マツムシソウ

毎年、秋になると、高原で風に揺られながら咲くマツムシソウを思い浮かべる。 秋の高原を代表する花でその清楚な姿が何ともいえない。
ところが近年、セイヨウマツムシソウの園芸種であるスカビオサが散歩道の途中のあちこちの庭に植えられ、夏の頃からその姿をあらわし、こちらの方は色の種類も多く派手で、庭に植えられているせいか清楚な感じにも欠ける。
日本のマツムシソウは青一色で、どちらかと言えば高原の花であるが、比較的低山の草原にも咲き、乱獲されたり環境の変化で数を減らしているとはいっても埼玉県内の山でも比較的見つかる花である。 とくにこの地は群玉と呼ばれるほど群馬県との県境で、近くの榛名山や赤城山では群生も見られ、 又、日本各地の高原でマツムシソウを増やす努力もされている。
やはりマツムシソウを見るなら山の高原がよい。


マツムシソウには血液の流れを促し、血小板凝集を抑制する成分が含まれており、西洋では古くから脳血栓や心筋梗塞の予防薬として用いられてきた歴史がある。 日本でも西洋医学の流れから日本のマツムシソウが西洋マツムシソウ(スカビオサ)の代用に用いられたようである。
マツムシソウの名の由来は諸説あるが、いずれも秋に鳴くマツムシに関係している。 単純にマツムシが鳴く頃に咲く花であるという説や、花の終わった後の坊主姿が巡礼や修験者等が鳴らしたり、歌舞伎で使われる楽器の松虫鉦(まつむしかね)の形に似ているからとも言われる。
キク科の花の様に見えるが、マツムシソウ科の一家をなしている。

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