ヒマワリ

夏を代表する花は?と現代人に問えばおそらく第一位はこの花であろう。
夏の太陽のイメージに結びつき、実際、洋の東西を問わず太陽に関係した名前が付けられ、英名でサンフラワ−、中国名で向日葵、日本名でヒマワリと呼ばれる。
古代インカでは太陽の花として崇められ、神殿にはヒマワリの花が彫られ、神官は金細工のヒマワリを身に付けていた事が分かっている。
野の花とは言えないが、散歩道のあちらこちらにその巨大な姿を現し、近年では休耕田全体がこの花で埋まって、花の迷路が作られたりする。


これほど身近な花であるが、世界に知られるようになったのは比較的新しく、16世紀のコロンブスの大陸発見後の事である。
北アメリカが原産地で、大陸発見後スペイン人によってヨーロッパに持ち込まれ、日本には17世紀に中国経由で渡来した。 渡来当時は丈菊(じょうぎく)と呼ばれていたが、江戸時代にヒマワリの名が広まったようである。
ヒマワリの名は若い茎や蕾が太陽の方向に向かって回る事から名付けられた名前であるが、開花してしまうと動かず、多くの花は東向きに咲くようである。
キク科を代表する花でもあり、中の管状花はそれぞれが雄しべと雌しべを持つ花の集合体で、外側の舌状花は虫を引き付ける飾りである。
種からは油が取れ、食用油や灯火用の油として使われ、石鹸の材料ともなった。 現代でも栽培され、ロシアでの栽培が最も多いそうである。
熟した種子を日干しにしたものは漢方で向日葵子(ひゅうがあおいし)と呼ばれ、滋養、整腸の薬草となる。


その大きな堂々とした姿を 「向日葵の ゆさりともせぬ 重たさよ」 と北原白秋が詠んでいる。

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