「水仙や 白き障子の とも移り」・・・芭蕉
稀な冬に咲く花のひとつで、12月も過ぎてキクが盛りを過ぎる頃、散歩道のあちこちに姿を現し、可憐な姿と芳香で迎えてくれる。
地中海沿岸が原産地でヨーロッパから小アジアを経由し中国に渡り、日本には室町時代に南宋から修行僧が持ち帰ったとされ、その後日本各地で野生化した房咲きで芳香のあるものは日本水仙と呼ばれている。
この地の散歩道でも野生種が見られるが、特に、日本の海岸線では野生の群落が各地で見られ、観光名所になっている所もある。
室町時代の書物には 「雪中華」 とあり、上記の芭蕉の句、あるいは、蕪村の 「水仙や 寒き都の ここかしこ」 の句から見ても日本水仙は冬の花である。
一方、原産地の欧州では園芸用に品種改良が進み、ラッパスイセンや八重咲きのもの等、12種類程度に分類され、色等を合わせると一万種に及ぶとされる。 西洋水仙と呼ばれ、どちらかと言うと早春の花である。
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