カラスノエンドウとカスマグサとスズメノエンドウ

カラスノエンドウ

野のえんどう(豌豆)からその名が来ているノエンドウには3姉妹が有って、大きさの順にカラスノエンドウ、カスマグサ、スズメノエンドウと呼ばれる。 カスマグサはカラスのカとスズメのスの間、つまり、カスマ(カス間)と言う意味である。
カラスノエンドウの花や葉や豆はスズメノエンドウに比べ大きい。 例えば、鞘(さや)に入っている豆の数はスズメノエンドウが2粒程度に対し8−10粒入っており、カスマグサはその中間である。
大きさの順にカラス、カスマ、スズメと名前が付けられているが、カラスノエンドウの豆果は熟すと黒くなる為、カラスの名があるとされ、これが基になっていると考えられる。 又、カラスノエンドウの葉の形が矢筈(やはず)のようになっているので、ヤハズノエンドウの別称もある。
カラスノエンドウの豆を鞘から取って、鞘の端を切って吹くと、ビービーとよく鳴る草笛になり、昔の子供達はこれでよく遊んだ。
又、血行を良くする作用があり、胃にも良い薬草となる。 中国では蔬菜(そさい)として食用にもなっている。
カラスノエンドウ、カスマグサ、スズメノエンドウいずれもマメ科の特徴である根にバクテリアが共生し、空気中の窒素を固定して緑肥を作る。

カラスノエンドウと豆果

 カスマグサと豆果

スズメノエンドウと豆果

一方、ノエンドウの名前の由来となったエンドウ(豌豆)の花も早春の畑を彩る。 写真の様にノエンドウと同じ形の花を付けるが、カラスノエンドウより更に大きい。

エンドウ(豌豆)の花いろいろ

豌豆は近年ではキヌサヤやグリンピースの名の方が通りが良いが、若いうちに取って莢(さや)ごと食べる豌豆がキヌサヤで、豆そのものを食べる豌豆がグリンピースである。
メソポタミア原産で、紀元前7000年−6000年前から既に栽培されていたとされ、ツタンカーメンの墓の副葬品の中に混じっていた種を発芽させてツタンカーメンのエンドウとして種が広く出回っている。
日本には中国を経由して入り、漢名の豌豆がエンドウとなったものであるが、平安時代には野良豆(ノラマメ)とも呼ばれていたようである。
青エンドウ、白エンドウ、赤エンドウ、あるいは蔓性のものや蔓性でないもの等、いろいろ種類があり、メンデルが遺伝学の研究に用いた事でも有名な植物でもある。

ノエンドウ3姉妹や、エンドウの花々が早春の散歩道の土手や畑を彩る。

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