シラン

「君知るや 薬草園に 紫蘭あり」・・・・虚子

高浜虚子が詠んだ様に古来から名の有る薬草で、2000年前の漢の時代に書かれたとされる中国最古の本草書(薬物に関する書籍)である 「神農本草経」 にも記述がある。
鱗茎から取った漢方薬は白及(はくきゅう)と呼ばれ、皮膚や粘膜を保護する作用があり、又、内外出血に止血作用がある為、鼻血、胃潰瘍、十二指腸潰瘍等に用いられてきた。
関東以南の日本各地の日当たりの良い湿性斜面や崖下に咲き、花も美しく、北原白秋は 「紫蘭咲いて いささか岩も あわれなり」 と詠んでいる。
紫色の蘭からシラン(紫蘭)の名が来ているが、白色もある。

シラン(紫蘭)

白色のシラン

野生蘭であるものの、盗掘や生育環境の悪化もあって、近年では野生を見る機会は減ってきている。
一方、丈夫な事と花も美しいので植栽される事が多く、五月になると散歩道の道端、畑の脇等、いたる所に美しい花を咲かせる。

中国、台湾、日本に分布し、ベニラン(紅蘭)とも呼ばれるラン科の花である。

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