ワレモコウ

「我もまた 紅(くれない)なりと ひそやかに」・・・・高浜虚子

ワレモコウ(吾亦紅)は色鮮やかな花ではないが、虚子の句にもあるようにその風情が何ともいえない。
日本の秋の代表的な花として古くから十五夜のお月見にススキと共に飾られ、根にタンニンを含む為、止血の漢方薬として用いられてきた身近な花である。
茶色ないしは茶褐色の花であるが、「我も亦(また)、紅である」 と自己主張してけなげに咲く様子から 「吾亦紅(われもこう)」 の名が付いたとされる説が通り相場となっている。 しかし、実際にはこの説は近代に作られたようで、「吾木香」 あるいは 「割れ木瓜」 等、花の形を木香や木瓜に例えた説が正しいらしい。
ただ、日本人の美意識からすると自己主張しながらけなげに咲く花として吾亦紅説を採りたいし、この説は間違いであると主張する必要も無さそうである。 秋の草原で風に吹かれて咲く様子は虚子の句の通りである。


バラ科の花であるが、バラ科に代表されるような五花弁は無く、花弁のように見えるのはガクである。

次へ

最初のページへ戻る