ヘビイチゴと野イチゴ各種

ヘビイチゴの花                ヘビイチゴの果実

  ヤブヘビイチゴの花             ヤブヘビイチゴの果実

春も盛りになると、散歩道のあちこちに小さな黄色い花が目に付くようになり、しばらくすると赤い実を付け始める。
いわゆるヘビイチゴと呼ばれるノイチゴ(野苺)のひとつで、ヘビイチゴとヤブヘビイチゴの二種類がある。 
両者の違いは一目では分からないが、葉や果実の大きさ、果実の表面の艶などが少し異なる。 ヤブヘビイチゴはヘビイチゴ比べ実も葉も大きく、写真に見るように副ガク片も大きく突き出しているが、最大の違いは果実の粒々の表面が滑らかで、ヘビイチゴのように皺が無く、従って果実に艶があり、慣れれば区別が可能である。
小さな赤い実の美味しそうな野苺(ノイチゴ)の一種であるが、毒ではないものの食べてみても美味しくはない。 中国ではヘビイチゴを蛇苺と書き、美味しくないので蛇にでも食べさせればいいと言う事でこの名がついたと言われている。 日本では中国説に加え、蛇が出そうなところに生える、あるいは、蔓の形が蛇を連想させる事でこの名がついたと諸説ある。
一口に野苺(ノイチゴ)といっても、クサイチゴ、モミジイチゴ、フユイチゴ、ナワシロイチゴ等のキイチゴ類から、ノウゴイチゴ、ヘビイチゴ、シロバナヘビイチゴ、エゾヘビイチゴ等々、多種多様で何十種類もあり、又、果実の味もそれぞれであるが、ヘビイチゴを除けばそこそこ美味しい。
普通、食べられる野イチゴはクサイチゴ、モミジイチゴ、フユイチゴのように白い花、あるいはナワシロイチゴのようにピンクの花を付ける。 同じヘビイチゴの名前は付いても、シロバナヘビイチゴやエゾヘビイチゴは白い花を付け、ヘビイチゴとは種類も異なり、果実も美味しい。 ところが、ヘビイチゴだけは黄色い花を付け、実もまずく、他のノイチゴのように摘んで食べる気にはなれない。

クサイチゴ          モミジイチゴ       ナワシロイチゴ

 フユイチゴ          エゾヘビイチゴ        エゾヘビイチゴ

ヘビイチゴの原産地は日本、アジア南東部で、葉は三枚、花は五花弁であり、普通、多くの植物は子房がふくらんで果実となるが、この花は花床がふくらんで果実となる特徴を持つ。 通常イチゴと呼ばれている食卓に上がるオランダイチゴもこのタイプである。
一方、美味しいキイチゴ類は種子の子房が大きくなったもので、果実の形は写真の様に、ヘビイチゴとは異なる。( 「キイチゴいろいろ」 の項参照)

  クサイチゴ         モミジイチゴ         モミジイチゴ

ナワシロイチゴ      ナワシロイチゴ       フユイチゴ

ヘビイチゴは解熱や神経痛にも効く薬効があり、名前に似合わない可愛い花を付け、野原で目立つバラ科の花であるが、他のノイチゴ類のように摘んで食べることが出来ないのが残念な事である。

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