イヌホウズキ

イヌホオズキ

イヌホオズキは夏から晩秋にかけ、田の畦、野原に繁茂し、小さな、特徴のある花をいっぱい付け、それなりに可愛い花であるが、名前のほうは役に立たないホオズキを意味する雑草で、ホオズキの様に鑑賞されることもなく、栽培される事もない。
野の花の名にイヌが付くと役に立たないと言う意味になり、イヌホウズキも似てはいても役に立たないホオズキということになる。 小さな実を付けるがホオズキの様に赤くなる事はなく、果実を包む袋状のガクも無く、同じナス科ではあってもホオズキ属ではなくナス属である。( 「ヒロハフウリンホオズキは外来種」 の項参照) 
バカナスと言う別名もあり、やはり食べれないナスを意味し、散々な名前の付け方をされているが、漢方でこれを乾燥して解熱剤や利尿剤に使っており、どうして、役に立つ植物なのである。 ただ、ホオズキに比べると花も小さく、実も目立ず、野原に繁茂していても目に留める人もいない。
古い時代に渡来した帰化植物であるが、昭和になって北アメリカ原産のアメリカイヌホオズキやオオイヌホオズキ、テリミノイヌホオズキ、カンザシイヌホオズキ等がが入ってきており、一見では区別が難しく、鑑定泣かせの花である。

 アメリカイヌホオズキ   オオイヌホオズキ    イヌホオズキの果実    

アメリカイヌホオズキの花の色合いが紫がかることや、オオイヌホオズキは大きく、花ビラの幅が狭く、又、テリミノイヌホオズキの果実に艶が有る等、多少は異なるが、厳密に区別する事は極めて難しい。
一方、イヌホオズキの花と姿、形がそっくりな花が夏から秋にかけて野山に咲き、晩秋には赤い実があちこちで目立つ植物群がある。 タマサンゴ、ヒヨドリジョウゴ、ヤマホロシ等で同じナス科ナス属の花である。

  タマサンゴの花    ヒヨドリジョウゴの花    ヤマホロシの花

  タマサンゴの果実   ヒヨドリジョウゴの果実   ヤマホロシの果実

タマサンゴは少し大きな赤い実を珊瑚(サンゴ)に見立ててタマサンゴ又はフユサンゴの名がある。
ヒヨドリジョウゴはイヌホウズキと同じような実(み)をつけるが、秋になると真っ赤に熟し、その実をヒヨドリが好むということでヒヨドリジョウゴの名がある。
ホロシは赤い実を意味する言葉で、ヤマホロシは 「山の赤い実」 と言う意味である。

タマサンゴ、ヒヨドリジョウゴ、ヤマホロシ、マルバホロシの実は赤くなるが、イヌホオズキだけは赤くならず、野の花としてはイヌの名が付くのもやむなしか。

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