花粉が自分の雌しべに付かないようにして健康な子孫を残す植物の知恵である。 
一本のオオバコの穂には2000個程度の種が出来、濡れると粘着性の有る液を出して靴や車輪にひっついて運ばれる。

日本の在来種であるオオバコの花と葉

漢名では車前草と呼ばれ、敗走した兵馬が飢えに苦しんでいた時に車の周りに生えていたオオバコを食べたら元気を回復したという伝説が有る。 全草を 「車前草」 種子を 「車前子」 と呼び、咳止め等に効く有名な漢方薬で、最近ではオオバコの近縁種を使ったダイエット食品が氾濫している。
古来から若菜は和え物、天ぷら等にして食べられ、有用な植物であった。
オオバコ(大葉子)の名の由来は葉が広くて大きい事から来たものであるが、路傍のオオバコは葉も大きいとは言えず、いささか気になる命名ではあるが、肥沃な土地に植えると葉が極めて大きくなるとの報告もあり、近縁種のトウオオバコの様に大きな葉のオオバコもあるので、元々は大きな葉を持った植物であったのであろう。 
外来種のヘラオオバコはその独特な花の形と大きさで目を引き、日本原産のオオバコは雑草として見過ごされてしまうが、それでもしたたかに生きている。

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