ワサビ

ワサビは学名をジャポニカ・ワサビと呼ぶように日本原産の香辛料である。 
大半の香辛料が中国等、海外からもたらされたが、ワサビは正真正銘の日本原産の香辛料で、その歴史も古い。 「賦役令」(718年)、 「本草和名」(918年)、 「和名抄」(930年頃)等にその名が見られ、平安時代の書物 「延喜式」 には飛騨、備前、但馬、因幡等、各地から貢納されていた記録が有る。 「和漢三才図絵」(1713年) には蕎麦の薬味にワサビが欠かせないとあり、この頃には庶民にも広く使われていたようである。 

当初は山や渓流に自生するワサビを採取していたが、江戸時代、駿河(静岡)で始めて栽培され、家康がそれを愛好し、門外不出の御法度品にしたと伝えられている。 
刺身に添えられたのは室町時代とされ、醤油の発展とともに広く普及し、江戸時代には握り寿司に欠かせない材料となり、当初は贅沢な食べ物とされた寿司も明治の頃から庶民の食べ物となって現在に至っている。
花はアブラナ科の花に共通の十字花冠で、なかなか可憐な花である。 さすがに散歩道では見れないが、秩父山系の清流や群玉とも呼ばれるこの地方に隣接している群馬県の清流を3月‐4月に訪れればワサビ田に可憐な花を咲かせている。


ワサビの名の由来は諸説あるもののはっきり根拠を持ったものは無い。 「本草和名」 には葉が葵に似ているので漢名を山葵、和名を和佐比とある。 一説には早生を意味する 「ワサ」 に辛いを意味する 「ヒビナ」 から 「ワサヒビナ」 が転じてワサビとなったとの説もある。
現代では山葵の漢字を当て山葵(わさび)と書かれ、日本だけではなく世界の香辛料となった。

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