ショウジョウバカマ

春の山裾を散策すると独特の形をした花を付け、高山植物と見まがう花に出会う事がある。
ショウジョウバカマ(猩猩袴)と呼ばれ、花は一見高山植物のように見えるが、人里にも生え、低地から高山まで広く分布し、咲く時期が低地では春、高山では初夏になる。
ショウジョウ(猩猩)は中国の想像上の動物で、猿に似て赤い顔をし、酒を好む事で知られており、それを基に能の 「猩猩」 が創られたが、赤い髪の毛をなびかせて演じられ、その様子を花の色や形に、又、葉の重なりを袴(ハカマ)に見立てて、ショウジョウバカマ(猩猩袴)と名付けられたようである。
別名カンザシバナとも呼ばれ、花の形からその名が有るが、色は赤から紫まで色々である。
日本、朝鮮、カラフトに分布し、散歩道の土手や田の畦で見つける事はさすがに難しいが、山裾まで足を伸ばせば見つけられる。
又、この地方ではなかなか見られないが、ショウジョウバカマの変種とされるシロバナショウジョウバカマやツクシショウジョウバカマ等の白い花のショウジョウバカマも自生している。

ショウジョウバカマ

シロバナショウジョウバカマ

花もユニークであるが葉もユニークな花で、葉の先端が地面に触れている所から芽を出し、種子から子孫を残すだけでなく、葉からも増える珍しい花である。
常緑のユリ科の花で、人里に近い山裾や林の少し湿った所に生えるばかりでなく、その形や色合いから庭にも植えられるが、その 「猩猩」 と言う名前で伝説や能の世界に思いを馳せさせる花である。

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