サクラソウ

「我が国は 草もサクラを 咲きにけり」・・・・一茶(サクラソウを詠む)

サクラソウは埼玉県の県花であり、浦和にある田島ヶ原の自生地は国の特別天然記念物に指定されている。
奥秩父に源を発した荒川がこの地(熊谷、深谷)を通り、田島が原を抜けて、東京湾に注ぐが、サクラソウはかっては、荒川沿いのどこにでも咲いている野の花であった。
小林一茶が詠んだように花の形がサクラに似ている為この名があり、江戸時代にはサクラソウの花見を行い、河原は花見客で賑わい、荒川で取れた白魚を花見をしながら食したと伝えられている。 又、荒川沿いにかぎらず、何処にでも見られた春の代表的な花であった。
ところが、受粉を行うマルハナバチの生存環境の悪化と野焼き等をしなくなった為に花自体の繁殖環境が悪化し、自生地は次第に狭められ、 田島ヶ原では今でも野焼きを行って保護に努めている。

サクラソウ

一方、江戸時代から盛んに繰り返されてきた交配で、園芸種は300種にも及び、又、西洋サクラ草であるプリムラ系のポリアンサ、マラコイデイスやオブコニカも庭を彩る。

園芸種のサクラソウ

  ポリアンサ         マラコイデス        オブコニカ

サクラソウ科の花は日本を含め北半球一円に分布し、中国では 「報春花」 と呼ばれ、英名の 「プリムラ」 は最初にと言う意味で、大陸でも日本でも春を告げる代表的な花とされている。
かっては荒川の土手に一面の花畑を作って、花見をされていた花が、現代では特別天然記念物に指定され、保護を受けてやっと命脈を保っているという、 環境問題を考えさせる花でもある。

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