ムシトリナデシコ

可愛い花であるにもかかわらずムシトリナデシコ(虫取り撫子)、あるいは、ハエトリナデシコ(蠅取り撫子)と物騒な名前が付いているが、食虫花ではない。
下の写真に見るように、葉の少し下の茶色い部分から粘液が出て、そこに虫がくっ付いて動けなくなるためムシトリナデシコの名が付けられた。
 害虫が花にあがってこない為との説もあるがはっきりしない。

ムシトリナデシコの粘液に引っ付いて動けなくなった虫

ヨーロッパ原産のナデシコ科の花で、江戸時代に観賞用として渡来し、野生化して全国各地に広がった。
この花は分類学上、ナデシコ科マンテマ属に属し、そのマンテマもやはり江戸時代にヨーロッパから鑑賞用に導入され、日本各地に野生化している。
帰化当時の学名マンテマンが省略されてマンテマになったとされ、海岸線に多く、海から遠いこの地では見る事は難しく、下の写真も日本海側をドライブした時に写したものである。

種々のマンテマの花

一方ムシトリナデシコはこの地方の野原や道端等、いたるところに咲き、白色や薄いピンクのものもある。 花も見栄えがするので、群生すると見事である。

ムシトリナデシコ

ムシトリナデシコと無粋な名前が有る一方で、花の可憐さから小町草(コマチソウ)とも呼ばれ、虚子に次の一句がある。 「小町草 咲き広がりぬ 尼が庵」。 
こちらの名の方が良い。

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